『夏目漱石を読むという虚栄』第七章予告
(7/12) 「淋(さび)しい人間」
SとKの「共通点」は「淋(さび)しい人間」(上七)だろう。〔1500 さもしい「淋(さび)しい人間」夏目漱石を読むという虚栄 1510 - ヒルネボウ (goo.ne.jp)〕参照。根拠は次の文だ。
私は仕舞にKが私のようにたった一人で淋(さむ)しくって仕方がなくなった結果、急に所決(しょけつ)したのではなかろうかと疑が(ママ)い出しました。
(夏目漱石『こころ』「下 先生と遺書」五十三)
一寸待てよ。
発問者の期待する〔解答〕は、「私」つまりSの空想ではなかった。
「淋(さび)しい人間」という言葉は「因襲を逃れられぬ知識人を描いた『寂しき人々』(1891)」(『ニッポニカ』「ハウプトマン」)と関係がある。『寂しき人々』については第八章で考える予定。
(7/12終)