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歩きスマホに、世界は危機を感じている?

2016年02月21日 04時24分22秒 | 時事放談: 海外編

街の厄介者・歩きスマホは、もはや世界的問題になってしまったのでした。ウォールストリート・ジャーナルの記事を記録しておきましょう。

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「歩きスマホ」もはや笑い事ではない
どのような責任がIT企業に要求されるのか

By GEOFFREY A. FOWLER
WSJ 2016 年 2 月 19 日 07:43 JST

 マニー・フィオリさんの仕事は、スマートフォンが死亡事故を起こさないようにすることだ。同氏はサンフランシスコにある私のオフィスに近いガレージの出入口に立ち、画面に集中するあまり交通の往来に気づかない歩行者と自動車がぶつかるのを防いでいる。

 フィオリさんは「人々は最近、(スマホに)没頭しすぎている」と話す。同氏はビルの警備員で、叫んで指示を出すばかりか、両手を広げて自動車と歩行者を止めることだってある。

 朝のラッシュを車道から見守ることで、スマホ中毒の恐怖を測定できる。先週には見上げることすらしない歩行者が1時間に70人いた。スマホでテレビ番組を見ている人もいたし、しかめっ面でメールを打っている人も多かった。車にぶつかるのを止めてくれたフィオリさんに礼を述べたのは、その中の5人だった。

 私も潔白ではない。私のスマホにはネコと争ったかのような傷がついている。実はテキストを打ちながら壁にぶつかったのだ。

 こうした「歩きスマホ」現象が発生した当初、それは一種のジョークだった。動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」には、メールを打ちながらフラフラ歩いている人が噴水に落ちるといった動画が満載だ。ドイツではこうした人々のことを「smombie」、つまりスマホとゾンビをかけ合わせた言葉で呼んでいる。

 しかし、自分自身から自分を助けるために、ガレージに警備員を雇わなければならない状況にまでなれば、歩きスマホはもはやジョークとは言えなくなる。

 これはひとつの公共安全問題で、中毒症状だ。スマホは私たちの注意を引くすべを習得してしまった。少なくとも、これはスマホの構造上の欠陥だ。この問題への対処でどのような責任がIT(情報技術)企業に要求されるかが問われる時代になっている。

 米消費者製品安全委員会のデータを探ったところ、歩きスマホをしていた人が救急救命室に運ばれた回数は2010年から14年までに124%増加し、06年からは10倍に増えたことが判明した。

 一部の研究者によると、携帯電子機器が原因で負傷した歩行者の割合は1年間で全体の10%に上り、同じ理由で6人が死亡したという。運転中にスマホを操作すればさらに深刻な危害につながるが、歩きスマホによる事故も一般的になってきている。

 米国家運輸安全委員会の委員長を務め、現在は非営利団体「米安全性評議会(NSC)」の最高経営責任者(CEO)であるデボラ・ハースマン氏は、こうした事故について「衝突や打撲のことを言っているのではない。肉離れや脱臼、骨折した人の話をしているのだ」と述べた。

チューバッカに気づくか

 スマホの登場で、私たちは複数の仕事を同時にこなせると思うようになった。ただ、今やスマホが私たちの働きに害を与えていることが証明されている。スマホを使うことで私たちの歩き方に変化が出てくる。スピードが落ちるか、道からそれてしまうのだ。

 今週、私は同僚に米国の映画「スター・ウォーズ」に登場する、毛むくじゃらのチューバッカの格好をしてもらい、朝のラッシュの時間帯にサンフランシスコをうろついてもらうよう頼んだ。そして、私はスマホをのぞき込んでいる歩行者に話しかけ、伝説的なチューバッカが歩いているのに気づいたか尋ねてみた。多くが気づいていなかった。

 米ウェスタンワシントン大学のアイラ・ハイマン・ジュニア教授(心理学)によると、これは「非注意性盲目」と呼ばれている。同氏は2008年に私と似たような実験を行い、歩行者に一輪車に乗った道化師に気づいたかを尋ねてみた。するとスマホをしていない人の半分がそれに気づいたと述べたが、歩きスマホをしている人ではたった4分の1だった。

 ハイマン氏は、「人々は気づいたとの印象を持っているが、どれほど見逃しているかについては分かっていない」と指摘した。

 強い意志を持つ人でさえ、騒々しいガジェットに影響されやすい。ガジェットは新しいことを見つけたり、社会に加わったりしたがる脳の欲求に応えるよう、完全に作り込まれているからだ。受信メールをどれほど長く無視できるか試してみるといい。

 カンザス大学のポール・アチリー教授(心理学)は、「これはFOMO、つまり取り残される不安のことだ」とし、スマホが「あなたの注意をハイジャックしようとしているのだ」と述べた。

テクノロジーはこれを解決できるか

 個人の自制心が大きな役割を果たすが、私は多くの人が歩道でスマホをしまって歩くとは思っていない。ただ、私たちは道路を横断するときにスマホを見るのをやめさせることが、左右を見るのと同じくらい重要だと、子どもたちに教える必要がある。

 それには都市計画の見直しが役立つかもしれない。一部の町や大学キャンパスには危険な階段の吹き抜けや交差点に「見上げろ」の標識が掲げてある。香港の地下鉄では、乗客向けに「スマホだけに目を集中させるな」とのアナウンスが流れる。ニューヨーク市では自動車の制限速度が引き下げられサンフランシスコでは交通量の多い道路を歩行者専用にする動きが進められているが、これらは歩きスマホに対応した措置でもある。

 昨年の秋、スウェーデンの首都ストックホルムでは自動車の運転手に歩きスマホへの注意を促す道路標識が掲げられた。

 こうした危険性の高まりに端末メーカー自身が対処する義務はどれくらいあるのか。自動車産業が良い比較になる。シートベルトを着用することで多くの人命が救われたが、エアバッグの搭載が義務付けられてからさらに多くの命が救われた。現在、大手自動車メーカーの大半は自動制御システムまで搭載するようになった。

 米アップルの「アップルウオッチ」、韓国サムスン電子の「ギャラクシー・ギア」などスマートウオッチは、素早くチェックできる小さな画面を使うことで、データ中毒者が常に下を向いて画面にくぎ付けになる必要性を回避させている。

 私が試している小さなワイアレス端末「ディット」は、スマホが重要な通知を受け取ると振動することで、取り残される不安を解消させるのを目指している。また、新興企業のリングリーは、指輪型スマート端末の色合いを微妙に変化させることで重要な通知を知らせる。

 問題の核心はスマホ本体だ。米ラトガース大学のエンジニア、シュブハム・ジャイン氏は、スマホを利用するユーザーが交差点に差し掛かると端末が終了するアプリを同僚と開発している。このアプリでは、ユーザーが交差点に入ると瞬間的にスマホにロックがかかり、目を上げろという警告が光る。

 私はスマホに内蔵された全地球測位システム(GPS)を活用し、どこが交差点かを判断するタイプのアプリを使ってみた。別のタイプでは靴に安価なセンサーを埋め込み、ユーザーが歩道を踏み外してしまうと2歩以内に端末を終了させる

呼び込み合戦の犠牲者

 さらに根本的な対策は、ユーザーの気を引こうとするが、それほど必要でないアプリの通知をやり過ごすのを手助けすることだ。

 カンザス大学のアチリー教授は「それは倫理の問題だと思う。誰かの気を引く能力を売り物にしていれば、その人にとって最高かもしれないことを差し置いてもそうするだろう」と述べた。

 サンフランシスコのガレージに戻ろう。フィオリさんによると、最近はいつも通る人を名前や職業ではなく、スマホ画面に表示されるイメージで認識することが多くなったという。

 フィオリさんは「スマホは生活を一段と楽にし、速くしてくれたが、一方で何かを奪い取ってしまった」と語った。

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いまに至るもスマホをもっていない貧乏英語塾長からすると理解に苦しむのが、「歩きスマホ」をする人たちです。そんなにスマホを見る必要やメールなどを歩きながら返信する必要がどこにあるのか、まったく理解できません。

どうして立ち止まって操作しないのでしょう。というか、どうしてスマホばかり見続けなければならないのでしょう。実世界を生きているように思えません。ドイツで歩きスマホ人を“smombie”と呼ばれるのも、よくわかります。

ともあれ、歩きスマホ人は自分だけではなく、他人にまで危害を加える可能性をもっていることを自覚し、できるだけ歩きながらのスマホ操作をやめるべきです。

 


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