縦横の和紙にそれぞれ13仏に鳳凰、般若心経を添えて13仏曼荼羅を描かれた方の創造力とチャレンジ性には驚かされる。その方の他の作品がまた驚く。ご覧の通り大日如来像を中心に、その下に絵文字のようなものを描かれている。
これが「絵心経」である。江戸時代に字が読めなかった人たちのために般若心経の文言を絵で表現したものである。般若心経を絵で表現されているのを見ると、当時の庶民が使う日常のモノを絵にしている。それが実にユーモラスに表現されているのには驚かされる。
例えば、摩訶般若波羅蜜多心経の出だしの「摩訶」は釜を逆さに描いて"まか"と読ませている。「般若」は"般若の面"、「波羅」は"腹"、「蜜」は"箕(農具)"、「多」は"田んぼ"、「心経」は"神鏡"などお絵描きあそび、言葉あそびのように様々な楽しさをもたせている。文盲の方たちがみ仏の慈悲にすがるためにこの「絵心経」が広まり親しまれたようである。
一連の作品を描かれている方は、教室ではあまり作業をされない。何を描いていいかわからないから、と。和紙と題材を提供し自主奔放に任せている。実に見事なものを描いて持参される。因みに70代の半ばの女性である。
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