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量子力学の基礎が>ついに虚数を観測することに成功!>掛け合わせることで「-1」になる虚数「i」

2025年03月31日 21時03分28秒 | 科学のはなし
 
ついに虚数を観測することに成功!
 
>虚数:昔、習いましたが、量子力学の基盤知識だとか。
ホットな、量子コンピューターの基礎因子ですね。
 

 虚数の測定に成功したようです。2021

 3月1日に『Physical Review Letters』(理論パート)と『Physical Review A』(実験パート)に掲載された論文によれば、量子の世界において虚数で表現される部分が、粒子の状態において決定的な役割を果たすことが示されました。

 具体的には、もつれ状態にあり、かつ実数部分の情報が同じで見分けがつかない光子のペアを、虚数部分の情報を元に見分けたのです。

 何を言っているのかわからないと思いますし、にわかには信じがたい内容ですが、論文が掲載された『Physical Review』は物理学では最も権威がある科学雑誌であり、信ぴょう性は高いと言えます。

 しかし、いったいどんな方法で、虚数は観測されたのでしょうか?
 
 
 
  • 測れる実数と測れなかった虚数
  • 見分けのつかない光子を虚数情報で判別する
  • 虚数が語る真の物理学
測れる実数と測れなかった虚数
 
複素数は実数と虚数を合わせたもの
 
複素数は実数と虚数を合わせたもの / Credit:Canva
掛け合わせることで「-1」になる虚数「i」は、現代物理において広く使われている概念です( i × i = -1 )。
 
 
一見するとインチキに見えますが、虚数の概念がなければ、電磁気学をはじめとした数々の理論も成り立たず、パソコンもスマホも作ることはできません。
そんな便利な虚数ですが、1つ大きなハンデがありました。
 
 
私たちの暮らす物理的な世界には、虚数に直接関係するものがないからです。
 
箱からリンゴを取り出して、テーブルの上に2個、3個と置くことはできますが、「i個」の林檎は、何が起きても置けません。
 
これは私たちの世界で、私たちが観測できるものは、全てが実数部分に限られているという大前提があったからです。
 
ではなぜ、物理学において虚数「i」が多用されるのでしょうか?
 
その理由は、虚数「i」は物理学において振動現象に関連しているからです。
虚数「i」を使うことで、どういうわけか、計算式に振動現象をうまく組み込めるのです。
 
もっとも、計算結果から具体的な何かを引き出す場合は、実数部分のみが検討対象となります。
 
そういう意味では、虚数「i」はあくまでツールでした。
しかし、量子力学では様子が少し異なってきます。
量子世界において粒子には波として「振動する」という性質を持つようになるからです。
 
この理論の中核となるのが、有名なシュレーディンガー方程式です。
といっても何も難しくありません。
 
注目して欲しいのはただ1つだけ。
 
量子の状態をあらわすシュレーディンガー方程式には虚数が含まれている
 
量子の状態をあらわすシュレーディンガー方程式には虚数が含まれている / Credit:Canva
 
それは上の図で示したように、シュレーディンガー方程式に虚数「i」が含まれているという事実です。
 
シュレーディンガー方程式は量子の基本法則のようなもの。
その式の中に虚数「i」が含まれている……。
 
つまり量子の世界では身の回りの世界とは比べ物にならないくらい、虚数「i」の重要性が高いことを示します。
 
そこで研究者たちは、量子の世界でならば、虚数部分の違いが、現実の観測結果の違いとして識別できる可能性があると仮説を立てました。
 
ニュートンの運動方程式における速度や距離といった項目がなければ飛んでいくボールの説明ができないのと同じように、量子の状態を正確に知るには、虚数部分が見過ごせません。
 
 
 
 
見えないから、観測できないからといって、実数部分のみを拾っていては、真の物理法則は描けないのです。
 
そこで研究者たちは、これまで見過ごされてきた虚数部分の測定に挑みます。
しかし、いったいどんなトリックを使えば、虚数部分の情報をゲットできるのでしょうか?
 
 
 
見分けのつかない光子を虚数情報で判別する
 
実数部分は同じで虚数数部分だけが違う、もつれた光子を作る装置
 
実数部分は同じで虚数数部分だけが違う、もつれた光子を作る装置 / Credit:USTC
 
虚数「i」を観測するためには何をしたらいいか?
 
 
鍵となったのは、近年になって導入された、虚数を実数と同じく、資源として活用するという虚数の資源理論です。
 
この理論を使うことで、量子情報における虚数の役割を研究することが可能になります。
 
実際の実験にあたっては、量子的にもつれ状態にある光子ペアが選ばれました。
 
量子もつれの状態にある光子のペアは、片方の状態が決定すると、もう片方の状態が自動的に決定するという性質があります。
 
これまでの研究では、観測されて状態が確認されるのは「実数」部分のみでした。
 
光子は粒子と波という2つの性質を併せ持つために、正確な光子の状態を表記するのには実数と虚数を組み合わせた情報が必要です。
 
そこで今回、研究者たちは、レーザーとクリスタルを組み合わせた装置で、実数部分が同じながら、虚数部分にのみ違いがある、もつれ状態にある光子ペア(状態Aと状態B)を作り出しました。
 
これら光子ペアを区別するためには、絶対に虚数部分の情報が必要です。
そしてペアの一方の光子を第三者に送り、情報の読み込みを行いました。
 
結果として、第三者は虚数部分の情報に応じて、送られてきた光子の状態および、もつれ状態にある未発進の光子の状態も識別することに成功します。
 
この結果は、量子の虚数部分の読み取りが可能であるだけでなく、情報資源として活用可能であることを示します。
 
 
虚数が語る真の物理学
 
虚数を元にし量子の世界はどんなものだろうか?
 
虚数を元にし量子の世界はどんなものだろうか? / Credit:Canva
 
今回の研究により、量子世界において虚数部分の情報が、粒子の状態の判別に使えることが示されました。
 
どうやら量子の世界においては、虚数は隠れたパラメーターから、実測可能な情報資源への転身を迫られているようです。
 
また今回の研究成果は、物理学全体の数に対する考え方が表面的なものに過ぎず、自然界の真の理解には虚数部分の情報が必要不可欠であることを示します。
 
数学が作り出すイメージの世界にのみに存在していた虚数が、自然界の理を語り始める日は近そうです。

(続きはソースでご確認下さい)

ナゾロジー 2021.04.29 
 
 
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量子コンピューターの内部では一体何が起こっているのか?

2025年03月31日 20時03分25秒 | 科学のはなし
 
 
量子コンピューターの内部では一体何が起こっているのか?

 量子コンピューターは、量子力学を計算に用いることで、従来のコンピューター(古典コンピューター)では実現不可能な大規模な計算を行うことが期待されているコンピューターです。
 
 
4/7/2021

 量子コンピューターの機能の一部を、科学系メディアのPhysics Todayが解説しています。

 What’s under the hood of a quantum computer?
 https://physicstoday.scitation.org/do/10.1063/PT.6.1.20210305a/full/

 Welcome to Quantum Native Dojo! ― Quantum Native Dojo ドキュメント
 https://dojo.qulacs.org/ja/latest/index.html

 量子コンピューターは、「0」もしくは「1」の状態しか取れないビットを使った古典コンピューターと違い、「0」と「1」両方の状態をとることができる量子情報の最小単位「量子ビット」を用いて計算を行うコンピューターです。
 

  古典物理学では「0」と「1」のどちらかが確実に定まっていたのに対し、量子状態は観測して初めて「0」か「1」かが確率的に定まるものであり、量子コンピューターではこのあやふやな重ね合わせ状態を使って複雑な情報を表現しています。 
 
量子ビットを実現するコンピューターの一例として、「イオントラップ型量子コンピュータ」が挙げられます。イオントラップ型量子コンピュータは電磁場を用いてイオンを空間内に閉じ込め、量子ビットを粒子の安定した電子的状態として格納するものです。イオントラップ型量子コンピュータは、現在知られているものの中では最も高い精度で演算を行うことができる量子コンピューターです。
 
 
 
 
 
しかし、量子コンピューターは「エラーが発生しやすい」という問題を抱えています。熱ゆらぎや電磁放射、磁場などのあらゆる種類の環境要因により量子ビットが意図した状態から外れてしまう可能性があります。この情報劣化は「デコヒーレンス」と呼ばれ、熱ゆらぎを減らすためにコンピューターを低温下に置いている状態でも一瞬のうちに発生することがあり得ます。

デコヒーレンスなどから発生したエラーを修正する方法が「量子誤り訂正」です。古典コンピューターにも使われるエラー訂正を量子コンピューターで行うもので、多ビットの複雑な計算を行う時は量子誤り訂正が必須となります。

また、古典的コンピューターでは実行するタスクの上位命令を受け取ったコンパイラが、命令を基礎となるハードウェアで行う演算に変換していますが、量子コンピューターでも同様のことが行われます。
 
それが「トランスパイラー」と呼ばれる仕組みで、量子ビット同士の接続を考慮しつつ、一連の論理演算をどう実行するか決定しています。量子ビットを物理的に再配置することは難しいですが、2つの量子ビットの状態を入れ替えることで、効率的な再配置を行っています。
 
 
 
 量子コンピューターについてはさまざまな研究が進んでいますが、まだまだ複雑で構築も容易ではありません。しかし、AmazonやMicrosoftなどが量子コンピューターへのアクセスを提供しており、量子コンピューターの活躍の幅がますます広がっていくことが期待されています。
 
 
https://gigazine.net/news/20210402-what-happens-in-quantum-computer/
 
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「もはやヒトに身体は必要ない?」…コンピューター科学の「行きすぎた成功」が生み出した”新理論”に戦慄

2025年03月28日 10時03分01秒 | 科学のはなし

 

 

「もはやヒトに身体は必要ない?」…コンピューター科学の「行きすぎた成功」が生み出した”新理論”に戦慄(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/da59f489ea9389bbf616fd6fa2229cc76b7c8085

 

「もはやヒトに身体は必要ない?」…コンピューター科学の「行きすぎた成功」が生み出した”新理論”に戦慄
3/27(木) 7:01配信


16
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現代ビジネス
Photo by gettyimages

「いつの日かAIは自我を持ち、人類を排除するのではないか―」2024年のノーベル物理学賞を受賞した天才・ヒントンの警告を、物理学者・田口善弘は真っ向から否定する。

【写真】知能とはなにか…意外と知らない人工知能と機械学習の「致命的な違い」

理由は単純だ。人工知能(AI)と人間の知能は本質的に異なるからである。しかし、そもそも「知能」とは何なのだろうか。その謎を解くには、「知能」という概念を再定義し、人間とAIの知能の「違い」を探求しなくてはならない。生成AIをめぐる混沌とした現状を物理学者が鮮やかに読み解く田口氏の著書『知能とはなにか』より、一部抜粋・再編集してお届けする。

『あなたならどう解く?「100個の都市を通過する最短経路を求めよ」…「アリ」をヒントにコンピュータ科学が導き出した「衝撃の答え」』より続く。

本質はハードウェアではなくソフトウェア

 

心が身体と独立に存在するいわゆる心身二元論は、知能のソフトウェアが脳というハードウェアから分離可能であるという考え方の嚆矢であると言えよう。心身二元論を最初に唱えたのは「我思う、ゆえに我在り」と述べたことで有名なフランスの哲学者、ルネ・デカルトだった。

 

デカルトは、ヒトの体は機械であると考えた。体内の機械の部分から神経を通って空気が脳に運ばれ、松果体(=脳の中にある小さな内分泌器)で脳と体が結ばれて心が作られると考えた。この考えが、心と体を別のものとする「心身二元論」の起源になった。

心身二元論、すなわち心というものが体とは別にあって、体に宿ることで知能が発揮されるという考え方がベースにあったとしても、そこからいきなり知能がソフトウェアベースで書けるという古典的記号処理パラダイムにまで一気に進んでしまったのはなぜだろうか?それはおそらくチューリング―ノイマン系列のコンピュータの「本質はハードウェアではなくソフトウェアだ」というアプローチが非常にうまくいってしまったからだろう。

ハードとソフトが分離可能な理由

 

チューリングは実体としての計算機が存在しない時代にチューリングマシーンという仮想的なコンピュータを考えた。このコンピュータは長いテープとテープの上に書かれた記号を読みとって動作し、テープを送ったり戻したりするヘッドからなる仮想的なシステムだったが、すべての計算をこなすことができることが判明した。

チューリングは別にコンピュータというハードを実装するためにチューリングマシーンを考えたわけではないようだが、これが現在のコンピュータの原型となり、後にノイマンが現実のコンピュータのアーキテクチャを構想した。

ノイマンが考えたのは「プログラム内蔵方式」のデジタルコンピュータである。CPUとアドレス付けされた記憶装置とそれらをつなぐバスを要素に構成されている。命令(プログラム)とデータを区別せず記憶装置に記憶するもので、まさにヘッドとテープからなるチューリングマシーンを現実のハードウェアで実現するアーキテクチャになっていた。

現在に至るまでコンピュータは全部この「チューリング―ノイマン系列」だと言っても過言ではない。

まずソフトがあって、それからそれを実現するハードが作られたのだから、ハードとソフトが分離可能なのは当然だったわけだ。

『パソコンと他の機械との「決定的な差」…「じつはあなたも知らずに使っている」“二人の天才”の「革新的技術」』へ続く。

 

パソコンと他の機械との「決定的な差」…「じつはあなたも知らずに使っている」“二人の天才”の「革新的技術」(田口 善弘) | 現代新書 | 講談社

 

パソコンと他の機械との「決定的な差」…「じつはあなたも知らずに使っている」“二人の天才”の「革新的技術」

田口 善弘

中央大学理工学部教授


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「いつの日かAIは自我を持ち、人類を排除するのではないか―」2024年のノーベル物理学賞を受賞した天才・ヒントンの警告を、物理学者・田口善弘は真っ向から否定する。

理由は単純だ。人工知能(AI)と人間の知能は本質的に異なるからである。しかし、そもそも「知能」とは何なのだろうか。その謎を解くには、「知能」という概念を再定義し、人間とAIの知能の「違い」を探求しなくてはならない。生成AIをめぐる混沌とした現状を物理学者が鮮やかに読み解く田口氏の著書『知能とはなにか』より、一部抜粋・再編集してお届けする。

 

 


『「もはやヒトに身体は必要ない?」…コンピューター科学の「行きすぎた成功」が生み出した“新理論”に戦慄』より続く。

設計と製造が分離している機械
しかし、冷静に考えてみると、設計と製造が分離している機械というのは実はまれである。例えば、自動車の設計図を作ることと実際に動作する車を製造することには大きな隔たりがある。

設計図というのは往々にして最低限これだけは満たさなくてはならないという仕様書のようなものに過ぎない。いわば実際に動作する機械を作るための試行錯誤の幅を限定してくれる手引きのようなものだ。設計図に沿ってなにかを作って動かそうとしても温度や湿度の関係でうまく動かなかったり、摩擦が大き過ぎて止まってしまったりすることもある。

 

 

Photo by gettyimages
ところがチューリング―ノイマン系列のコンピュータにはこのような問題がない。プロセスは1個1個順番に進められるので、前のプロセスが終わってからしか次のプロセスは開始されず、お互いに直接関係があるのは前後のプロセスだけである。したがって、ハードウェアが保証しなくてはいけないのは現在のプロセスがあったとき、次のプロセスが実行されることだけであり、局所的な制限だけである。

 

コンピュータは例外的な機械装置
これに対して自動車の場合は、複雑な部品がリアルタイムで相互作用しているため、すべての組み合わせで問題がないことを確認するのは極めて困難である。

このように通常の機械装置とコンピュータというハードウェアは、ハードとソフトの分離可能性という観点で大きく異なっており、むしろコンピュータのほうが例外的な機械装置であると言える。

 


コンピュータは別に「チューリング―ノイマン系列」のものである必要はない。例えばアナログコンピュータといって、微分方程式を解くことしかできないが、その微分方程式と等価な電気回路を構成し、電圧を測定することで解を得る、という形の装置は実在した。また前述のエニグマも、暗号を組み替える場合には、歯車を物理的に組み直す必要があり、その意味ではハードとソフトの分離は完全ではなかった。

歴史に「もしもはない」にせよ、もし、「チューリング―ノイマン系列」のハードとソフトがほぼ分離可能なアーキテクチャではなく、アナログコンピュータやエニグマみたいなハードとソフトの分離が不完全なコンピュータしかなかったのなら、古典的記号処理パラダイムのような誤謬(と言ってしまっていいのかどうかわからないが)が生まれることもなかったのではないかと思えてしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ノーベル賞受賞者日本人28人、開成、筑駒はゼロ, 都内高卒は1人>27人は、地方公立高

2025年02月25日 08時03分52秒 | 科学のはなし

【ノーベル賞】東京実質ゼロ(都内高卒は1人も中学まで愛知)、残り27人は地方公立 受験勉強で忙しく好きなことをやる心の余裕がない



ノーベル賞受賞者、都内高卒は1人 開成、筑駒はゼロ


Nobel prize dinner

2021年のノーベル物理学賞に米プリンストン大学上席研究員の真鍋淑郎氏の受賞が決まった。日本人のノーベル賞受賞者は米国籍を含め28人目。出身大学別で東京大学9人(自然科学分野は6人)、京都大学8人と両大卒が圧倒的に多いが、高校別ではほとんどが地方の公立校OBだ。不思議なことに東京都内の高校出身者は1人しかいない。「東京っ子」はなぜいないのだろうか。

「かつての日比谷高校はおおらかで自由な校風。利根川さんは制服など着たことがないという個性的な生徒だったそうです」。都立日比谷高前校長の武内彰氏(白梅学園高校校長)はこう振り返る。都内の高校出身で唯一のノーベル賞受賞者は、日比谷高卒の利根川進氏だ。ただ、出身地は愛知県で、中学の頃に都内に引っ越してきた。東京で生まれ育ったわけではない。

 利根川氏が在籍した時代の日比谷高は、旧制東京府立一中の流れをくむ全国トップの進学校として知られた。1960年代後半に都の学校群制度の導入により低迷したが、2012年に武内氏が校長に就任し、東大合格者数で公立校トップに返り咲いた。しかし、「今の東京の子は受験、受験で忙しい。ノーベル賞との因果関係は分からないが、好きなことを徹底的にやるといった、心の余裕がないのかもしれない」と語る。 


10/17/2021


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宇宙に始まりはなく過去が無限に存在する可能性が示される

2025年02月12日 23時03分32秒 | 科学のはなし
2021/10/14(木) 22:40

>宇宙の過去が無限にあるということが、物理的に何を意味しているのかも、まだよくわかりません。

>とはいえ、宇宙に始まりがないということは、少なくとも数学的には可能なことなのです。



時間と空間の起源

元論文If time had no beginning
https://arxiv.org/abs/2109.11953


宇宙はビッグバンによって始まり、それ以前は「無」だったというのが現在の定説となっています。

けれど、もしかしたら私たちの宇宙は常に存在していて始まりはなかった可能性が、新たな量子重力理論によって示されました。

イギリス・リバプール大学(University of Liverpool)の研究チームは、因果集合理論(causal set theory)と呼ばれる量子重力の新しい理論を使い、宇宙の始まりについて計算したところ、宇宙に始まりはなく無限の過去に常に存在していたという結果を得ました。

この結果に従うと、ビッグバンは宇宙が遂げた最近の進化の1つでしかないということになります。


この研究成果は、9月24日にプレプリントサーバー『arXiv』で公開された論文に掲載されています。

物理学が未だに説明できていない問題

現在、物理学にはまったく異なる2つの理論が存在し、どちらも大きな成功を収めています。

その2つの理論とは、量子力学と一般相対性理論です。

量子力学は、自然界を支配する4つの基本的な力のうち、3つの力(電磁気力、弱い力、強い力)を微小な世界で記述することに成功しました。
ただ、重力についてはまだうまく説明することができていません。
一方、一般相対性理論は、これまで考案された中でもっとも強力で完全な重力の記述方法です。


しかし、一般相対性理論にも不完全な部分があり、この世界で2つのポイントについてだけ理論が破綻しています。

それが「ブラックホールの中心」と「宇宙の始まり」です。
ここについては、一般相対性理論でも計算が破綻してしまい、信頼できる結果を得ることができません。


そのため、これらの領域は「特異点」と呼ばれていて、現状の物理理論が及ばない時空のスポットとされています。


これは、一般相対性理論が数学的につまづいているポイントでもあります。


この2つの特異点で、一般相対性理論がうまく機能しない理由は、この場所では重力が非常に小さなスケールで非常に強くなっているためです。

一般相対性理論はマクロな世界を記述する古典物理学の理論のため、微視的な世界の重力をうまく取り扱うことはできていません。

一般相対性理論は重力を時空の曲率として表現しています。


投げたボールが地面に落ちるのは、地球が歪めた空間に沿って、ボールが軌跡を曲げ、それが地面と交わるためです。


しかしあまりに微視的な世界では、空間が歪むだけでは重力を記述できません。アインシュタインも生涯この問題に悩んでいました。

そのため、この微視的な世界の強い重力を記述するための新しい理論が必要となります。

そこで、現在考えられているのが「量子重力理論」です。

ただこの理論も「超ひも理論」や「ループ量子重力」など、さまざまな候補が存在していますが、まだ完成されていません。

しかし、そのすべてが同じような方向から問題のアプローチをかけています。
それが「時間と空間というものがなぜ存在するのか?」「どこから生じているのか?」「そもそも時空のもっとも基本的な構造とはなんなのか?」ということです。

量子重力理論を考えたとき、いずれの候補理論も、時間と空間がもっと根本的な何かから生じているということを考慮しないとうまく話が進まないのです。

そして、この疑問に対処する、新しいアプローチが登場しています。
それが「因果集合理論」です。



時間と空間とはなんなのか?

今回の研究チームの一人、英国リバプール大学の物理学者ブルーノ・ベントー氏は時間の本質について研究を行っています。

彼は宇宙の始まりを考えるという今回の研究において、「因果集合理論」と呼ばれるものを採用しました。

あまり聞き馴染みのない理論ですが、「因果集合理論」とはどのような理論でしょうか?

現在の物理学では、時間や空間はなめらかに連続した布のようなものとして捉えられています。

こうした連続した時空では、2つの点は空間的に可能な限り近くに存在し、2つの事象は時間的に可能な限り近くで発生します。

しかし、「因果集合理論」では空間と時間をなめらかな連続につながったものとは考えていません。

この理論では、時空を極限まで分解していくと原子のような離散的(飛び飛びの値で変化する)な塊になると解釈しています。

つまり、時空には最小の基本単位が存在するというのです。




"映像が小さな画素の集合であるように、時空間も最小単位が因果で結ばれた集合かもしれない"

;映像が小さな画素の集合であるように、時空間も最小単位が因果で結ばれた集合かもしれない 


今この記事を読んでいる画面も、なめらかな一枚の画像に見えるでしょうが、当然虫眼鏡などで拡大すれば、それは小さな1ピクセルの画素が並んでいるものだとわかります。

空間も同様に分割されていて、その最小単位以上にはお互い近づくことができないかもしれないというのです。

この考え方の何が重要なのかというと、この理論に従った場合、ビッグバンやブラックホールのような特異点の問題がきれいに取り除くことができるからです。

なぜなら、この理論では時空を無限に小さく圧縮することが不可能だからです。

時空には最小単位の「時空の原子」があり、その大きさを超えて小さくなることはありえないため、特異点が存在しなくなるのです。


では、ビッグバンに特異点がない場合、宇宙の始まりはどのようなものになるのでしょうか?



ビッグバンは通過点に過ぎない


ベントー氏は、因果集合理論が宇宙の最初の瞬間をどのように表現するか、インペリアル・カレッジ・ロンドンのスタブ・ザレル氏と共同で研究を勧めました。


従来の因果集合理論では、因果集合は無から生じて現在の宇宙まで成長したとされています。

しかし、彼らは、そもそも因果集合に始まりが必要かどうかということを検討しました。


すると、彼らの研究では、因果集合は過去に向かって無限に続き、常に前に何かがある状態となり、ビッグバンという始まりは存在しないことがわかったのです。

彼らの理論によれば、私たちがビッグバンと認識しているものは、この常に存在する因果集合の進化における特定の瞬間に過ぎず、真の始まりではなかった可能性があるとのこと。

ただ、この理論はまだ少数の物理学者が注目する理論でしかなく、論文も査読付き科学雑誌への掲載はまだ決まっていません。

宇宙の過去が無限にあるということが、物理的に何を意味しているのかも、まだよくわかりません。

とはいえ、宇宙に始まりがないということは、少なくとも数学的には可能なことなのです。


コメント (3)
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