ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

Julia Justiss: The Untamed Heiress & A Scandalous Proposal

2013年03月15日 | J-K

Julia Justissのちょっと前の作品を2つ。
ハーレクインから2冊を1冊にまとめて出版されているリージェンシー物語のシリーズです。
(お話自体はつながっていません。)

コテコテのリージェンシーではありませんが、今回も読み応えアリです。

The Untamed Heiress (2006) 

Helena Lambarthは子供の頃からずっとお城に閉じ込められたまま成長したちょっと変わったヒロイン。
母が恋人と逃げてしまったので、復讐に燃える父のせいで自由を奪われてしまったのです。

父が亡くなったらこんな城や村から出てってやると強く思っていたHelena。実際に、父の葬儀が終わるや否やロンドンへと旅立ちます。

Helenaの母も彼女に知らされることなく、数年前に亡くなっていたのですが、母の友人の息子Lord Darnellがロンドンの弁護士のところに到着したHelenaを迎えにいくことに。

乞食のような格好をしたHelenaでしたが、Darnellの家族に暖かく迎えられ、彼の母や妹のサポートのもと、ロンドンデビュー。

Helenaが美しくしとやかな女性に変貌すると、彼女のことが頭から離れなくなるDarnellですが、財産不足で困っている彼は上流階級でお金持ち令嬢と婚約を発表してしまいます…。

Helenaは、とても紳士で家族思いのDarnellに惹かれますが、こんな気持ちは生まれて初めてで困惑します。それに彼にはもう婚約者が。

お互い同じ家に住んでいると避けることも難しく、2人は否定しがたい気持ちに苦しみます…。

                           
父親から虐待されて育ったのに、Helenaは心も外見も美しく、弱者を放っておけないような心優しい女性に成長する様子や、HelenaとDarnellの互いに対する感情の変化が印象に残ってます。
                     



 A Scandalous Proposal (2000)

上流階級の貴婦人方に人気の帽子屋を営むEmily Spenser。
(もちろん、ワケアリですが

ある日、店内で嫌がらせを受けていたところをCheverley伯爵に助けられます。

お店の場所代?(税金?)を法外な値段に吊り上げられて困っていたでけではなく、払えなければ体で払ってもらおうかみたいな展開になってきたところを()伯爵に助けられたのです。

しかもかなり高額な場所代まで立て替えてくれたのです。

伯爵のほうは、はっきりいってEmilyに一目ぼれ。
何気に友達の用事についていった先がEmilyのお店。そこで彼女を見るや否や、もう彼女のこと意外考えられなくなってしまったのです。

Emilyはしばらく伯爵が立て替えてくれたお金は返せそうにありませんが、何かお礼にお返しをしなければと一度食事に誘います。

EmilyもCheverleyの紳士的な魅力に惹かれ、二人は「今回だけ」ということで関係を持ちます…。

が、二人の関係はそれだけでは終わらなかったのです…!

                            

シンデレラストーリーです
これもヒーローとヒロインの心情がよく描かれて、読んでいて充実感ありました。

今回の2冊といい、前回の2冊(Regency Secrets)といい、すっかりJulia Justissは私のお気に入りになりました。


What a Duke Wants

2012年04月08日 | J-K

Lavinia Kent. 2011. What a Duke Wants. Avon.



Isabella MastersはMrs.Wattinghamというあまり親切ではない婦人のコンパニオン。王の戴冠式を見学するためロンドンへ向かうMrs.Wattinghamについて旅をしていました。
ある晩、Mrs.Wattinghamの赤ちゃんが泣き止まないため、ほかの旅行客に迷惑をかけてはいけないと、赤ん坊を抱いて外を歩いていてある紳士にぶつかります。
(このときの会話がおもしろいです)

実はこの紳士はStrattington公爵。
叔父といとこが立て続けに亡くなってしまったため、公爵領を継ぐことになったMark。
全く予想だにしていなかったことなので、なかなか公爵として何をしたらいいのか、どう振舞っていいのかさえ困惑することばかり。
Isabellaに出会った晩も、まだまだそんな日々が続いていたので、公爵には見えないかなり謙虚な服装をしていました。
なのでIsabellaはMarkのことを公爵家の管理人だと思い込みます。
一方、Isabellaは実は誰にも言えない秘密を抱え、コンパニオンとして目立たないような生活を送っていましたが、Markは当然そんな彼女の背景を知らないので、あまり裕福な家庭の出身ではない女性だと思うのは自然なこと…。

                          

前半、H/Hの出会いからお互いを知り合っていく過程は、ラブリーでした。
お互いの身分をよく知らないからこそ平等に思え、互いの本当の自分を知り合っていく過程は印象に残っています。
後半も楽しめるんだけど、ヒロインがヒーローを「好きだけど愛人になれない」の心の葛藤の部分や、ヒーローがヒロインに愛人になってほしいというところなど、結局よくあるパターンになってたのが少し残念。
でも、公爵になりたくてなったわけではないヒーローが少しずつその役割を学び成長していく様子はオリジナルでした。
他にもLavinia Kentの作品を読みたくなりました。


Cloudy with a Chance of Marriage

2012年01月17日 | J-K

Kieran Kramer. Cloudy with a Chance of Marriage. St. Martin's Paperbacks Historical Romance.




タイトルがユニークだったので惹かれて買いました。
ヒロインはブルーストッキングだし。

が、残念。
評価はハートマーク一つ。

                              

家族のために自分を犠牲にし、愛のない結婚をしたJilly Jones。
数年間DVに耐えた後、その地獄のような結婚生活から脱出し、ロンドンで本屋を営み始めます。

本は売れなくても、毎日平和に暮らしていました。

Captain Stephen Arrowがお向かいに引っ越してくるまでは…!

若い頃から何年も海軍に仕え、戦争中に名声も上げ、やっと陸に上がったCaptain Arrowは、そう簡単に華の独身を終える気はありません。

どれだけお向かいのMiss Jonesが魅力的で、ついつい彼女のことばかり思ってしまっても!

そこへ、遠縁の男爵一家が社交シーズンの間だけCaptainの家へ強引に宿泊することに。
その男爵夫婦が自分達の一人娘とCaptainを結婚させようと、人目もはばからずに画策し始めるので、CaptainはJillyと交際するつもりだと言ってしまいます。

Captainの懇願もあって、Jillyは結婚していることを内緒でしぶしぶ演技をすることになりますが・・・。

                      


愛らしいお話ではあったと思うんだけど・・・。
でも、セリフは全てどこかで聞いたことがあるようなお定まりの文句でも終始し、脇役のジョークは稚拙で、全体的にお安いドタバタ劇。
H/Hも含めて、登場人物は全て深みナシ。

貴族の敬称がほとんど全て間違っていることや、貴族のパーティーに本屋のオーナー(商人)であるJillyが招待されるなど、作者はこの時代のことを一切リサーチしていない・・・?
編集もそれでいいんだ・・・?

がっかりの一冊。
終わらせるのに苦労したから、飛ばしたページもかなりあります。
この作家のこのシリーズ、どれも似たような奇抜なタイトルだけど、もうそそられません。


Regency Secrets

2011年09月10日 | J-K

Julia Justiss.
2002. My Lady's Trust.      
2002. My Lady's Pleasure
Harlequin Mills & Boon

Regency シリーズ(←Mills & Boonのページへジャンプ)
オーストラリアのMills & Boonは、以前に出版されて人気だったリージェンシー作品を2つまとめて、素敵な表紙で再版。
毎月出版です。

そんなリージェンシーシリーズ第1弾は、中世モノも天下一品のJulia Justiss。
Jo Beverleyが好きな私は、Justissのような背景知識もしっかりしてるし、お話自体もガツンと読み応えのあるスタイルが好きです。
お話にワンパターン感がなく、感情表現も豊かだし、キャラクターも個性的。
My Lady's Trustは私がロマ小にはまりだした頃に読みました。
いつもずっと素敵なお話だったので覚えていたんだけど、やっぱりいいお話はいつ読み直しても新鮮です。
と、こんなに褒めの一手なのに、私のブログではJustissの作品が一つもレビューされてない!
とういことで、うちのブログで初レビュー、Justissのリージェンシー作品です。

My Lady's Trust

ここなら自分の正体はばれないだろうとLaura Martinは、とある田舎で村人との付き合いも必要最小限にとどめ、静かに暮らしていました。

ある日、地主の息子が狩りの最中に友達を撃ってしまい、大怪我を負わせます。
Lauraは薬効ハーブに関する知識があり、村人達の怪我や病気の手当てをよく頼まれていたので、その友人の看護にも当たります。
が、その友人の兄というのが、鋭いまなざしをしたBeaulieu伯爵。
彼に見つめられると自分の正体がばれてしまうのではないかと心配になるLaura。

伯爵は弟の怪我で動転し、みすぼらしい身なりをしたLauraをはじめて見た時は何も思わなかったばかりか、あやしいハーブなんかで弟を殺されては困ると失礼な発言までします。
が、共に弟の看護をして時間を過ごせば過ごすほどLauraの冷たい態度や醜い服の下には、優しい心を持った美しい女性が隠れていることが分かってきました。
彼女が自分をそのように隠しているのには何か人に言えない秘密があるのだろうということも。
Beaulieu伯爵はなんとか彼女の信頼を得たい、そしてLauraの問題を解決し、共に人生を一緒に生きたいと強く願うようになります…。

 私からはハートマーク5つ。満足の一作です。
伯爵がLauraのことを愛していると気づくまでにすごく時間がかかるので、「結婚まではできないけど、愛人で…」と考えているところが嫌だったので、ハートマークを減らそうかと思ったけど、あとあとよく考えてみると、やっぱり伯爵だって誰だって、一生物の結婚へのステップは大きいもんね。


My Lady's Pleasure

Lady Valeria Arnoldは未亡人。戦士した兄の親友だった元夫Sir Arnoldは、兄に「妹を頼む」と言われたのと、自分もちょうど大失恋したところだったので、勢いでValeriaと結婚し、すぐ戦地へむかいました。
大怪我を追って帰ってきたSir Arnoldは、失恋した相手の女性の名を口にして、Valeriaの腕の中で息を引き取りました。

Valeriaはこれでもう家族もおらず、残っているのはわずかな利益を出す羊農場だけ。
自分に愛を捧げてくれるような夫なんてこれから現れる可能性もなければ、子供を持つこともできない。Valeriaは時々無性に悲しくなり現実から逃げ出したくなります。

そんなある日、近くの屋敷のハウスパーティーに来ていたMr. Teagan Fizwilliamsと出会い、自分でもこんなことができると思ってなかったようなことをやってしまいます。

伯爵家の娘と馬番の男の間に生まれたTeagan。
両親を亡くし、婚外子というレッテルのせいで、常に社交界の底辺で差別されながら生きていきました。
当然お金もなく、貴族を相手にギャンブルで日々の生活費などをかせいでいましたが、もうこんな不安定な生活にはほとほと嫌気が差していましたが、どうすることもできず、疲れていました。
そんな時、美しくて優しいLady Valeriaと情熱的なひと時を過ごします。
そして自分を価値のある人間として見てくれる女性は今までにいなかったと気づきます。

 ハーレクインではお金持ちの男性が様々な状況にある女性をくどくパターンが圧倒的に多いので、こういう一文無し(だけど誠実)のヒーローのお話は、どう自分の人生を変えるのかという部分を興味深く読むことができました。
ハートマークがちょこっとだけ減ったのは、Teaganがうだうだとしすぎて、Valeriaを手に入れるために自分の人生を変えようとなかなか行動に移さなかったこと。あんなに自分の人生や社会での立場に嫌気が差していたのに、と。
それでもそんな私の疑問はささいなもので、これも満足の一作でした。


To Seduce a Bride

2009年02月26日 | J-K
Nicole Jordan. 2008. To Seduce a Bride. Ballantine Books.

Courtship Warシリーズ3作目。Loring姉妹の三女Lilianaと、前回作2作のヒーロー達の親友Claybourne侯爵のお話。

Story:

今回の3作目は前回2作からのワンパターンだし、ヒロインLilyに共感もできず、私からはダメ出し。ハートマーク2個半です。


三姉妹の中でも一番活発で気が強いLilianaは、姉Arabellaの結婚式でHeath(Claybourne侯爵)と出会います。

彼の魅力にもちろん気づくLilyですが、Heathに失恋した女性は数多。自分もそのうちの一人にならないように言い聞かせます。
が、なぜかHeathは執拗にLilyを追い求めてきます。

両親の悲惨な結婚生活を見て育ったLilyは、モテ男のHeathの魅力に恐怖心させ覚え、彼を避けるためにしばらく姿を消すことにします。そうすれば彼もあきらめてくれるだろうと思ったのです。
昔住んでいたHampshireへ行くと周囲には告げ、ロンドンに住む友人で高級娼婦のFannyのもとへ転がり込みます。

Heathは親友の結婚式でLilyに紹介されて以来、こんなにも快活で下心のないLilyに興味を抱きます。
結婚式の後、厩舎で子猫と遊んでいたLilyと話をするうちに、もっと彼女のことを知りたいと思い始めます。
次の日の朝、彼女を訪れるとあからさまに迷惑な顔をされますが、こんな女性は初めてだと、またさらに彼女に対する興味が深まります。

自分のことももっと知って欲しいHeathはきちんと交際をしたいと告げると、Lilyはあっさり田舎へ逃げていってしまいます。
ここであきらめるはずがないHeath。Hampshireへ「仕事」と称して出かけますが、まんまとだまされたことに気づくのに時間はかかりませんでした。

数ヵ月後(2作目のRoslynとArden公爵が婚約したあたりで)、ロンドンのFannyの友人達や若い娼婦達が住む寮に潜んでいたLilyを見つけ出し、改めて交際したいと告げますが、Lilyはかたくなに拒否。

それを見た娼婦たちの提案で、この先2週間の間にとあるゲームをし、侯爵が勝てばLilyは正式に、公に侯爵と交際し、侯爵が負ければ彼はLilyをあきらめて姿を消さなければいけない、という約束をします。

ゲームというのは、2週間の間にどれだけ侯爵がLilyと審判(娼婦達)にいい印象を残せるかというもの。例えば、Lilyが忘れられないような贈り物をするとか、彼女の願い事を聞いてあげるなどです。

                        

侯爵はがんばり、Lilyも彼の魅力には抗いがたいけど、それでもかたくなにお話の終わりのほうまで彼を拒否しつづけます。

両親の悲惨な結婚生活のせいでLilyが結婚そのものを拒否するようになった経緯は分かったけど、Heathの誠実さに触れてからも彼との交際にさえも踏み切れないLilyの心理描写はお粗末で理解できませんでした。

それに、最後は前回2作と同じ展開だろうと予測できたので、最初からこのお話にはあまり引かれるものはありませんでした。


ちなみに今回のヒーローHeathは、去年急死した豪州人俳優ヒース・レジャーがモデルだそうです。


4作目は、Danvers伯爵(1作目)の妹と、彼女が昔婚約解消してフッた紳士のお話のようです。

Book1: To Pleasure a Lady
Book2: To Bed a Beauty
Book4: To Romance a Charming Rogue

To Bed a Beauty

2009年02月26日 | J-K
Nicole Jordan. 2008. To Bed a Beauty. Ballantine Books.

まずは訂正から…。
3連作ではなくて、シリーズのようです。
今回のTo Bed…はThe Courtship WarシリーズのBook2。

Story:      
Dialogue:  
Hero:       
Heroine:   
Sensuality:

1作目のH/Hの結婚をよく思っていないArden公爵とLoring3姉妹の次女Roslynが今回の主役。

前回作のH/Hの結婚式が終わった辺りのシーンで、Roslynが姉から「公爵と何かあったの?」と聞いているシーンがあったり、「何も」と言ったわりにはRoslynと公爵(Drew)は実は何かあったのが分かる伏線が引かれており、この2作目がすごく気になってました。

Roslynは3姉妹の中でも一番の美人。本来、両親が起こしたスキャンダルさえなければ、社交界一の華とうたわれもてはやされていただろうという容姿だけでなく、知性も持ち合わせています。
でもそのスキャンダルのせいで、これまでに受けたのはきちんとした結婚の申し込みではなく、良からぬ申し込みばかり。
両親のひどい結婚生活も影響して、Roslynは絶対恋愛結婚するんだと心に決めていました。
そのお相手にと選んだのが、近くに住む伯爵。
お互い少し話をする程度だけど、伯爵のほうもまんざらではなさそうなので、このまま徐々に接近すれば恋が芽生えると確信しているRoslyn。伯爵との結婚をものにするためにがんばっていました。

周りの紳士達を見ると、男性が愛するのはどうも「妻」ではなく「愛人」ではないかと思ったRoslynは、昔からの友人で今ではロンドン一の高級娼婦Fannyの助けを借り、愛人らしくなって伯爵を誘惑するために娼婦達が集まる仮面舞踏会に参加。

そこでArden公爵に見初められてしまいます。

Ardenはこの謎の娼婦が親友の新妻の妹だなんて知りません。
彼女の美しさと垣間見た知性に惹かれ、愛人になるよう申し出ますが、彼女は名も名乗らずに逃げていってしまいます。

が、なんと、2週間後の親友の結婚式でバッタリ再会。
舞踏会では仮面をかぶっていたとはいえ、彼女を忘れるなんて不可能。
「一体何をしていたんだ」とつめよります。

Roslynがあきらめて何もかも正直に「伯爵を誘惑する」計画を公爵に話すと、公爵は思いもよらず自分がコツを教えると申し出ます。

                      

Nicole Jordanの作品はどれもとてもセクシーだけど、内容の濃さは求めてはいけません。
でも今回私からの評価が高くなったのは、ヒーローがものすごくやきもちを焼くという私が好きなパターンだったからです。
Roslynはご近所の伯爵を追い求める。そんなRoslynに片思いしはじめ、彼女が伯爵と少しでもしゃべろうもんなら怒りがるこみ上げる公爵。
それでも彼女の手助けをすると約束した以上、約束を守らなければ…と苦悩、というパターンです。

時々つまらないと感じる箇所もあるし、何度も言うけどJordanの作品に本物のリージェンシーを求めるとバカを見ます。
でも、このシリーズ2作目は楽しめました。

Book1: To Pleasure a Lady
Book3: To Seduce a Bride
Book4: To Romance a Charming Rogue (2009年2月発売)

To Pleasure a Lady

2009年02月18日 | J-K
Nicole Jordan. 2008. To Pleasure a Lady. Ballantine.

The Courtship Wars Trilogyの1作目。

Story:      
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Hero:       
Heroine:   
Sensuality:


ロンドン社交界の花婿候補No.1のトリオ(でも結婚だけは嫌!という)伯爵、侯爵、公爵それぞれのロマンスが3連作に。
この1作目はMarcus Pierce(Danvers伯爵)と、そのお相手Miss. Arabella Loringのお話。


Marcusは図らずも遠縁の人からDavers伯爵領を相続。相続したのは称号や領地だけではなくて、結婚適齢期の3姉妹。
でもこの3姉妹の両親というが、数年前に大スキャンダルを起こし、結婚の見込みはありません。

でもMarcusは彼女達に多額な結婚持参金を持たせ、さっさとロンドンの結婚市場に出し片付けようと算段します。

そこへ、3姉妹の長女Arabellaが抗議しにMarcusを訪れます。

なんとかかんとか友人の助けやコネで、中産階級のお嬢様向けの女学校を開設し、独立して自由にやっていたArabellaは、この新しい後見人のおかげで自由が奪われそうになるどころか、知らない人と結婚させられるなんてまっぴらだと、真っ向から勝負するつもり。

が、そんな強気で美しいArabellaを見たMarcusは、こんな人とだったら結婚してもいいかもしれないと思いはじめます…。

                   

最初に読み始めた時は、ヒーローの肉体美やカリスマ性などの描写に集中しすぎていて、会話内容やロマンスの内容が薄くワンパターンの印象が強かったです。
そんなのが嫌になっていた時だったのでうんざりし、途中放棄していました。

でも、しばらくしてからエンターテイメントに…ともう一度最初から読み直したら、

「ま、こんなもんか」


バログのようなコテコテのリージェンシーやヒストリカルが読みたい時にはこれはNG。
官能度重視のものが読みたければ、このJordanの作品、どうぞ。


Book2: To Bed a Beauty
Book3: To Seduce a Bride

Everynight Im Yours

2008年10月27日 | J-K
Christie Kelly. 2008. Everynight I'm Yours. Zebra Historical Romance.

デビュー作。
ヒーローがしつこくワケありのヒロインを追い求めるという私が好きなタイプのお話。

Story:      
Dialogue: 
Hero:       
Heroine:   
Sensuality:


結婚は絶対にしないと心に決めているMiss. Avis Copleyは、良家出身ですが、小説家を目指しているスピンスター。
でも、26歳の誕生日を迎え、自分のお話に書くようなアツイ経験をしていないことをひどく後悔し始めます。しかも、自分のお話しに書くものが本当かどうかも分かりません。

そこで、恋人を作ろうと衝動的に決心。
お相手には長年小説志望仲間で、出版経験もあるハンサムなEmory Billingsworthを選びますが、実は彼はAivsは知らないだけで、かなりの悪漢。
Avisの親しい友人の一人がそれを察知し、Banning Talbot、Selby伯爵に漏らします。

BanningはAvisとは長年の知り合い。
昔、Selbyがやったバカな賭けのせいで二人はいつもケンカばかりでしたが、Avisがあの女性に平気で暴力をはたらくようなEmoryを恋人にしようとしていることを聞いて、友人の頼みもあり、介入することに。
そして、彼女のバカな計画を阻止するつもりだったのが、そこから自分が恋人になって色々教えてあげるという話に…。

二人はこれまでの痴話げんかなどウソだったかのように、アツイ2週間を過ごします。
                   

BanningのAvisに対する「実は心の奥底では…」という気持ちが案外正直で、そんなに簡単に悟ったことをなんで今まで何年も気づかなかったんだと思ったりもしたけど、他の本だとこういう正直な気持ちに最後の最後まで抵抗するヒーローが多い中で、新鮮でもありました。
さらに、2週間の関係が終わってからの彼の態度も私のツボ入り。

別に目新しい筋書きではないし、Wallpaper Historicalですが、なんだか最近これといって最後までのめりこめるようなものに最近出会っていない私には満足の一冊でした。

Enchanting the Lady

2008年05月05日 | J-K
Kathryne Kennedy. 2008. Enchanting the Lady. Love Spell: Paranormal Romance.

1882年のロンドンが舞台のパラノーマル。ハリポタとHRを混合したような感じです。魔法の強度やスキルによって爵位が決まっていたり、宮廷でのお披露目は魔法試験のようなものになっています^^

Story:       
Dialogue:  
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Sensuality: 

イジワルないとこと叔父と叔母の世話になっているハリポタのようなLady Felicity Seymoreは、誰からも気づかれないような女の子で魔法の力も持っていないみじめな人生を送っていました。
でも宮廷でのお披露目/魔法の試験にパスしないと、両親の公爵領が他人の手に渡ってしまいます。
そんなFelicity、宮廷でこれまで見たこともない野性的で美しい狼男の男爵、Terence Blackwellと出会います。

獣に変身できる者には魔法はききません。その性質を生かして、Relicという邪悪な魔法狩りの任務を仰せつかっているTerenceは、Felicityの魅力の虜になりながらも、彼女からRelicを嗅ぎ分けます。

彼女に近づくのは仕事のためだと自分にも他人にも言い聞かせながら、Felicityと偽の交際を始めます。


            

これも、アマゾンの大多数の感想とは違って、私からはそこそこです。
ヒロインは泣き言ばかり言っているあんまり頭がいいとは言えない女の子で感情移入できませんでした。
ヒーローはかっこよかったんですけど、あといくつか別の本を読めば忘れてしまうだろうというくらいの印象です。他のキャラクターもそうです。
これ、作者には2冊目で、シリーズの1冊目だそうですけど、これからもっと良くなることを願います。悪くはないんです。

ヒストリカルロマンスファンとしては、爵位の意味が全く違うので「え、そんな」と戸惑ったけど、ま、パラノーマルなので、これもアリか!

ヒストリカルの設定でこういう魔法ものを読みたいんだったら、Susan Spencer Paulがオススメとアマゾンに書いてあったので、これからチェックしてみます。
ご存知の方がいたら、チョロッと感想をお聞かせ願いマス

The Sense of Honor

2008年04月11日 | J-K
Ashley Kath-Bilsky. 2007. The Sense of Honor. Highland Press.

アマゾンでは5点満点。
腹筋がきれいに割れたこのお兄さんも剣も、あまりお話とは関係ありません…。

Story:      
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Devlin Grayson(Pemberton公爵)は、突然遠縁に当たるBellewick伯爵(かなんか)からBellewick Abbeyとその領地を相続します。
しかしこのAbbeyは倒産寸前で、しかもBellewickが後見人となっている子供も存在するのではないかということがわかると、早速Abbeyへ向かうことにします。
でも、友人たちにこの話をするとおもしろがって、その子供の謎を早く解決するには本当の身分は隠して領地支配人として行ったほうが使用人たちが早く馴染んでくれていい、と乗せられます。

すでに過大な土地・財産があるDevlin、面倒だなーと思いながらもAbbeyへ向かいます。が、若くて美しいハウスキーパーのChristianaと出会い、「さっさと終わらせてロンドンへ帰るゾ」という計画は変更になりそう…。
それに、Abbeyのことや伯爵が後見人だったという子供のことを聞こうとすればするほど、彼の邪魔をしているように見えるChristianaのおかげで、てこずります。
それにChristinaの魅力には抵抗しがたいものがあります。

Christiana Tatumは自分にとって大切な人を守るためならどんな手段でも使うと心に決めています。すでに、自分の今の生活と周りの人たちの平和な暮らしを守るためにChristianaは過大な努力を費やしており、危険に身をさらす日々。
そんな中、新しくAbbeyを牛耳ることになったという公爵の領地支配人が来て、Christianaは身構えます。
土地管理のことだけではなくて、Christiana達が「存在しない」と言い張る子供のことなどを嗅ぎまわるDevlinに対して警戒心を抱くのですが、Devlinに対する気持ちには歯止めがかかりません…。

                    

なぜアマゾンのレビューほど私の評価が伸びなかったというと、このお話のキーでありツイストでもあるChristianaの生い立ちの秘密がなんだか現実感が沸かないものだったというのが大きいです。設定が非現実的すぎると登場人物に感情移入しづらいんですよね。
それに会話なども特に印象深いものではなく、メロドラマチックすぎで私の好みじゃありませんでした。

ただ、後半は二人がとってもラブラブ。
Christianaの秘密やDevlinが身分を偽っているせいもあって切ない展開です。

アマゾンの大絶賛ほどとまではいかないのですが、全体的には十分楽しめます。

Ashblane's Lady

2007年11月26日 | J-K
Sophia James. 2007. Ashblane's Lady. Quills Harlequin Books S.A..

HQヒストリカルです。

私からのハートマークは3つ半だけど、馬鹿にすることなかれ。
なかなかのオススメだと思います。

Story:        
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ハイランド。
Laird of AshblaneであるAlexander Ullyotは自分の領地とライバルの領地の境界線をめぐっての戦いで、ライバルの妹Lady Madeleine Randwickを捕らえます。
この戦いで大切な友人で戦友を失ったAlexanderは、Madeleineを利用して必ず敵に復讐してやると誓います。

この境界線をめぐる戦いにおいて、敵方もやっているように、Alexanderも政治的カードとしてMadeleineを利用することに何も罪悪感など感じなくてもいいんだと自分に言い聞かせます。
が、口を開けば彼女の髪の色をほめている始末…。

美しい夕焼けのような赤毛に柔和な肌、そして意志の強さも示す官能的な低い声のMadeleine。
Alexander自身の怪我や彼のの兵士たちの怪我を治し、少しずつ領地の人たちに受け入れられていきます。

復讐を果たしたら捨てるはずだったのに、怪我や病気を治す不思議な力も持ったMadeleineにAlexanderは惹かれていきます…。


                     

最近読んだ別の本に感化されていたせいもあって、お話自体はしりずぼみですが、かなり楽しめました。
これまで、私のお気に入りのリージェンシーに比べて、他の読者がはまってしまう中世ものの魅力って何だろうって思ってたんです。

読んで影響を受けたのはS.KenyonのDark Hunterシリーズです。このシリーズのヒーロー達は、ローマ帝国時代やギリシャ神話、ケルト人など、「ヒストリカル」なんです。

これまで中世モノでは、原始的で野蛮なだけの印象を与えるヒーローが多くて、あんまり魅力を感じませんでした。
でも、Kenyonがこういうヒストリカルなヒーロー達に与えた過去っていうのが、すごいんです。彼らが負った使命、部族からの裏切りや敵からの残虐な仕打ちなどで、この時代のヒーロー達に対する印象がすっかり変わりました。
この時代に生きた男性に対するヒロイズムや幻想をKenyonの目を通して知り、私も何がロマンチックなの分かるようになったかも~!

だから今回のこのAshblane’s Ladyのお話もヒーローもヒロインも、S.Kenyonを読んでなかったらもうちょっと評価が低くなってたかもしれません。

もう一つ、中世モノではJane Featherの"The Widow’s Kiss"を読みました。これもナカナカ良かったです。

Too Wicked to Tame

2007年11月14日 | J-K

Sophie Jordan. 2007. Too Wicked to Tame. Avon Historical Romance.

Avonもよく、どうでもいいもの出しますよね。
でも、なんとアマゾンではこの作品は今のところ星4つ半!
私は少数派のようです。

Story:       
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Sensuality: 

いかにも、
ラブシーンだけが強調された話だよというような表紙なので、公共の場では読めません。
以前、Angie’s Romance Reviewで、Angieが「表紙の趣味が悪いものは中身もあんまり期待しない」と書いていましたが、私もこれ、当たることが多いと思います。

Lady Portia Derringは、公爵の娘で地位に関しては文句なし。でも家計がかなり危ないので、家族のいいつけでヨークシャーの田舎に住むお金持ちの伯爵のもとへお見合いをしにいきます。

旅の途中、Portiaの馬車が故障し、大雨が降る中助けをもとめに歩いていると、とてもハンサムだけど嫌な感じのMoreton伯爵と出会います。

その時はお互い身分を明かさなかったので、次の日に伯爵邸で再会してびっくり。

"Mad" Morteonの血を受け継いでいる伯爵は、この血は自分で途絶えさせると決心しているので、結婚は絶対しないつもり。

それなのに、Portiaは魅力的。でも彼女は自分のものにはできない、という苦しみを味わいます。

               

あらすじはおもしろそうに思えたから図書館で借りてきたんですけど、H/Hは魅力的ではないし、会話も恐ろしいほどつまんないし、ストーリーラインは単純で予測可能な展開。

ザザザーと何も感じることなく流し読みしました。

Jordanのデビュー作品ということですが、もっとヒストリカル小説を書く上で最低限の勉強が必要なようです。言葉使いや、敬称など、特に。


Only A Duke Will Do

2006年11月10日 | J-K
Sabrina Jeffries. 2006. Only a Duke Will Do. Pocket Books Romance.

The School for Heiressesシリーズ。
これの芽となったのはAnthologyの"The School for Heiresses"。 Jeffiesの他に、Liz Carlyle、Julia London、Renee Bernardが筆を寄せているようです。

Jeffriesのもう一つの"Royal Brotherhood"シリーズではヒーロー達がGeorge4世(元Prinny)の隠し子達。今回の作品のヒロインのLouisaは、"
To Pleasure a Prince"のヒーローDraker子爵の妹です。

とにかくJeffriesの作品はPrinnyの隠し子がゴロゴロ。ここまで大胆な設定は他にしりません…。

Story:     
Dialogue:
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Heroine:  
Sensuality:

主人公の二人、Miss. Louisa NorthとSimon、Foxmoor公爵は7年前に結婚までしそうになった仲。でもLouisaの父George4世が介入したせいで誤解が生じ、Simonはインドへ。Louisaは女性地位向上のために一生懸命活動していました。

でもLouisaの政治活動が王のやりたい政治に影響してきて困るというので、7年ぶりに帰ってきたSimonに王は早速アプローチ。Louisaとの結婚を許すから、早いとこ結婚しておとなしく家にいるように教育しなおして欲しい。その代わりに次期首相の座を約束する、と。

7年前も王との「契約」のせいでLouisaを失ったけど、首相の座は絶対に欲しいSimon。Louisaのことは今でも好きだし、今度こそ結婚するぞと取り憑かれたようにLouisaを追います。
(結局7年前に何があったのかははっきりとは書かれていなかったような…。)

ひどく裏切られたのでもうSimonのことは信用できないし、子供を生むのも恐いし、絶対に結婚はしないと決めているLouisa。でもいくら避けても行く先々にSimonが現れ、7年前のように誘惑しようとします。
随分ガンコなLouisaですが、徐々に「もしかしたら…、ほんとに?」と思い始めます。

         

"To Pleasure a Prince"と同様、予測可能なお話ですが楽しめました。
Simonが密かに王と交わした「契約」がLouisaにばれるのや、Louisaのトラウマなど、思ったとおりにお話が運びますが、SimonがLouisaのことを思うのにはドキドキします。

Simonの過去にはちょ~っと引いてしまいましたが、ま、あまり気にしなければ…。
彼のペットのおサルさんがすごくかわいいです

エンターテイメント性たっぷり。結構オススメです。

Fever Dreams

2006年08月03日 | J-K
Nicole Jordan (2006)Fever Dreams.
Ballantine Books.

最近発見したJordanのParadiseシリーズ4作目。2作目"Lord of Seduction"も良かったですよ。
今回も、ロマンスもセクシー度も満足
でも、実は先日読んだCornickのコテコテリージェンシーロマンスが影響しているので、評価は低めになったかも…。

       
Story:  
Dialogue:
Hero:   
Heroine:
Sensuality:

Eveを一目見た瞬間からAlex Ryderは恋に落ちてしまいます。Eveも彼のことは好きでしたが、家計の傾いてしまった家を救うためにある伯爵と形だけの結婚をしてしまいます。
6年後、Knight称号を受けSir Alexとなっていた彼は未亡人となったEveを今度こそ自分の花嫁にするゾと決心します。

一方Eveのほうは自分の苦い結婚経験から、他の女性達には同じ思いはさせたくないと、依頼があればマッチメイキングをしていました。

もう結婚にはコリゴリのEveに対し、花嫁を探してもらうウソの依頼をしてEveに接近しようとするAlex。
長年の片思いが実りそうで実らないかわいそうなAlexと、花嫁を探してあげると約束はしたものの、なんだか自分が選んだ花嫁候補達に焼きもちを焼いてしまうEve。
かわいかったです。

            

ちょっとラブシーンはくどいかもしれないし、サスペンスもそんなに入り組んだものでもないし、女性キャラ達は何かというと"Oh Sir Alex,you saved my life!"(他に何か言えよ)でDialogueも貧弱と言えば貧弱・・・なのでお話の内容の濃さは期待できないかもしれませんが、長年の片思い(だと思ったけど実は両思い)が実るお話が好きなので、個人的には十分楽しめました

Nicole Jordan、気になる方は是非お試しアレ。

In the Prince's Bed by Sabrina Jeffries

2006年06月26日 | J-K

Sabrina Jeffries (2004) In the Prince's Bed.
Pocket Star

Story:   
Dialogue:
Hero:     
Heroine: 
Sensuality:

Royal Brotherhood シリーズの1作目。
Prinnyの隠し子3人がヒーローという大胆な設定。予測通りのお話の展開でしたが、全体的には十分楽しめます。

ヒロインMiss. Katherine Merivaleの家は貧乏。でも結婚すれば祖父の遺産を受け継ぐことができ、かなりのお金持ちになれます。
が、逆タマをねらう紳士達を避けるためにも遺産のことは秘密です。

Iversley伯爵、AlecはPrinny自身もその存在を知らないけど彼の隠し子。
傾いた伯爵領の財産を立て直すために、密かにお金持ち令嬢を探していました。
あと2人のPrinnyの隠し子・異母兄弟の助けをかりてKatherineのことを知ります。早速結婚へと持ち込むため彼女に近づきますが、彼女は幼なじみのSir. Sydneyと婚約寸前。

ナヨナヨしたお母さんっ子Sydneyがなかなかプロポーズしてくれないので2人が口喧嘩しているのを立ち聞きし、これは自分にチャンスありだとAlecはRakeモード全開でKatherineを誘惑しようとします。
でも計画が台無しになるといけないので、財産目当てで近づいたということは、彼女には秘密。

Katherineは放蕩者の父親を見て育ってきたのでRakeっぽいAlec
のことをなかなか信用できませんが、でもでも、彼の甘い言葉にオチそう・・・。

               
Prinnyの隠し子だという事実は直接的にロマンスには関わってこないので、なんでこんな設定にしたのか不思議です。自分の生い立ちのせいで苦悩するヒーローにしたかったのかな?
次の2作も読んでみる価値アリかな。