生駒のアラ還の独り言

医療業界のあることないことを独断と偏見で綴る

生駒市医師会が生駒市立病院の事業計画書を提出とは?

2010-07-11 17:15:17 | 日記

新聞報道によると、生駒市医師会が生駒市立病院の事業計画書を市に提出したようです。医師会のホームページにも掲載されていないので詳細は不明ですが、今までの言動や推進委員会の発言等で大方の推定は可能です。改めて医師会の欺瞞性を独断と偏見で暴いてみようと思います。

なお、新聞報道の概要は次の通りです。
「134床。緩和ケア病棟5床を含む。救急、小児等の不足分野に限定。指定管理者には、公的医療機関もしくは大学(医学部)などの言い医育機関、医師会を候補とする。

第1に、指定管理者候補の固有名詞が無いことです。市の計画がここまで煮詰まっている時期に、机上の空論や絵空事のような計画書を提出する感覚が全く理解できません。これでは市としても検討のしようがないのでしょう。

第2に、病院推進委員会という場で事業計画を個々具体的に議論を積み重ねていることを全く否定するということです。また、この推進委員会は議会で可決した条例に基づく市長の諮問機関です。議会を否定するということでもあります。民主主義のルール自体を否定することでもあります。

第3に、不足医療(=政策医療・赤字医療)に特化せよという主張は身勝手の極みだということです。
公立病院であろうが民間病院であろうが また開業医であろうが、そもそも医療業務自体が公益的であるとされている医療機関である以上、政策医療(*私はこの言葉が嫌いです。何を意味するのか理解できていません)を実施する使命を負わされているのです。民間だからとか一介の開業医だからといった理由で、そこから逃げるわけにはゆかないのです。

第4に、政策医療を公立病院だけに押し付ける医師会の主張こそが、今の地域医療崩壊させた元凶だということです。
民間病院や開業医は採算の良い部分を担当し、赤字部分は公立病院で担当せよというわけです。こうした「尻拭い」をさせられた公立病院の窮状が全国各地で発生しています。救急や小児・産科の勤務医が、余りにも過酷な勤務状況に耐え切れなくなって、公立病院から脱落してゆくのです。一人医長から始まって、診療科の閉鎖、さらには、病院自体の閉鎖にまで追い込まれていったのです。

第5に、「公立病院改革ガイドライン」への悪乗りです。
ガイドラインでは、「採算性の理由で民間が担えない政策医療を公立病院が担うこと」と言います。私は上記したようにこの主張には反対です。公も民も同じです。現に、公立病院以上に政策医療を行っている民間病院も多数あるからです。
志と経営能力の範疇の話でしょう。志が低く経営能力の低い理事長や院長は、公益性を持つ医療業界には不適だと言っておきます。

第6に、医師会計画書の採算性・市民負担の問題です。
従来の医師会の主張からすれば、この計画では毎年5~10億円の赤字垂れ流しということになると推察します。これを誰が負担するのでしょうか。医師会自らが負担するのですか?。負担するわけありません。結局市民が負担することになるのです。
上記ガイドラインでは、一方では公立病院の採算性の向上を主張します。赤字部門を担当しても採算は確保するように という主旨です。当たり前のことです。ではこの医師会計画書はそれにどう答えるというのでしょうか。

糾弾したいことはもっともっとありますが、書いているうちに何か空しい気持ちが募るばかりで疲れてきました。

生駒市民病院とは全く別次元の計画として、「医師会病院」なるものを自前で勝手に開設してはどうですか。市民の巨額な税負担を強いるまえに、自分たちで独自に市民のための病院を作ったら如何ですか。政策医療を実施する開業医の連携・集合体のようなものでも良いでしょう。
本当に市民のための病院を! というなら、それだけの覚悟が必要です。であるなら、私としても協力は惜しみません。

この医師会事業計画書は市民を欺くものであり、そこには一片の正義もありません。
特に今日は厳しく医師会批判をすることになりました。残念です。情けないです。