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間違いが故事に。「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」 【一茶庵 稽古追想】

2020-10-31 13:37:23 | 一茶庵「易社」

お軸(写真)に、このような詩が書かれていた。

幾日霜風木葉乾,湖山深處水雲寬

閒情每向無人得,落日孤亭枕石寒

 

風や霜がおり木の葉は乾き、

深い山、湖に雲が広がる。

この広いところに人の気配はない、

日が暮れひっそりとした小屋で石の枕が寒々しい。

 

この詩から想像すると、旅人が野宿に立ち寄ったのか、あるいは誰か寂しく隠棲しているか。どちらにしてもその情景が浮かんでくる。

中国の故事に、「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」という熟語がある。この意味は、自分の失敗を認めず、屁理屈を並べ言い逃れをすること。負け惜しみの強いこと。という意味である。

この言葉は、三国志に登場する西晋の政治家である孫楚が間違って、「枕石漱流」というべきことを「漱石枕流」と言い、間違えを認めず屁理屈を並べて言い逃れたことから、この「漱石枕流」がそのまま故事として使われるようになった。

ご存知、夏目漱石は、この故事を引用し、雅号とした。漱石自身も、名前につけるくらいこの故事が気にいっていたことになる。つまり、漱石自身も頑固で屁理屈が好きな人だったのかと想像してしまう。

煎茶の淹れ方の基本である、水から茶葉を煮る「煮茶法 」、湯から茶葉を煮る「烹茶法」、そしてその中間の「中煮法」がある。

それぞれの淹れ方で、秋月の輝きと美しさを想い浮かべながら夜長を楽しんだ。


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