耳を洗う

世俗の汚れたことを聞いた耳を洗い清める。~『史記索隠』

“閑話休題”~「こがんことのあるやろか」…佐賀北優勝

2007-08-23 12:09:42 | Weblog
 昨日午後はテレビにかじりついていた。郷里佐賀チームが一試合ごとにドラマを演じ続け、とうとう決勝進出、見逃すわけにいかなかった。広陵野村投手にさんざん苦しめられ、7回に2点追加点を取られたときはほぼ試合は決まったと思った。

 “奇蹟”=常識で考えては起こりえない、不思議な出来事・現象。(『大辞泉』)

 いまだに忘れられない“奇蹟”は、1985年8月12日の「日航機墜落事故」で、乗員15名、乗客509名中、4名の生存者があったことだ。識別できない遺体が400体以上あった惨事のなかで生きていた人がいたとは、どう考えても「不思議な出来事・現象」としか思えなかった。

 佐賀北高の8回裏は、まさにこの「日航機墜落事故」の“奇蹟”を思わせるような“奇蹟”というしかない試合展開だった。押し出しで一点取ったあとの打者が、今大会で2本のホームランを打っている副島。どうしてここで副島に回ってきたのか。中国古代哲学者『荀子』は、

 “偶と不遇とは、時なり”

と言ったが、これはよく言われる「時の運」のことで、この「時の運」にめぐり合ったのが副島だったというしかない。そして「時の運」を見事にものにしたのが彼のホームラン。

 首都圏の大学でスペイン語を教えていたが、いまは田舎に帰って95歳の母と暮らす同級生の友人に電話したら、「デイ・ケアに行っているお母ちゃんが、施設でも爺さんたちが大騒ぎしとったて言うとった」との話。今日は、帰ってくる選手たちの歓迎で大騒ぎだろう。人気の陰りが著しい野球界にあって、高校野球はいまも新鮮。しかも、恵まれない環境下で鍛え抜かれた公立校の佐賀北高選手たちの健闘に、心からの拍手を送りたい。

 参考:http://www.saga-s.co.jp/