広い境内を有する神社や寺院では左右対称の建造物が多い。「シンメトリー」を意識することで安定した調和感やはっきりとした規則性が感じられ、なぜか安心感を覚える。西洋でも東洋でも左右対称の幾何学性のあるものに古くから価値が見いだされてきた。美しさの基本は調和、安定、合理性はどこにおいても同じである。一方、自然の中には対称形のものなく、その非対称の美しさも日本では受け入れてきた。
左右対称の代表的な建造物のひとつである「平安神宮」はご承知の通り、平安京大内裏(だいだいり/宮城)の正庁を模して造られた朱塗りの日本を代表する應天門や大極殿の美しさが際立つ。應天門くぐり砂利がひかれた広い空間の正面には大極殿が見える。その景色は朱に彩られている別世界のようだ。建造物自体もそうであるが建物配列すべてがシンメトリーである。大極殿を中央に、左に白虎楼、右に蒼龍楼があり、そして應天門に近い左には額殿、右に神楽殿がある。
砂利がひかれた広い空間の中央に立って回転して見ると、幾何学的で規則正しい景色は地球から見える “朱の宇宙” のよう。この空間も、またさらに奥の空間にも我われの目に見えない何かが存在しているかもしれない。そんなことを想い巡らして眺めるのも実に楽しいものである。
中央が大極殿、左が白虎楼、右が蒼龍楼
左が額殿
右が神楽殿
大極殿の反対の應天門
大極殿
白虎楼
蒼龍楼
リポート&写真/ 渡邉雄二
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