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中村吉右衛門・自分史9:中村歌右衛門に学ぶ

2017年07月22日 05時53分15秒 | 歌舞伎

六世中村歌右衛門から教わることができたのは、確実に中村吉右衛門の財産となっています。

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(語る 人生の贈りもの)中村吉右衛門:9 女形のおじさまに教えられた
朝日新聞 2017年7月21日05時00分

2016年2月の東京・歌舞伎座での「籠釣瓶花街酔醒」。あばた面の佐野次郎左衛門をつとめる。八ツ橋は尾上菊之助 (C)松竹

 ■歌舞伎俳優・中村吉右衛門

 六代目中村歌右衛門のおじさま(女形の名優)は、相手役に抜擢(ばってき)した初代吉右衛門に恩を感じていて、ぼくに初代のやり方をよく教えて下さいました。普通、女形は立ち役のことに口を出しませんし、教えてもくれませんから、異例のことなんですね。

 《1979年、東京・新橋演舞場の「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)」で歌右衛門に抜擢された。傾城(けいせい)(格式の高い遊女)八ツ橋に心を奪われて通う、あばた面の絹商人、佐野次郎左衛門の役。間夫(まぶ)への義理立てから八ツ橋に満座で愛想尽かしをされる。しばらくして再訪、名刀籠釣瓶で八ツ橋を斬る》

 初代が次郎左衛門をつとめた時は、ぼくが筆の竹の部分に茶色の油墨をつけて、顔にペタペタとあばたの跡を押しました。初代はそんなにあばたはつけませんでしたが、歌右衛門のおじさまにはあばたを強調するように教わった

 満座の中で恥をかかされた恨みと、名刀の魔力に魅入られたという二重の構造で、八ツ橋を斬ることになります。色々なドラマで演じられている男女の仲をいかにもっと昇華させ、舞台でより深くお客様に感じて頂けるか。こんな状況でなくて良かったとか、おれは幸せだとか、様々な感慨を持って頂けるような舞台にしていきたい。

 《歌舞伎の継承への努力は、舞台の上だけのことではない。2006年からは、舞台芸術を体験する文化庁の事業で小学校を訪れる

 高いと思われている歌舞伎の敷居をまたいでもらうには、どうしたらいいか。小学校には、役者が前脚と後ろ脚に入る、歌舞伎で使う馬を持って行きました。

 子どもたちを乗せて走らせると、「本物みたい」「面白かった」と大喜び。芝居で使うガマガエルの着ぐるみの背中から飛び出して会場に登場したり、太鼓をたたいて表現する風や波の音を聞き分けるクイズをしたりしました。

 歌舞伎は、侍から町人まで全ての人が楽しめるように考えられたもの。とっつきにくくはないと知ってほしいですね。(聞き手 山根由起子)

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上の写真が撮られた2016年2月歌舞伎座の『籠釣瓶花街酔醒』は、貧乏英語塾長も観ています。人のいい田舎者の佐野次郎左衛門が八ツ橋に惚れたばかりにどんどん狂気の男になっていくさまがリアルですばらしく、さすが吉右衛門と感じたものです。特に、前半の次郎左衛門の愛嬌のよさは格別でした。これがあるから、その後の落差にドラマが生まれます。

ありえないことではありますが、いまの吉右衛門と最盛期の歌右衛門の『籠釣瓶花街酔醒』が観られたら、どんなによいことでしょう。初代のそれを越えているような気がしてならないのですが。


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