ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

Lord of Seduction By Nicole Jordan

2006年06月06日 | J-K

Nicole Jordan (2004) Lord of Seduction. Fawcett.

Story:    
Dialogue: 
Hero:     
Heroine:  
Sensuality:

色んなことが起こる長いお話なので、今回のあらすじは出だしの部分だけ・・・。


The Guardiansという英国のスパイ組織の一員でもあるThorne子爵は、もう少しのところで結婚させられそうになりCyrene島へと逃れます。

ヒロインDiana Sheridanは過去のスキャンダルのため、かわいいいとこを社交界デビューさせてあげたくてもできません。そこで、後見人であるThorneの所へたのみにいきます。

ロマンチックでセクシーな神話に満ちたCyrene島で、出会った瞬間から二人は強く惹かれあいます。

Thorneは友人の死の謎を解決するためにもロンドンに戻らなければいけませんが、結婚の罠を企てる父やご婦人方を避けるためにもDianaに婚約者のフリをしてほしいと申し出ます。
過去に恋愛で痛い思いをしているDianaですが、自分が社交界で尊重される立場になれば、いとこにもいい結婚相手がみつかるだろうと承諾し、二人はロンドンへ戻ります・・・。

            

熱いラブシーンがたくさんありますが飽きさせません。
Thorneの熱いセリフが私の好みではないので少し引いてしまいましたが、人の好みは色々なので、これぞLord of Seduction!と思う人もいるかもしれませんね。

Thorneは子爵と名乗っていますが、本当は公爵の跡継ぎなので侯爵のはずです。
が、クレイパスの「
Devil in Winter」のヒーローのように「Fashionable」だから子爵と名乗っていたのでしょうか。説明が全くありませんでした。


とにかく長いお話(全445㌻)なので最後のほうは萎えるかも?
でも読み応えのある一冊。


Devil in Winter

2006年03月24日 | J-K

Devil in Winter
By Lisa Kleypas (2006)

クレイパスのスポットライト特集は
こちら

Story:   
Dialogue:
Hero:    
Heroine: 
Sensuality: 7

Wall Flower シリーズ3作目、エヴァンジェリーンのお話です。

ヒーローは放蕩物で女たらしと悪名高きSt.Vinsent子爵。

ヒロインのエヴァンジェリーンは人と話すときは緊張しすぎてドモるほどの恥かしがりやです。上流階級出身の母親と賭博場経営者という卑しい身分の父親との間に生まれましたが、母親がお産で亡くなっているので母親の親戚に育てられました。ですが、叔父や叔母は大変意地悪でエヴァンジェリーンは虐待されていました。
父親が危篤状態と聞いたとき、エヴィは父の所へ行って看病し最後を看取りたいのですが、暴力的な叔父と叔母から逃れることはできそうにありません。

結婚して叔父叔母の家から出れば父のところへ好きなときに行けるようになるはず、とエヴィが考え付いた唯一の方法は、St.Vincentに形だけの結婚を申し込むことでした。
父が亡くなればかなりの遺産を相続することになるのですが、St.Vincentがかなりお金に困っているのを知っているので、一か八かの賭けに出ます。

あっさりSt.Vincentが承諾するくだりでは、こんなヤツ最低と思わずにはいられないのですが、Gretna Greenへ駆け落ちする道のりですぐに見直してしまうほど、彼のやさしい面が描かれています。

引き込まれるような会話があまりないのと、St.Vincentがエヴィをかばって撃たれ重傷を負ってから、話が少し単調になってしまったのには物足りなさを感じましたが、それでも全体的にはクレイパスならではの緊張感のあるセクシーな世界を満喫できます。

グレトナグリーンでの駆け落ち結婚のシーンでは、作者が当時のことをよくリサーチしてあり、これまで読んだ作品よりも詳細が分かって面白いです。

次のお話の伏線もあり、どういう風に次回作の主人公の二人が再会するのか、ファンの人にはこれからまた数ヶ月間のSweet agonyが待っているかもしれません・・・。


Enchanting Pleasures

2006年03月23日 | J-K
Enchanting Pleasures
By Eloisa James (2001) エロイザ・ジェームズ

Story:  
Dialogue: 
Hero:   
Heroine: 
Sensuality: 7

長いお話です。ヒーローはDewland子爵の跡継ぎで、ニックネームはQuill。昔あった事故の後遺症のせいで普通の結婚はできないとあきらめているため、父親の子爵は跡継ぎを確保するためにQuillの弟Peterとヒロインを結婚させようと彼女をインドから呼び寄せます。

ヒロインはインドで生まれ育ったイギリス貴族の娘、Gabrielle。明るくて純粋です。Quillの弟の小さな肖像画を胸に、幸せな結婚を夢見ながらロンドンに渡ってきました。しかし港で迎えてくれたのは、婚約者の肖像画とは全く反対の厳しい雰囲気が漂う兄のQuillでした。

結婚などしたくないとすねて留守にしていた弟の代わりに、クイルはガブリエルを迎えに行きますが、美しいガブリエルを一目見て、弟ではなく自分の花嫁だったらいいのにと強い欲望に駆られます。日がたつにつれても、純粋さのために自分の女性としての魅力に無知でしかもがんばりやのガブリエルを自分のものにしたいというクイルの気持ちは強まる一方です。

ガブリエルはロンドンに着いて以来、完璧主義者の婚約者・ピーターの要望に応えられるようイギリス上流社会のルールなど一生懸命学びますが、何をやっても失敗ばかりで落ち込む日が続きます。そんな中、クイルはガブリエルの失敗をいつもフォローしてくれるたよれる存在になっていき魅かれていきますが、世間知らずなあまりに自分の気持ちに気付かず、ピーターの気に入る婚約者になろうとがんばりつづけます。

ある夜会で、ガブリエルは大スキャンダルになりかねない状況に陥りますが、救ってくれたのはクイルでした。クイルはこれをきっかけに、事故の後遺症などおかまいなしにガブリエルに結婚を申し込み、結婚します。

お話の後半はがらっと様子が変わって、クイルの事故の後遺症との格闘です。アマゾン利用者のように星4つあげられないのは、この後遺症をどんな手を使っても治そうとするガブリエルと、何もかもためしたけどだめだったからもういいんだとあきらめているクイルのケンカばかりだったからです。あまりロマンチックとは言えず、嫌な雰囲気ばかりが漂う暗いお話になってしまっています。

話しの脇で、クイルの知り合いの侯爵と親から勘当され貧乏暮らしをしていたある貴婦人とのロマンスも描かれていました。どこかで本筋とからんでくるわけでもなく、これはこれでいいストーリーだったので、別のお話にしたほうがよかったと思います。

Somewhere I'll find you

2006年03月07日 | J-K
Somewhere I'll Find You
By Lisa Kleypas (1996) リサ・クレイパス

Story:   
Dialogue:  
Hero:    
Heroine:   
Sensuality: 7.5/10

ヒーローのDamien、Savage侯爵(Leeds公爵の跡継ぎ)とヒロインのJuliaは子供の時に、双方の家の利益のために結婚させられました。その後二人は全く別々の人生を歩んでおり、ダミエンは裕福になり、ジュリアは舞台女優になっていました。

ダミエンはある日、有名な舞台女優[ジェシカ]に一目ぼれします。実は彼女が行方不明になっている名前ばかりの自分の妻ジュリアだと知らずに最初から強く魅かれていきます。

ジュリアも自分の夫だとわかっていながら魅かれていきます。ですが、ジェシカとして彼の愛人にはなれないし、自分が妻だと明かせば女優としてのキャリアと自立性が奪われるのでかたくなにダミエンを拒みます。

お話の後半は真実が明かされ、ダミエンが一生懸命ジュリアを説得するのに費やされます。マジメで苦悩に満ちたヒーローはまあまあですが、ヒロインジュリアのキャラクターは尊重できる部分はあっても同感できる部分はあまりありません。

この作品の大きな欠点は、ジュリアがダミエンと結婚できない理由にあります。彼女の主な言い分は、女優として成功しており自分で自由になるお金もあり独立しているので、結婚して旦那の言いなりになって窮屈な生活はしたくない、というようなことです。ですが、当時の舞台女優は高級娼婦でもあったので、(もちろん、ヒロイン自身は体を売らない舞台女優となっていますが)自立とひきかえにそのような卑しい身分に留まっていたいというヒロインの気持ちには同感できません。リージェンシー時代の上流社会で育った女性の考えだとは納得し難いです。しかも話が進むにつれ、この彼女の大義名分が説得力に欠けてくるのです。現代のキャリア志向で独立した女性の気持ちを反映させたかったのでしょうが、このお話では無理があります。

お話自体があまり印象的でないのでラブシーンも印象に残りませんが、それでもクレイパスならではの期待を裏切らない7.5です。 クレイパスはもっといいものを書いていますが、この作品は時間がある時にザーと読み流すのがいいと思います。

Spoiler
お話をひねるために、ダミエンの過去の愛人が妊娠をいつわるのや、次の作品のヒーローLogan Scottが位置づけできない役どころで出すぎているのは、お粗末でした。