ヒルネボウ

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(書評) 岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館) (12)わり算の商を分数で表す

2024-07-04 01:23:50 | 評論

   (書評)

    岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)

(12)わり算の商を分数で表す(p92~93)

〈18÷0=?〉は無意味だ。このことについて、ネットでいろんな説明がしてあるが、私の見た限り、どれも数学的説明であって、算数的説明ではない。だから、小学生や小学生並みの大人には納得できない。ある手品のトリックを別の手品で解き明かしているみたいに思えるわけだよ。

正の整数、小数、分数および量の計算を中心に、数量に関する日常の具体的な計算や知識を取扱う数学の初歩的段階。

(『ブリタニカ国際大百科事典』「算数」)

「日常の具体的な」という点が肝腎なのだ。「数学の初歩的段階」というのは怪しい。

〈18÷0=?〉を日常語に言いかえてみよう。〈18の中に0はいくつあるか〉となる。

さて、〈0〉とは何か。「数えるべきものが一つもないこと」(『広辞苑』「零」)だ。したがって、先の文は〈18の中に「数えるべきものが一つもないこと」はいくつあるか〉となる。無意味だろう。

たとえば、〈18㎏の砂糖を入れる袋が1袋もないとき、1袋に何㎏入れるか〉って、どういうこと? 〈分けないけど、分けよう〉なんて、まったく話にならない。

問題

2㎏のさとうを、3つのふくろに等しく分けると、ふくろ1つ分のさとうの重さは、何㎏になるでしょう。

(p92)

解答後、偽ドラえもんは、突然、「3/5と0.6は、等しい大きさの数だってことだよ」(p93)と言い出す。話が違う。

そもそも、分数の横線(/)と割り算の〈÷〉は同じ意味の記号だ。計算してみたら、たまたま、あるいは必ず、同じ答えになるというようなことではない。ついでに言うと、比例の記号〈:〉も同様。つまり、割り算の答えと、分数と、比の値は、同じ。だから、さっきの〈18:0〉なんて無意味なのだ。比べるものがないんだからね。

偽ドラえもんは、「2÷3=0.6666…となって、ちゃんと表すことができないよね。でも分数を使えば、わりきれない数でも、きちんと表すことができるんだ」(p92)と言う。いや、「0.6666…」で「ちゃんと表すこと」ができている。〈0.6あまり0.2〉でもいい。

2㎏の砂糖を3つの袋に分ける場合、日常的には、ほぼ0.5㎏をそれぞれの袋に入れてから、残ったほぼ0.5㎏をさらにほぼ三等分する。それは、0.1㎏より多いが、0.2㎏より少ない。1袋に入れるのは〈0.6㎏と0.7㎏の間〉だ。

つまり、〈0.6<2/3<0.7〉ということ。

この不等式を実感するには、たとえば、〈2mのテーブを三つ折りにしてその1本の長さを物差しで測る〉というような作業の方が簡単だろう。

偽ドラえもんは、わざわざややこしい問題を拵えている。変なロボット。

(終)


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漫画の思い出・続  吾妻ひでお『失踪日記2 アル中病棟』(イースト・プレス)

2024-06-25 23:26:38 | 評論

   漫画の思い出・続

    吾妻ひでお『失踪日記2 アル中病棟』(イースト・プレス)

前作の『失踪日記』は手元にない。失踪したか。

『2』のカバーに、こう書いてある。

突然の失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働――

『アル中病棟』に至るまでの波乱万丈の日々を綴った、今だから笑える赤裸々なノンフィクション。

帯には、こう書いてある。

酒無しで この辛い現実に、どうやって 耐えていくんだ? 

過度の飲酒でアルコール依存症となり、担ぎ込まれた通称「アル中病棟」。

入院したら こうなった! 

病棟は 楽しいよ(吾妻)

「この辛い現実」がどんなものか、よくわからない。

前作に彼の親が登場していたが、シルエットだったと思う。

カバーの裏には、「入院前」と「現在」の「実際の「セルフケア自己評価表」」が載っている。

go to ミットソン志村太郎の「ミットソン」- 漫画の思い出:著者別「あ」 (wakwak.com)

(終)


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(書評)岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館) (11)偶数と奇数(p62~63)

2024-06-19 01:22:18 | 評論

   (書評)

           岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)

(11)偶数と奇数(p62~63)

偽ドラえもんは、算数を暗記物にしようとしている。

どんな整数も、偶数と奇数に分けることができるんだ。その見分けかたは、数の「しっぽ」を見ればいいんだよ。

(p63)

「しっぽ」とは「一の位」のこと。

だが、一の位を見ただけで見分けることができる理由は示されない。

8646は、一の位の6が2で割り切れるから偶数なのだそうだ。こんなの、説明になっていない。

8646=8640+6=864×5×2+3×2

といった説明もない。いや、こんな説明は、まだできないのだ。

後から、こんなことを言う。

偶数・奇数をたし算したときのきまりを知っておくと、便利だよ。

(p63)

「便利」なんじゃなくて、この「きまり」を先に理解すべきなのだ。

偶数+偶数=必ず偶数

奇数+奇数=必ず偶数

偶数+奇数や、奇数+偶数は、必ず奇数になる。

(p63)

どうして? 

やはり、説明不足。

そもそも、「きまり」というのが怪しい。誰かが決めたわけではない。

2a+2b=(a+b)×2 必ず偶数

(2a+1)+(2b+1)=(a+b+1)×2 必ず偶数

2a+(2b+1)=(2a+1)+2b=(a+b)×2+1 必ず奇数

こうしたことを、文字式を使わずに説明するのが億劫なのかな。

だったら、偽ドラえもんは怠け者だ。

もしかしたら、怠け者ですらないのかも。

(終)

 

 


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(書評) 村上もとか『フイチン再見(ツァイチェン)!①』(小学館)

2024-06-15 00:29:03 | 評論

   (書評)

   村上もとか『フイチン再見(ツァイチェン)!①』(小学館)

全10巻。

裏表紙にこう書いてある。

漫画家・上田としこ

1917年(大正六)生まれ、2008年(平成二〇)没。

これは、まだ誰も歩いたことがなかった「女流漫画家」という道を拓いた一人の実在した「女」を主人公とした物語である。

そろそろ実写のテレビ・ドラマを作らないか。

(終)


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(書評) 上田としこ『フイチンさん 復刻愛蔵版―上』(小学館) 上田としこ『フイチンさん 復刻愛蔵版―下』(小学館)

2024-06-14 00:44:43 | 評論

   (書評)

   上田としこ『フイチンさん 復刻愛蔵版―上』(小学館)

   上田としこ『フイチンさん 復刻愛蔵版―下』(小学館)

帯にこう書いてある。

上巻では巻頭・巻中カラーで、下巻では巻頭口絵で魅力あふれるカラーページを再現。

巻末寄稿者は、村上もとか、中村圭子、田村セツコ、ちばてつや、奈良美智、種村弘、川本三郎。

ちばの欄に『みそっかす』と書いてあるが、これは『あかねちゃん』の原題。

GOTO ミットソン『漫画の思い出』上田としこ志村太郎の「ミットソン」- 漫画の思い出:著者別「う」 (wakwak.com)/ちばてつや志村太郎の「ミットソン」- 漫画の思い出:著者別「ち」 (wakwak.com)

(終)


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