宝蔵寺は伊藤家並びに絵師若冲の菩提寺として知られ、若冲が建てた両親の墓がある。その縁から若冲と弟子の作品を収集している。
前回紹介した若冲の「竹に雄鶏図」と「髑髏図」に続いて、若冲の弟子と思われる意冲が描いた「菊慈童図」が初公開された。菊慈童は中国古代を舞台にした物語で、能楽や絵画にもよく登場する題材の一つである。不老不死となった少年の姿が描かれている。絵は絹地に彩色されていて、縦99・6センチ×横32・2センチ。
鑑定によると、意冲の落款があり、上部の松の木の墨の筆づかいが若冲と似ていることから、意冲の絵と判断された。意冲の作品は数少ないが、繊細な筆致で完成度が高い作品と評されている。
同寺のご住職の小島英裕さんが一昨年の春、古美術商の目録に掲載されているのを知り、この「菊慈童図」をすぐに買い求めたという。
伊藤若冲など著名な絵師の作品を博物館や美術館で鑑賞するのもいいが、お寺の薄暗い中、目の前で心ゆくまで堪能できるのは愉楽の極みである。
次回は、その他の弟子たちの作品
リポート&写真/ 渡邉雄二・寺宝展チラシコピー Reported & Photos by Yuji Watanabe
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