重さの単位「キログラム」の定義が約130年ぶりに見直されるのを前に、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は12日、日本国内の「1キログラム」の基準となっている合金製の分銅「日本国キログラム原器」を公開した。

 1キログラムは18世紀末、水1リットルの質量と定義された後、1889年に白金イリジウム合金製の分銅「国際キログラム原器」が基準とされた。日本の原器は同年、フランスで作られた複製の一つで、国が厳重に管理してきた。

 技術の進歩で、わずかな汚れの付着も誤差として無視できなくなっている。こうした中、16日の国際度量衡総会で、光が持つエネルギーの最小単位「プランク定数」を使った新定義への移行が決まる見通しとなった。

 移行実施は来年5月20日の予定。現行の原器は基準としての役割は終えるが、当面は精度の高い分銅として使われる。

 産総研で公開された原器は、高さ直径ともに39ミリの円筒形で、湿度、温度が一定に保たれた地下の保管室で管理。約130年前から使われている鉄製金庫内に収められていた。

 産総研は、プランク定数の精密な計測に成功し新定義の策定にも貢献した。原器を管理する倉本直樹・質量標準研究グループ長は「長年原器を保持してきただけでなく、新たな基準にも貢献できたのは誇りに思う」と話した。 

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130年間日本人の生活を支えてきたといっても過言ではない「日本国キログラム原器」です。公開され、それを見たとしても、「そんなものか」とおもう程度でしょうが、原器が果たした重みは1㎏をはるかに超えたものがあります。

役目を終えたあとは、ぜひとも国立科学博物館あたりに常設展示され、多くの見学者に愛される存在になってほしいものです。

それにしても、「原器」は「元気」と同じ響きで、うれしくなってしまいます。