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BSE&食と感染症 つぶやきブログ

食品安全委員会などの傍聴&企業・学者・メディア他、の観察と危機管理を考えるブログ by Mariko

日経がまた珍妙な報道。。。BSE問題の焦点は「月齢」ではなく「感染牛排除」なのだが。

2005年01月25日 13時42分17秒 | アメリカ牛は安全か?
日経記事より。「日米両政府は安全度の高い若い牛から牛肉貿易を再開することで基本合意しており、牛の成育月齢の確認方法をめぐり専門家同士が詰めの調整を急いでいる。」
http://health.nikkei.co.jp/bse/child.cfm?i=2005012500793bs&c=0

輸出再開が決まるのは、国内の評価が終わって、それから米国牛のリスク評価を食安委がしてからであって、「若い牛を輸入再開する」ことは、決定してないのであります。

BSE対策見直しと輸入再開は別問題 農水局長らが強調 (9/21) 農業共同組合新聞から
http://www.jacom.or.jp/news04/nous101s04092401.html
「20ヶ月齢以下の若い牛をBSE(牛海綿状脳症)の全頭検査からはずして米国産牛肉の輸入再開に道を開くという報道が一人歩きしている問題について、厚労省食品安全部の外口崇部長は「国内のBSE対策検証と輸入再開はまったく別の話だ」「対策は科学的に決めるべきものであり(輸入などの)他の基準にはよらない」と強調した。同省と農水省が9月21日都内で開いたBSE対策に関する意見交換会での発言だ。」注:議事録はこちら

「 農水省消費・安全局の中川坦局長も「国内措置を見直してからでないと日米協議には入れない。見直しではBSE検査の質を上げ、国内と同等の措置を米国にも求めていく。国民の意見をしっかり聞いてリスク管理の質を高め、これを土台に交渉する。両省の考え方が固まれば食品安全委員会に諮問するが、現状では日米協議のベースができていない」と語った。」

日米協議をするなら、BSEのリスクを下げるために何よりも大切な「飼料管理」「危険部位除去」の改善について先にしていただきたいものです。そして、今回こそは、EUの米国に対する新評価を無視しないこと。日本にBSEを持ち込み拡大させたのは、EUの評価を無視した国の体制に原因があるのですから。

米国の地理的BSEリスクの評価に関する作業グループ報告(欧州食品安全庁)
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/bse/document/gbrus04.htm
関連
2005年1月21日 プリオン調査委員会傍聴記 その1 「20ヶ月齢記載は削除しろ」と委員

2005年1月21日 プリオン調査委員会傍聴記 その1 「20ヶ月齢記載は削除しろ」と委員

2005年01月25日 09時11分42秒 | アメリカ牛は安全か?
本日のプリオン調査会の資料は興味深かったですよ~。まだHPに掲載されてませんが、たぶん多くのメディアが報道しないと思うんで、いくつかトピックをピックアップしますね。
http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/index.html


まず、【資料1-1 専門委員からの意見】から。。
・(中間とりまとめ案について)委員会からの依頼・論議もないまま作製されたものであり、また、内容には独断と誤りも見られたので指摘したが、中立ではなく何か”ある種の意図”のようなものを感じる。白紙から作り直したほうがよいのでは?
・第18回プリオン専門調査会で議論されたように、書き方を修正すべき。

そして、
【資料1-3「専門委員からの意見」】の修正案では、以下の文章を削除すべき、と、訂正線が。
「なお、本調査会は、20ヶ月齢以下のみならず、延髄閂部の異常プリオンたん白質が現在のBSE検査の検出限界量に達していない場合には、21ヶ月齢以上のBSE感染牛においても検出することができない点を指摘しておきたい。」←これに訂正削除線が入ってます。

また、上記の5ページ目にはこんな文言も。
・なぜ年齢(月齢)にこんなに拘るのか?汚染飼料の性格から多くの場合、生後まもなく感染すると推定され、見かけ上年齢に関連して見えるに過ぎない。厳密には年齢とは無関係で、感染量と感染時期によって検出量に達する時期が決まるのである故にこんな指摘は不見識である何を目的として「なおーーー」(第18回プリオン専門調査会におけるたたき台中の記述)を記入したか理由が知りたい。
・今回は20ヶ月が対象にとなっているが、次は24または30ヶ月で線引きするための伏線?

=====
ところで、その他議題として、豚の肉骨粉を豚と鶏に食べさせることは解禁ということになったようです。輸入ものについても国内と同一の条件を満たせば輸入再開、ということになるそうですが、例えば、米国の、BSE牛の肉骨粉でも豚であれば食べさせてよし、なんてお達しが過去にでてましたが、そういう飼料を食べた豚の肉骨粉も輸入OKなんてことになってしまうのか?そこが疑問でした。

しかし、食安委が招待した英国の学者さんは、「豚と鶏も感染する」とリスコミで発言し、また、プルシナー氏は、「プリオンを持つ動物は孤発性のプリオン病を発生させる可能性がある」なんて言われていたわけですが、ともぐい再開させて果たして大丈夫なのか、私は大いなる疑問を持ちました。

本日の会議について、日本食糧新聞さんが以下のように伝えています。
http://www.nissyoku.co.jp/

2005年5月13日追加:
平成16年12月22日の食品安全委員会議事録抜粋。

○甲斐専門委員 今もありましたように、月齢で安全とか安全じゃないとか線を引くのは全然科学的なことだとは思えないんですが

○山内専門委員 今のイギリスの例に関して、20ケ月齢の牛の場合に、ここでは3か月前だったら、検査で見つかるだろうというふうにEUの報告書は述べてあると書いてありますが、EUの報告書は17か月、もしくは最悪のシナリオでいけば13か月で見つかると書いてあるわけです。私はそのこともこの前の委員会で申し上げましたけれども、なぜか削られてしまっているんです。EUのレポートにはっきり書いてあります。レー・ブラッドレーとオーストリアの神経病理のブドウカ教授2人が書いた報告です。

○金子座長代理 今の2ページの関連の知見のところですけれども、1つは、そこの最後のところですね。「直ちにこの推測が」という、今の先生方がお話された点、私、座長代理などという名前が付いていますので、これは私が全部承認したと思われると誤解を招くと思いますので、一言申し上げますけれども 、これについては私も一度削った文言なんです。ですから、ここで先生方の前でもう一度ディスカッションしていただきたいと私も思っておりますし、その上の20ケ月以下でも検出可能かもしれないというのは、今の北本先生の御意見もそうですし、山内先生もそうですけれども、これはもっと早くてもいいわけです
http://www.fsc.go.jp/senmon/prion/p-dai18/161222_dai18kai_prion_gijiroku.pdf

英国におけるBSE発生の若齢牛と高齢牛(遺伝子組み換え情報室さんのサイトから)
http://www2.odn.ne.jp/~cdu37690/eikokunobsejyakureigyu.htm

20ヶ月の「発症牛」は存在するんですが、報道されませんね~。

2005年1月19日 牛の月齢の検討会(第二回)傍聴記

2005年01月25日 09時09分43秒 | アメリカ牛は安全か?
19日、傍聴にいって参りました。アメリカの方が、35ヶ月以下の牛でBSEが出る確率は16億分の1とか、50年に1回とか力説してましたが、どういう根拠からそういう話が出るのだか・・・(^^;何ヶ月の牛であろうと、「感染した牛」を輸出されたらたまたものじゃありません。意味のない月齢云々の話をするなら、一番大切な飼料管理と危険部位除去の改善についてどうして話し合いの場を持たないのか。そして、米国に改善を求めなければ、血液製剤を輸入している日本もこれまた対岸の火事ではないわけです。まぁ、ナンセンスな会議でした。

◆各紙が伝える月齢判定会議結果
”BSEの対策”としての観点から見たら、実にナンセンスな会議だと思いますが、どういう話が出たかの報道をいくつか引っ張ってきました。

256分の0はゼロではない 成熟度と月齢の関係を検討 米国の報告書で(日本食糧新聞)
http://www.nissyoku.co.jp/
牛の月齢判別法、採用判断は先送り BSE専門家会合(朝日)
http://www.asahi.com/special/bse/
(05/01/19)牛月齢判別の日米協議、決着へ前進・米側新提案を評価
http://health.nikkei.co.jp/bse/

報道されている以外で、委員の発言要旨で印象的だったものをUPします。

◆明星大学 理工学部教授 広津千尋委員(統計学)
「今回米国が出したデータサンプルは私が要望していたものと違う。要望していたものは、”こういうサンプルを何度も続けて調査したときのデータ”であり、統計学的議論がなく、期待されるものではなかった」
「最後のコメントとして、これで検討することになるが、このデータに基づいて、探索的なものとなる。(こういうものは)クリニカルトライアル(臨床試験?)を経て、検証試験をしてから、ベリファイズするのが常識であり、検証試験が必要だと考えています。」
「A40についての月齢のカットポイント(一番数値が高く徐々に数値が減る分岐点)から急激にゼロになる(18ヶ月以上に数字が出てこない)ことについて不自然さを少々感じています。」(他のA50やA60はカットポイントからも数字がだらだら続いています)

◆社団法人日本食肉格付協会 規格専門委員長 中井博康委員
「(これらデータについて)”文章化する必要があると思います」←(論文にすべきということか)
「骨格についてはある程度の相関関係があるのはわかりましたが、肉色は違いがでるので難しい。品種、運動量、ストレスなどによって色は変わります。」

アメリカの研究者からの情報
「年間3500万頭と畜。USDA GRADER(格付け員)は160人」

そこで私の疑問です。1頭あたりのチェック時間は何分?何秒?

最後に、百歩譲って、月齢と肉質についてだけの会議をしていると考えても、米国の言い分だけを聞き、論文にもなっていないものを、広津先生のいうように「検証試験」なしで判断されたらたまったものではないと思いました。

※九郎丸正道先生と柴田秀史先生がご都合が悪く欠席でした。