◇全国のDV相談支援センター

 全国の配偶者暴力(DV)相談支援センターに寄せられる相談のうち、障害のある女性からの相談が、健常者の女性の8倍のペースで増加していることが分かった。「世話をしてもらっているのだから」と、家庭内で圧倒的に弱い立場に置かれやすい傾向があるという。

 内閣府男女共同参画局の調査結果についてDPI(障害者インターナショナル)女性障害者ネットワークが分析した。2016年度の健常者女性の相談は13年度と比べ4.7%増え9万7787件、一方、障害がある女性からの相談は37%増え6929件だった。

 毎日新聞が各地のDV相談窓口に取材したところ、長期にわたるDVでうつ病を発症したケースや、知的障害者が交際相手や配偶者から金銭的、性的に搾取される内容が目立った。被害者や加害者に発達障害が疑われ、コミュニケーションがうまくいかないことから暴力に発展するケースも増えている。支援につながるまでに時間がかかることも多く、警察ざたになったり病院にかかったりして初めて相談する人も多いという。

 また、相談後、DVから逃れるために車椅子の女性が保護を求めても保護施設がバリアフリーでないため断られたり、セキュリティーが整っていない福祉施設に入れられたりするケースもある。西日本の相談窓口の担当者は「DVを受けている人は判断力が落ち、自分で相談できない人も多い。周りの人が話を聞き、相談窓口を紹介して支援につなげてほしい。当事者は小さなことでも遠慮なく相談して」と訴える。

 障害者の人権問題に詳しい加納恵子・関西大教授(社会福祉学)は「ようやく声を上げる人が出てきたが、まだまだ潜在化しているはず。福祉現場が女性支援の視点やノウハウを持ち、DV相談窓口は聴覚障害者も使えるようにメール相談を設け、周知の徹底も図るべきだ」と指摘。「男女それぞれに抱える生きづらさにも目を向けた障害者施策を議論する必要がある」と訴える。【上東麻子】

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DVは、絶対に見逃してはいけません。被害に遭っている人は、すぐにその家を逃げ出し、相談に行ってください。シェルターでの暮らしや離婚手続きには不愉快なことがありますが、最小の被害で食い止めてください。

障害者の人たちが駆け込めるように、行政ももっとバリアフリーな対応をすべきです。