ひっこめ節
思ったように ならぬなら
生きてる甲斐も ありませぬ
ならぬなら なしてみしょう
無理にでも 無理にでも
無理が通れば
道理 引っ込め!
石ころ ぷかぷか
枯葉よ 沈め
(終)
ひっこめ節
思ったように ならぬなら
生きてる甲斐も ありませぬ
ならぬなら なしてみしょう
無理にでも 無理にでも
無理が通れば
道理 引っ込め!
石ころ ぷかぷか
枯葉よ 沈め
(終)
転がって転がって
先生が説教するけど わからないのさ その言葉
友達が笑ってるけど わからないのさ その気持ち
転がって 転がって
どっか 別の所へ 行きたいと思ったこともあったさ
でも 今は わからないのさ 何もかも
糞婆が絶叫するけど わからないのさ その言葉
糞爺が唸ってるけど わからないのさ その気持ち
転がって 転がって
どっか 暗い谷間で 死にたいと思ったこともあったさ
でも 今は わからないのさ 何もかも
ラジオが実況するけど わからないのさ その言葉
デモ隊が歌ってるけど わからないのさ その気持ち
転がって 転がって
どっか 遠い世界で 生きたいと思ったこともあったさ
でも 今は わからないのさ 何もかも
(終)
あなたへ
原詩 ホイットマン
名も知らぬ あなた
通りすがりに ふと
私に話しかけたくなったなら
なぜ 話しかけないの
そして なぜ
私はあなたに話しかけちゃいけないの
(終)
歌 拳(こぶし)
詩 石川啄木
おのれより富める友に愍(あはれ)まれて、
或(あるひ)はおのれより強い友に嘲(あざけ)られて
くわっと怒(いか)って拳(こぶし)を振上げた時、
怒(いか)らない心が、
その怒(いか)った心の片隅(かたすみ)に
目をパチ〳〵して躊(うずくま)ってゐるのを
見つけた――
たよりなさ。
あゝ、そのたよりなさ。
やり場にこまる拳をもて、
お前は
誰(たれ)を打つか。
友をか、おのれをか、
それとも 又 罪のない傍(かたは)らの柱をか。
(終)