SNSの匿名の誹謗中傷 相手を訴える方法と弁護士依頼でかかるお金
プロレスラーの木村花さん(享年22)がネット上の誹謗中傷によって命を落としたことで、高市早苗総務相はSNS規制についての法改正を示唆している。では、どうやったら相手を訴えることができるのか?
4・7・2022
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きゃりーぱみゅぱみゅ(27)や高畑充希(28)ら多くの芸能人が自身の経験を発信し、被害を訴えている。実力行使に出た芸能人もいて、今年3月には元AKB48でタレントの川崎希(32)が、ネット上で誹謗中傷していた女性2人を侮辱罪で訴えている。もっとも、こうした匿名の嫌がらせは一般人にも起こっている。
先月、新型コロナウイルスに感染したことが分かっていながら山梨県の実家から東京に移動した20代の女性をめぐって、ツイッター上に女性のものと思われる写真や実家、友人の個人情報などが拡散され、心ない書き込みが相次いだ。
総務省の「違法・有害情報相談センター」に寄せられたネット上の誹謗中傷による相談件数も2019年は5198件。10年の1337件から大きく増加している。自分や家族がSNS上で見ず知らずの相手に誹謗中傷を受けた場合、我慢する必要はない。
■まずはプロバイダーに情報開示請求 「相手を特定することができ、かつ相手の行為が名誉毀損などにあたる場合は裁判で損害賠償請求することが可能です」(北千住法律事務所・弁護士の金湖恒一郎氏)
そのためには、匿名の相手の個人情報を得なければならない。手順はこうだ。 まずは、プロバイダ責任制限法に基づいて、SNSの会社(ツイッターなどのサイト管理者)に連絡し、任意の情報開示を請求する。 「その際、証拠となるスクリーンショットの画像などを提示します。管理者は常時、多数の情報開示請求を受けていたりするので、一般素人では相手にされないこともあり、弁護士に依頼した方がスムーズに事が運びます」(ITジャーナリストの井上トシユキ氏)
無事に管理者からIPアドレス(パソコンやスマートフォンの識別番号)を取得したら、携帯キャリアーが判明する。引き続き、弁護士を通して、ドコモやソフトバンクなどに連絡し、本名や住所などを開示してもらう手続きを取る。 「書き込んだ匿名の相手の情報開示から民事の訴状を送るまでの一連の作業は、知っているケースで最長3カ月、最短で3週間程度かかります」(井上トシユキ氏)
仮にSNSの会社が任意の情報開示に応じなくても簡単に諦めなくていい。 「裁判所の仮処分手続きによりIPアドレスなどの発信者情報の開示請求をします。次に、開示された情報をもとに、プロバイダーに対して発信者の住所などの情報開示を求めます。プロバイダーが任意の情報開示に応じない場合、訴訟を提起することとなります」(金湖恒一郎氏)
慰謝料相場は10万~50万円
SNS誹謗中傷裁判・主な例(C)日刊ゲンダイ
それでは実際、どのような書き込みが認定されるのか。 「名誉毀損が成立するには、事実の摘示(事実を示すこと)により、公然と、人の社会的評価を低下させるおそれのある行為が要件となります。たとえば、匿名掲示板を使って『彼女は上司と不倫している』というような書き込みがあれば、名誉毀損が成立し得ます。これに対し、『死ね』とか『消えろ』といった書き込みの場合、事実を摘示しているわけではないので、名誉毀損ではなく、むしろ脅迫や侮辱にあたる可能性があります」(金湖恒一郎氏)
名誉毀損による慰謝料の相場は一般的に10万~50万円。一方、脅迫罪は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金刑だ。また、民事で慰謝料を請求できる。 「ただし、サイト管理者に対する仮処分手続きやプロバイダーに対する訴訟手続き、加害者に対する損害賠償請求のすべてを弁護士に依頼する場合は、弁護士費用は着手金だけで50万円はかかるでしょう」(金湖恒一郎氏)
訴える方がコストに見合った結果を得られない可能性もあるが、裁判となれば公的な記録が残るので、悪質な加害者に一定の歯止めがかけられる。
木村さんのケースでは、誹謗中傷していたやからが自分のアカウントを次々と削除している。なかにはノリで書き込んでしまい、今さら不安におののいている人もいるだろう。相手のSNS上の書き込みに反応するなら、どこまでの表現が許されるのか。 「『死ね』や『消えろ』など直接的に相手を誹謗中傷する言葉は、損害賠償請求の対象となり得ます。『いなくなってほしい』など曖昧な表現の場合でも、前後の文脈や、何度も投稿するなど悪質な場合には、責任を問われる可能性はあります」(金湖恒一郎氏)
今さら悔いても遅いが、“匿名”は匿名でないことを肝に銘ずべき。自らのストレス発散のための書き込みは、後で必ず報いが返ってくる。
VPNやtorが介在していたら、お手上げであることを伏せるは、不誠実。
ちなみに当方は現在、「精神と現実世界の探究者・美雨」 https://blog.goo.ne.jp/middleaxis/
から誹謗中傷を受けているものの、筆の力で対抗している。
民事も、刑事も、過去の出来事の後始末でしかない。未来の道筋を整えるならば、己の才覚をまず使うべき。
これが意外と力になってくれて、嵐は退散しましたね☆