昨日、歌舞伎座で芝居見物をしたあと(裏ブログのレビューを参照ください)、ソニービルで開かれている『4K歌舞伎』を見てきました。
公式サイト:http://www.sonybuilding.jp/event/4kkabuki/
驚くほど素晴らしい企画でした。歌舞伎ファンのみならず、AV(オーディオ・ヴィジュアル)ファンなら、一度は見ておくべきです。
エレベーターで8階に上がり、特設会場コミュニケーションゾーン OPUS(オーパス)に入ると、200インチのスクリーンが待ち受けています。そこで、11時から19時まで1時間に3回、17分ほどのネイティブ4K映像が流されているのです。
使われている素材は、次のふたつの演目の抜粋と主演した中村勘九郎丈と市川猿之助丈のインタビューを交えて構成したものです。
『義経千本桜』「渡海屋・大物浦」 出演:中村勘九郎 2013年2月 博多座
『義経千本桜』「川連法眼館の場」 出演:市川猿之助 2013年1月 大阪松竹座
福岡にも大阪にも行けませんでしたので、とても貴重な映像です。素直に楽しむことができました。特に、勘九郎丈の明晰な話しぶりは、見事。ズバッと物語の核心を語っていて、おおいに感心しました。
とはいえ、AVファンとしては、その絵と音のすばらしさに圧倒されしまったのでした。
シネアルタの4KカメラF65で撮影された4Kの映像データを、SRX-T110という業務用4Kプロジェクターを使って、スクリーンの裏側から200インチのビスタ・サイズ(たぶん1.78:1)のスクリーンに投影する方式。
デジタル臭さは、皆無。滑らかで艶やか。細部までくっきりとしていながら、輪郭が強調されることのない自然なテクスチュアです。ややぬめるような質感ですが、違和感を覚えるほどではありません。肌や着物の質感も、リアルそのもの。ネイティブ4K上映は、格別です。
5.1チャンネルの音を再生した音も聴きもの。おそらく、9.1チャンネル分のスピーカーを配置しているようで、サラウンド感は抜群。上演が始まる前の芝居小屋のざわめきや終了後の拍手、そして大向こうからのかけ声に包まれると、劇場にいる錯覚に包まれます。音密度も高く、包囲感も移動感も見事です。
ただし、スピーカーのエージングが足りないせいか、セリフのサ行がきつくなり、高音にメタリックな響きが乗ります。ソニービルの本丸でこんなヒステリックな音を出してはいかんだろうと思った次第です。エンジニアは、もっとがんばらないと。
というわけで、評価をすれば、次のとおりです。
画質 A+++
音質 A/A-
次に、4階に降りて家庭用4KプロジェクターVPL-VW1000ESを使ったネイティブ4K映像を見ることにしました。
ここでは、デジタル一眼カメラ"α"で撮影された4K写真を100インチのスクリーンに映しています。素材は、歌舞伎に関するものばかり。3分ほどの連続スライド上映です。4Kデータは、最新のPS3のハードディスクに収められていて、そこから1000ESに送り込まれています。
音は、ソニーの最高峰SACDプレーヤーSCD-DR1からこれまたソニーの旗艦ステレオ・アンプTA-DR1aを経由して、スピーカーSS-AR1に送り込まれた音楽がステレオ形式でBGMとして使われています。
この絵も見事。シャープでクリア。100インチの大きさを3メートルほど離れた場所で見ているのですが、まったく破綻していません。緻密で濃厚。お金さえあれば、すぐにもGump Theatreに導入したくなるものです。
惜しむらくは、ソニーのプロジェクターの癖なのですが、赤の再現性に疑問を覚えます。直前に歌舞伎座で本物の定式幕を見てきましたから断言できるのですが、定式幕の柿色はもっと茶色に近い暗くて渋い赤。それが華やかで明るい朱色になってしまっているのです。ソニーのエンジニアは、本物を一度見に行って、プロジェクターの色調を調整すべき。追い込めば、本物と差がつかなくなるはずですから。
評価は、こんな感じです。
画質 A+
音質 A
最後に、1階で見られる84インチの4KテレビKD-84X9000の映像も確認しました。これは、見事。赤の再現性も、ほとんど問題ありません。4階で見るより、リアルです。惚れ惚れします。
画質 A++
というわけで、大いに感激させられた4K歌舞伎。ソニーも、やりよります。関心ある方は、急ぎましょう。14日までのイベントです。
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