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身勝手な関税政策に商売っ気丸出しの停戦交渉がことごとく裏目、混乱もたらすだけのトランプに米国内でも不満高まる

2025年08月28日 15時03分08秒 | 国際情勢のことなど

 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/956bf9690d3b931f130097aec9d0888b8099c1f5

 

身勝手な関税政策に商売っ気丸出しの停戦交渉がことごとく裏目、混乱もたらすだけのトランプに米国内でも不満高まる
4/28(月) 11:21配信


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JBpress
(写真:ロイター/アフロ)

 (舛添 要一:国際政治学者)

 関税攻勢から始まって、ウクライナ停戦まで、トランプ大統領は、公約で掲げた政策を矢継ぎ早に実行しているが、思い通りの成果は上がっていない。副作用のほうが大きいし、アメリカ国内でも批判が強まっている。

【写真】ロシアのミサイル攻撃で倒壊した建物にいた17歳の友人とその両親の捜索状況を見守る若者たち=4月24日、キーウ

■ 損失の数々

 トランプ関税には、アメリカの生産者も消費者も困り切っている。物価は上がるし、アメリカ製品の輸出も捗らない。カリフォルニア州、ニューヨーク州、アリゾナ州など12の州が、トランプの関税政策の停止を求めて裁判を起こした。

 トランプ関税は世界中から反感を買い、アメリカ製品のボイコットや観光客のアメリカ旅行取りやめなどが起こっている。

 ハーバード大学などへの「リベラル狩り」については、先週の本コラムで解説したが、世界の若者が留学先を他国に変更している。

 (参照記事)ハーバードを恫喝するトランプの「リベラル狩り」に大衆はなぜ喝采送るのか…背景に米国の低学歴層が抱く反知性主義(JBpress 2024.4.19)

 私の経験からしても、若い頃に留学した国は、第2の故郷のようになるもので、トランプは、次の世代の有為な人材を反米にしてしまう。

 アメリカのビザを申請すると、スマホやパソコンを調べられ、反米的発言が見つかると、ビザをもらえない。これは、独裁国家と同じで、民主主義国家の行うことではない。

 関税については、朝令暮改で、方針を次々と変える。市場は混乱するし、世界中が迷惑を被っている。4月23日は、中国に対する145%の税率を大幅に引き下げると意向だということが報道された。具体的には、50%〜65%に引き下げ、安全保障上の脅威にならない商品については、35%にするという。

 中国は、報復としてアメリカに125%の関税を課しているが、1年前から周到に報復の準備をしており、どの商品を禁輸対象にすればアメリカが困るかを見極めてきた。レアアースなどがその典型例である。我慢比べで、先に音を上げたのはアメリカのほうである。

 朝令暮改のもう一つの例は、パウエルFRB議長の解任問題である。トランプがパウエルの解任を目論んでいると報じられると、ドルへの信頼が失われ、株式市場が急落した。そこで、急遽、方針を転換し、解任する気はないと述べたのである。

■ ウクライナ停戦…公平さを欠く仲介役

 関税をはじめ、トランプの経済政策は経済学的にもデタラメであるが、まだ経済分野については、「取引(ディール)」を主張するのは理解できないことではない。しかし、政治や安全保障は、ディールには適切でない点が多々ある。政治はビジネスとは異なるのである。この点をトランプは全く分かっていない。

 ウクライナやガザに平和をもたらそうという決意は良い。しかし、手法が問題である。

 第一に、停戦の仲介者は、交戦国双方に公平でなければならない。その点では、トランプは、ゼレンスキーよりもプーチンの主張により耳を傾けている。また、ガザについても、明確にイスラエル支持であり、アメリカの大学でパレスチナ支持派を弾圧している。

 この姿勢で停戦を仲介しても、ウクライナやパレスチナには大きな不満が残るであろうし、恒久的な平和につながるかどうかは分からない。

 第二に、和平交渉は、ビジネスの取引とは異なる。とくに領土については、ナショナリズムと結合しているので、物々交換のような安易な取引は禁物である。

 第一次世界大戦後、戦勝国は、敗北したドイツの多くの領土を奪ったが、そこにはドイツ人が住んでおり、併合された国(たとえばチェコスロバキア)で差別的な扱いを受けた。そのような状況をナショナリズム発揚に利用したのがヒトラーのナチスである。ヒトラーは、政権獲得後、それらの失われた領土を奪還し、大人気を博した。

 クリミアや東部4州をロシアに渡してしまえという方針では、ウクライナはトランプ提案を受け入れることはできないであろう。

 第三に、停戦後に、アメリカがウクライナの鉱物資源を入手しようという発想は、不動産屋的ビジネスそのものである。ウクライナの資源は、アメリカ人のものではなく、ウクライナ人のものである。トランプによれば、ウクライナへの武器支援などの見返りに資源をよこせということである。まさに、あざとい商売人の発想である。

 

ザポリージャ原子力発電所のある地域を中立地帯にして、アメリカが管理するという提案も、ウクライナは容認しないであろう。もともとがウクライナのものであるこの原発は、今はロシアが占領し、管理している。ウクライナにとっては、支配者がロシアからアメリカに移るだけである。アメリカとロシアという大国の取引の犠牲になるのはウクライナである。

■ 地政学と国益の配慮がない

 第四に、停戦の仲介は、戦争当事国を超える大国にしてはじめて可能なことである。仲介国は、トランプのように経済的利権を入手することだけを考えるのではなく、世界のなかでの自国の威信と地政学的考慮を尽くすべきである。

 陸続きで多数の国がひしめくヨーロッパ大陸において、ロシアの軍事的脅威にどう対処するのか、世界一の大国はヨーロッパで重きをなさねばならない。

 第二次世界大戦前は、イギリスが世界の覇権を握るパックス・ブリタニカであった。英国は、ヨーロッパ大陸においてバランサーとしての役割を果たすことに腐心した。具体的にはドイツとフランスのバランスをとることである。それは、結局は国益につながった。ところが、トランプには、そのような発想がない。

 1904年2月に勃発した日露戦争では、日本は、1905年3月に奉天会戦に勝ち、5月にバルチック艦隊を撃滅したが、戦争を継続していくのは、軍事的にも経済的にも無理であった。そこで、日本は、アメリカ大統領、セオドア・ルーズベルトに講和の斡旋を依頼し、ロシアもそれに応じた。このときに、ルーズベルトが仲介の労をとったのは、アジアにおけるバランス・オブ・パワー、そしてアメリカの国益を考えたからである。

 日本かロシアのいずれかが決定的な勝利を収めれば、その国がアジアを支配することになり、それは勢力均衡という観点からは望ましくないと、ルーズベルトは判断したのである。今のトランプには、そのような発想は全くない。

 1905年8月にポーツマスでの講和会議が開かれたが、ロシアは南樺太を日本に譲渡したが、賠償金は払わなかった。ある意味で公平な裁定であった。

 日本国民は、この結果に不満を抱き、日比谷焼き打ち事件などを起こして抗議したくらいである。

 トランプには、このルーズベルトのような公平さを期待できない。彼が望んでいるのは、早期に停戦を実現させ、ノーベル平和賞を受賞すること、そして、ウクライナでビジネスに励み、儲けることのみである。ちなみに、安倍晋三元首相によれば、トランプは、日露戦争のことを知らなかったという。政治家に必要なのは、ビジネス手法ではなく、歴史の知識である。

 

■ トランプではアメリカの国益は守れない

 4月23日、ロンドンで、ウクライナと、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの政府高官会議が開かれたが、合意には至らなかった。とくに、クリミア半島のロシア統治を認めるアメリカ提案をウクライナは拒否した。

 これに対して、トランプは、ゼレンスキーを名指しで批判し、「和平交渉で非常に有害だ。争いを終結させることが困難になる」と述べた。

 ガザについても、トランプ流の仲介は上手く行っていない。理由は、ウクライナの場合と同様である。

 2月に、トランプは、アメリカがガザを所有し、住民全員を域外のヨルダンやエジプトに移住させるとした。

 廃墟と化したガザを整地し、住宅を建設して世界中から人々を移住させ、地中海のリビエラのような観光地にするという。この提案は、世界中から非難されたことは、周知の事実である。

 イスラエルとパレスチナの二国家が共存していく路線以外には、中東に恒久的な平和は訪れない。しかし、トランプは、1993年のオスロ合意に至る苦難の歴史など振り返ったことなどないのではないか。それでは停戦交渉は成功しないし、公平な和平も実現しないであろう。アメリカに対する中東過激派のテロが頻発することになるかもしれない。それは、アメリカの国益を損なうことになる。

 この堕落したビジネスマンには、市場の鉄槌を下すしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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