INDECのクラスでは、ほとんどの場合、TOEIC・TOEFL・GMATの本番形式の問題を教材として使用しています。実戦的な問題を解くことがスコア・アップの早道であることは間違いないからです。
こうした「道場」(クラス)内での基本稽古の上に、推奨しているのが道場外での「ストリート・ファイト(喧嘩)」です。
言葉は物騒ですが、なあに、そんなに難しいことではありません。クラスで培った基礎英語力を、業務上の英文書類、英書、英字新聞・英字雑誌・英字サイトなどの試験問題以外の文章を使って、発展させることですから。
ただし、気をつけなければならないことがあります。ストリート・ファイトで学んだことが試験のスコア・アップに自動的に貢献するとは言えないということです。
よく「会社で英文ドキュメントをバンバン読んでいますから、英文読解力は相当自信があります」と胸を張る人がいますが、そういう人に限って、TOEFLやGMATの長文問題に手も足も出ない場合が多々あるものです。アマチュア相手に喧嘩が強いからと言って、無謀にも、K-1やPRIDEのリングの上でプロと戦えば秒殺されるのと同じ理屈です。
つまり、基本を押さえることなく自分勝手に独り善がりに英語と接するクセをつけてしまうと、自分では英語ができるつもりでいても、他人からは認めてもらえない=試験のスコアが上がらないことになることが多い
ということです。
ゆえに、ストリート・ファイトで度胸と実戦を重ねながら、道場(クラス)で地道な稽古を重ねることが必要なのです。そうなると、当然、他人のアドバイスに耳を貸せない、心の狭い、ちっぽけなプライドにしがみつくタイプの人は、まずもってよいスコアが取れませんし、実際にまともな英文一つ書けないとしたものなのです。
INDECに誇れるものがあるとすれば、綿密な個人指導をベースに基本稽古とストリート・ファイトをバランスよく行うことで、本物の実力を培ってもらえるようにすることなのです。
それでは、ストリート・ファイトではどのようなことに気をつけながら勉強すればよいのでしょうか?
せっかく前回の記事でロジャー・エバートの『ハウルの動く城』の映画評を紹介しましたから、これを使ってINDEC流「ストリート・ファイト」英語学習法のポイントを紹介してみましょう。
前の記事で引用した箇所を使います。
A parade of weird characters comes onstage to do their turns, but the underlying plot grows murky and, amazingly for a Miyazaki film, we grow impatient at spectacle without meaning.
どうでしょうか。きちんと訳せましたか?(訳例は、後ほど。)
この文章、辞書なしで正しく訳せるとすれば、TOEICなら軽く900点、TOEFLならば260点近くあると思われます。”but”の前の節までは大体の意味が分かると思われますが、それ以降はきちんとした知識がないととんでもない誤訳を生じさせる可能性があるからです。
正しい和訳の障害となるのが、次の二つでしょう。
(1) murky
(2) grow impatient at
それぞれの意味を明らかにしながら、ポイントを示します。
(1)エバートのレビューを幾つか読んでいると気づきますが、彼はmurkyという形容詞が好きでよく使っています(アメリカ人のインテリは大概好きなようですが)。
このように、一人のライターが書く文章を続けて読むこと。これがストリート・ファイト学習法の第一原則です。そうすることで、そのライターのクセを読み取り、頻度の高い単語やフレーズを覚えるようにするのです。その場合、今回のように自論を展開している場所に使われているかどうかが重要度を判断するヒントとなります。
ところで、murkyとは、「非常に暗い、真っ暗な、霧でかすんだ、どんよりとした、あいまいな、理解しにくい」という意味で、大概マイナス・イメージで使われます。皆さんもよく分からないものにぶつかったらば、この単語を使ってみてください。”How murky it is!”という具合に。文語調の単語ですから、重々しくもあり、カッコよい単語なのです。
なお、「名詞+-y」で形容詞ができます。次の例のように。
sun sunny
rain rainy
そして意味は、元の名詞が一杯にある状態だと思ってもらえば間違いありません。たとえば、leafyは「葉が生い茂っている」であり、muddyは「泥だらけ」です。
単語を覚える時は、接頭語・接尾語を覚えることで最小の努力で最大の効果を挙げられることを忘れないでください。
(2)INDECでは、「英語は動詞の言語」であると常に説いています。動詞を覚え、動詞に前置詞や副詞がくっついてできる熟語を優先して覚えると、英語力は急速に伸びるからです。
ストリート・ファイトでも熟語が出てきたら、こまめに辞書を引いて意味を確認し、しっかりと覚えましょう。
そこでgrow impatient at。
これはいわゆる熟語やイディオムと呼ばれる慣用句というわけではありません。growを引いても、impatientを引いてもこの形では辞書に出てきません。しかしこうした連句から生じる微妙なニュアンスが取れるようになると、英語を勉強するのが楽しくなるのです。
一歩一歩行きましょう。
まず、growは自動詞ですから、補語として形容詞を取れます。つまり”grow impatient”から「impatientな状態に育っていく」という直訳が可能なのです。それをより分かりやすい日本語に言い換えれば、「イライラするようになってしまう」という意訳が自然と誕生するのです。
ストリート・ファイトでは、滑らかな意訳で理解力を増せ!であります。
さらに前置詞のatはこういう感情を表す形容詞や動詞と結びつくことがよくあります。有名なところでは、laugh at~で「~を笑う」というように、at以下のものを対象に感情が動くことを示すのです。
ゆえに、impatient at~で「~に対してガマンできない、イライラする」という意味になります。狙った的を表すatは色々なところで活躍してくれますから、この際しっかり覚えてください。
ストリート・ファイトでは、前置詞にこだわれ!
というわけで、「~にイライラし始める」という訳がこのフレーズに与えられるのです。その結果、次のような試訳ができました。
「ヘンテコリンなキャラクターが次から次へと現れてくるが、底に流れる筋は分かりにくくなり、宮崎映画にしては驚くべきことに、見ているわれわれが意味なしの見世物にいらいらするようになっていくのだ」
結論:
ストリート・ファイトでは、一人の対戦相手に絞り、その相手のクセを徹底的に研究せよ!
ストリート・ファイトでは、謙虚に辞書を引け!
こうして試験にも実戦にも強い英語運用者をめざしてください。INDECは、そんな欲張りで野心的でそして謙虚な若者をいつでも応援しています。
こうした「道場」(クラス)内での基本稽古の上に、推奨しているのが道場外での「ストリート・ファイト(喧嘩)」です。
言葉は物騒ですが、なあに、そんなに難しいことではありません。クラスで培った基礎英語力を、業務上の英文書類、英書、英字新聞・英字雑誌・英字サイトなどの試験問題以外の文章を使って、発展させることですから。
ただし、気をつけなければならないことがあります。ストリート・ファイトで学んだことが試験のスコア・アップに自動的に貢献するとは言えないということです。
よく「会社で英文ドキュメントをバンバン読んでいますから、英文読解力は相当自信があります」と胸を張る人がいますが、そういう人に限って、TOEFLやGMATの長文問題に手も足も出ない場合が多々あるものです。アマチュア相手に喧嘩が強いからと言って、無謀にも、K-1やPRIDEのリングの上でプロと戦えば秒殺されるのと同じ理屈です。
つまり、基本を押さえることなく自分勝手に独り善がりに英語と接するクセをつけてしまうと、自分では英語ができるつもりでいても、他人からは認めてもらえない=試験のスコアが上がらないことになることが多い
ということです。
ゆえに、ストリート・ファイトで度胸と実戦を重ねながら、道場(クラス)で地道な稽古を重ねることが必要なのです。そうなると、当然、他人のアドバイスに耳を貸せない、心の狭い、ちっぽけなプライドにしがみつくタイプの人は、まずもってよいスコアが取れませんし、実際にまともな英文一つ書けないとしたものなのです。
INDECに誇れるものがあるとすれば、綿密な個人指導をベースに基本稽古とストリート・ファイトをバランスよく行うことで、本物の実力を培ってもらえるようにすることなのです。
それでは、ストリート・ファイトではどのようなことに気をつけながら勉強すればよいのでしょうか?
せっかく前回の記事でロジャー・エバートの『ハウルの動く城』の映画評を紹介しましたから、これを使ってINDEC流「ストリート・ファイト」英語学習法のポイントを紹介してみましょう。
前の記事で引用した箇所を使います。
A parade of weird characters comes onstage to do their turns, but the underlying plot grows murky and, amazingly for a Miyazaki film, we grow impatient at spectacle without meaning.
どうでしょうか。きちんと訳せましたか?(訳例は、後ほど。)
この文章、辞書なしで正しく訳せるとすれば、TOEICなら軽く900点、TOEFLならば260点近くあると思われます。”but”の前の節までは大体の意味が分かると思われますが、それ以降はきちんとした知識がないととんでもない誤訳を生じさせる可能性があるからです。
正しい和訳の障害となるのが、次の二つでしょう。
(1) murky
(2) grow impatient at
それぞれの意味を明らかにしながら、ポイントを示します。
(1)エバートのレビューを幾つか読んでいると気づきますが、彼はmurkyという形容詞が好きでよく使っています(アメリカ人のインテリは大概好きなようですが)。
このように、一人のライターが書く文章を続けて読むこと。これがストリート・ファイト学習法の第一原則です。そうすることで、そのライターのクセを読み取り、頻度の高い単語やフレーズを覚えるようにするのです。その場合、今回のように自論を展開している場所に使われているかどうかが重要度を判断するヒントとなります。
ところで、murkyとは、「非常に暗い、真っ暗な、霧でかすんだ、どんよりとした、あいまいな、理解しにくい」という意味で、大概マイナス・イメージで使われます。皆さんもよく分からないものにぶつかったらば、この単語を使ってみてください。”How murky it is!”という具合に。文語調の単語ですから、重々しくもあり、カッコよい単語なのです。
なお、「名詞+-y」で形容詞ができます。次の例のように。
sun sunny
rain rainy
そして意味は、元の名詞が一杯にある状態だと思ってもらえば間違いありません。たとえば、leafyは「葉が生い茂っている」であり、muddyは「泥だらけ」です。
単語を覚える時は、接頭語・接尾語を覚えることで最小の努力で最大の効果を挙げられることを忘れないでください。
(2)INDECでは、「英語は動詞の言語」であると常に説いています。動詞を覚え、動詞に前置詞や副詞がくっついてできる熟語を優先して覚えると、英語力は急速に伸びるからです。
ストリート・ファイトでも熟語が出てきたら、こまめに辞書を引いて意味を確認し、しっかりと覚えましょう。
そこでgrow impatient at。
これはいわゆる熟語やイディオムと呼ばれる慣用句というわけではありません。growを引いても、impatientを引いてもこの形では辞書に出てきません。しかしこうした連句から生じる微妙なニュアンスが取れるようになると、英語を勉強するのが楽しくなるのです。
一歩一歩行きましょう。
まず、growは自動詞ですから、補語として形容詞を取れます。つまり”grow impatient”から「impatientな状態に育っていく」という直訳が可能なのです。それをより分かりやすい日本語に言い換えれば、「イライラするようになってしまう」という意訳が自然と誕生するのです。
ストリート・ファイトでは、滑らかな意訳で理解力を増せ!であります。
さらに前置詞のatはこういう感情を表す形容詞や動詞と結びつくことがよくあります。有名なところでは、laugh at~で「~を笑う」というように、at以下のものを対象に感情が動くことを示すのです。
ゆえに、impatient at~で「~に対してガマンできない、イライラする」という意味になります。狙った的を表すatは色々なところで活躍してくれますから、この際しっかり覚えてください。
ストリート・ファイトでは、前置詞にこだわれ!
というわけで、「~にイライラし始める」という訳がこのフレーズに与えられるのです。その結果、次のような試訳ができました。
「ヘンテコリンなキャラクターが次から次へと現れてくるが、底に流れる筋は分かりにくくなり、宮崎映画にしては驚くべきことに、見ているわれわれが意味なしの見世物にいらいらするようになっていくのだ」
結論:
ストリート・ファイトでは、一人の対戦相手に絞り、その相手のクセを徹底的に研究せよ!
ストリート・ファイトでは、謙虚に辞書を引け!
こうして試験にも実戦にも強い英語運用者をめざしてください。INDECは、そんな欲張りで野心的でそして謙虚な若者をいつでも応援しています。
「一人の書き手のクセを徹底的に研究する」ということもゴウ先生に教えて頂かなければ、ヤミクモに読んでしまうところでした。独り善がりに陥らない学習が大切なのですね。