
「処分者の井上、入江、池田、岡本、宮下」「山健組処分者の織田」に込められたメッセージ 6代目山口組の人事を読み解く
4/30(水) 6:00配信
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デイリー新潮
4月18日の幹部会で
6代目山口組の司忍組長
4月18日、6代目山口組で若頭が交代する大きな人事があった。7代目トップがはっきりと見える内容で、相談役ポストが新設されるなど話題になったが、その狙いはどこにあるのだろうか。
【写真を見る】6代目山口組で新ポストに就任した2人がそろい踏み…稲川会・清田総裁の弔問のために新横浜駅を訪れたの高山相談役と竹内若頭など
4月18日、《ナンバー2の「若頭」が交代したことが、関係者への取材で分かった》と他に先駆けて、スクープとして報じたのは神戸新聞だった。《長年にわたって強権的な支配体制を敷いてきたとされる高山清司若頭(77)が新設ポストの「相談役」に就任。後継には、同じ直系組織・弘道会(名古屋市)出身の竹内照明若頭補佐(65)が就いた》《弘道会出身の篠田建市(通称・司忍)組長(83)から、竹内若頭へトップを継承させることを見据えた動きの可能性がある》と続く。
実際にこの日、水谷一家(本部:三重県四日市市)で司組長も出席した幹部会が開かれた。その場で若頭の交代と藤井英治若頭補佐(国粋会会長)が顧問に、代わって高山若頭付の豪友会・加藤徹次会長が若頭補佐に昇格する人事が発表された。
相談役ポストが新設されて
ちなみに豪友会から若頭補佐が出るのは、山一抗争の最中に竹中4代目とともに襲撃され、亡くなった初代の中山勝正会長以来のこととなる。
「人事のハイライトはもちろん若頭の交代と相談役ポストが新設され、そこに高山若頭が就任したことです」
と、担当記者。
「6代目山口組は4月7日、執行部3名を兵庫県警本部に派遣し、“神戸山口組との抗争を終結する”旨の宣誓内容を伝えました。8日には6代目山口組の直参・舎弟を集めた緊急会合が開かれて“抗争終結”に関する説明が行われていたので、人事に関する動きがあるのではと見られていましたが、高山若頭の新しいポジションまではなかなか想定できませんでした」(同)
一方的な抗争終結宣言に至るまでの流れを改めて振り返っておこう(肩書は当時のものを使用)。
連判状から要望書へ
3月13日、愛知県津島市の玉屋一家(6代目山口組の3次団体で、上部組織は3代目弘道会)本部において、高山若頭と竹内若頭補佐、そして6代目稲川会の内堀和也会長とが話し合いを行った。テーマは抗争終結で、「神戸山口組の井上邦雄組長の引退と組織の解散を促すべく全国の主だった任侠団体の賛同を取りつけ、抗争終結に向けた打ち合わせをするためのものだった」とされた。その後、「全国の主だった任侠団体の賛同を取りつけ」る連判状の手配が進んだが、井上組長は外部の人間との面会を拒否しているということで方向転換を余儀なくされた。具体的には、6代目山口組に対して抗争をストップするように要望する立てつけになったようだ。
この要望書は4月4日、内堀会長と9代目住吉会の小川修司会長によって6代目山口組執行部が集まる瀬戸一家(本部:愛知県瀬戸市)に持ち込まれたとされる。
4月7日になって、高山若頭と藤井若頭補佐、竹内若頭補佐が稲川会館(神奈川県横浜市)に出向き、内堀会長と小川会長に要望書の受託を伝達。一方、先述の通り、執行部の3人が兵庫県警に出頭し、一方的な抗争終結宣言を行った。その中身は以下の通り。
組織として認めていない
《この度は全国の任侠団体の申し出により山口組は処分者の井上、入江、池田、岡本、宮下との抗争を終結する事にしました。尚、山健組処分者の織田とも今後一切揉める事はしません。一般の市民にはご迷惑お掛けしました。高山清司 執行部一同》
一見、シンプルな文面だが、元山口組系義竜会会長の竹垣悟氏(現在は、NPO法人「五仁會」を主宰)はそこに含意があるという。
「“処分者の井上、入江、池田、岡本、宮下”“山健組処分者の織田”の部分に注目してもらいたいのですが、彼らが立ち上げた組織名が1つも入っていません。6代目山口組側は彼らを組織として認めていないという強い思いが込められていると見ました」
翌8日、前述のように平井一家本部(愛知県豊橋市)に直参舎弟全員が集められ、抗争終結の一件が伝えられ、18日の新人事に至ったというわけだ。
今後の展開について、先の記者に聞くと、「高山・新相談役は隠居ということではなく、竹内7代目体制へのスムーズな代替わりを補佐するという役割を担うのではないでしょうか。そう長い期間ではないと思いますが、代表取締役が3人いる会社と同じような状況にあるのかなと見ています。3人とも出身組織が同じだというのは前例のないことですが」と分析する。
今回の発表前には人事をめぐって司・高山の2トップの間にわだかまりが生まれている……といった内容の怪文書が流れた。早い段階から「事実に基づくものではない」とされ、実際、新人事は怪文書の内容を否定するものとなっている。一方で高山相談役は怪文書を流した「犯人」を特定し、その親分を厳しく叱責したとの情報も流れている。
「いずれにしても、高山相談役は組織の引き締めに今後も睨みをきかせ続けるのではと見られています」(前出・竹垣氏)
竹内7代目体制となれば、3代目弘道会は現在の野内若頭に引き継がれ、執行部入りもささやかれる。弘道会支配はより一層強まるというのが大方の見方だ。
デイリー新潮編集部