JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)

なんの役にも立たない事を只管シコシコと

妄執、異形の人々~その6・終了~

2006-09-30 | 映画(DVD)
妄執、異形の人々の特集を締めくくるのはまさに妄執、異形・・・
伝説のカルト邦画「恐怖奇形人間」

「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」1969年 東映 監督:石井輝男



噂に違わぬカルトっぷりの名作でありました。

江戸川乱歩の最高傑作(たいした数を読みもせず、このような言葉を使うのはおこがましいのですが、敢えて最高と言わせてもらいます。)「孤島の鬼」をモチーフにした映画。(映像化不可能と思われた作品)

江戸川乱歩全集と銘打たれた作品ですので、他に「パノラマ島綺譚」「人間椅子」「屋根裏の散歩者」などが使われています。乱歩ファンはもっと他にも見出せるのかしら。主に「孤島の鬼」と「パノラマ島綺譚」この2作品を巧妙に組み合わせたストーリーです。



突っ込み所は多いのですが、そのあまりのB級カルト振りに、そんな事は忘れて楽しむ事が出来ました。

サービス精神旺盛で不気味な話の中にユーモアもあり(何故か由利徹、大泉滉が登場して上田吉次郎とからむシーンは笑わしてもらえます)色っぽい描写もあり。

菰田源三郎に成りすました人見広介(共に吉田輝雄)が正体がバレるのではないかと肝を冷やす様が面白いです。
源三郎は美しく可愛い若妻千代子がありながら遠縁の娘、静子ともよろしくやっていたのだ。成りすました広介に「生き返ってからは冷たいじゃないの」と2人の美人から言い寄られちゃう。バレる事を恐れながらも美味しい思いをしてしまう。クッソー!

しかしなんと言っても父、丈五郎(土方巽)のキチガイぶりが最高。
孤島で振袖を着て乞食のような出たちで暗黒舞踏のポーズ(猛獣の吠え声)いやはや、それはそれはカッコいいという表現をしたくなるほど。

島では意外と奇形人間は登場しません。当時の技術では難しかったのか、あえて、奇形人間大集合にはしなかったのか。しかし、奇形人間の描写を暗黒舞踏を使う事によって充分怪しさを出しています。

ラスト、丈五郎とトキの夫婦愛みたいになって、おいおいそっちに行くのかい。と思っているとシャム双生児にされていて広介により切り離された秀子と広介(実は兄妹)の人間花火心中!
「おかーさーん!」
なんとも素晴らしい映画ではありませんか。

見れなかった方、予告編だけでもどうぞ。

この映画を見た方、または興味を持たれた方で「孤島の鬼」を読まれていない方がいらっしゃいましたら是非一読をお勧めします。
日本の犯罪史上最も猟奇的な事件(当然フィクションですが)を扱った、トリック、ミステリー、サスペンス、ホラー、アドベンチャー、ラブストーリーの最高のエンターテイメント小説ですよ。


「孤島の鬼」江戸川乱歩 春陽文庫

洞窟に入っていったので、あの脱出劇を見せるのかと思いましたが、さすがにそこまでは無理。欲張ってはいけません。

かく言う私も「パノラマ島綺譚」は読んでいません。早速、本屋に行って買って来ましたよ。

人気blogランキングへ 25作品中9作品も観てしまった。








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2 コメント

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人間花火 (現象)
2006-10-02 22:55:23
コメント&TB失礼します。

はじめましてかと思ったら、

以前に「夜よ、こんにちは」でTBをいただいておりました。

その節はありがとうございました。

まさしく噂に違わぬカルトでしたね。

あのラストシーンのすごさは何度か耳にしたことがあったのですが、

やっと見ることができました。

乱歩の小説は読んだことがあるようなないような、

どっちにしろ覚えていない体たらく。

これを機にぜひとも読みたいと思っています。
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現象様 (imapon)
2006-10-05 23:34:50
コメント&TB感謝です。

沢山映画化ドラマ化されているので知っている話が多いけど、意外と読んでないんですよね。古くささを古典として読める乱歩の耽美世界は流石ですね。

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