いすみ鉄道ファン

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Xmasに贈る「ちょっと いいお話」

2008年12月25日 | Weblog

Xmasになると、私はきまってこのお話を思い出します  これは実際にあったことです。 いすみ鉄道には関係ないんですが、今日くらいはいいよね?  

 

  癌で余命いくばくもない80歳のおばあさんが、ある日、全財産をなげうって整形手術を受けると言いだした。

  付き添いの看護士たちは、整形ばやりの昨今、テレビの見すぎで、気でも狂ったのではないかと思った。それを聞いた担当の医者までも、おばあさんの言葉を疑った。

  しかし、おばあさんは正気でそう言ったのである。

  担当医は往診の際に、おばあさんのか細くなった手を握り、本心を聞きだそうとした。

「おばあちゃんは今でもきれいなのに、これから整形手術してどうするんですか。」

と優しく尋ねた。

  おばあさんは、窓の外の虚空を眺め、うっすらと目に涙をにじませながら、

「だって、天国にいる夫は50年前の私しか知らないのよ。
このまま私が死ねば、きっと、夫も誰が来たのかわからないと思うの。
だから、整形手術を受けて、50年前の姿に戻って死にたいの。
そうすれば夫も迷わずに私を迎えてくれるから。」

と答え、胸元から大事にしていた写真を取りだし、担当医に見せた。

  そこには幸福に満ちた夫婦の姿があった。

  担当医は、おばあさんの50年前の姿を目にして、かすかに頷いた。
そして、まばゆいばかりに輝く若いころのおばあさんを本当に美しいと思った。

「わかりました。そうしましょう。」とだけ言って、彼は写真をおばあさんに返した。

それを受け取るおばあさんの顔に若いころの面影が重なり、そこに女としての恥じらいがうっすらと浮かんだのを彼は見逃さなかった。

おばあさんの涙は、死を間近にしての悲しみの涙ではなかった。
それは、もうすぐ夫に会えるという喜びの涙だったのである。