生駒のアラ還の独り言

医療業界のあることないことを独断と偏見で綴る

「医師数増加に関する日本医師会の見解」の疑問

2010-08-02 16:28:05 | 日記

7月14日付けの日本医師会の定例記者会見と資料(副題:医学部を新設すべきか)を読んでみました。医師数増加に反対の立場は従来のままです。呆れ返るだけです。疑問点を以下列挙しておきます。

1.医師数抑制政策はあたかも政府だけのせいだと主張するが、過当競争を嫌う医 師会が政府の医療費抑制政策に便乗もしくは悪乗りした結果です。
2.「医師偏在解消に向けた取組について情報収集し分析する」というが、今頃になって”何を今更”という感じ。ことここに至って具体策も何も出てこないわけで、医師偏在や医療崩壊は所詮他人事なのでしょう。
3.医師総数は足りている というが、現場での医師不足の悲鳴が上がっていることへの説明がありません。敢えて説明を避けているとしか思えません。総数での議論はルール違反です。不誠実です。
 肝心なことは、①救急、産科、小児科といった厳しい環境下の勤務医が不足して
いること②高齢医師や家庭に入った女性医師といった、半リタイアもしくは全面リタイアの医師も総数の内かなりの比率を占めていること③開業医と①の勤務医との極端な偏在があること です。
特に③です。勤務医と開業医の偏在を敢えて隠し、偏在に至った責任の一端は医師会にあることを認めず、その結果最も効果的かつ即効性のある偏在是正策が無視されることになっています。
医師会がやるべきことは、勤務医と開業医との偏在是正策を早急に打ち出すことです。やり方はいくらでもあるはずです。医師会自身が医療崩壊の現実に真正面から向き合うことです。上から目線で、敢えて悲惨な現実を見ようとせず、避けて通る姿勢は頂けません。
4.将来推計では2025年にはG7並の医師2.8人/国民1000人の水準に到達するので、医学部新設は不要だと主張するが、足下の医療崩壊再生の議論をしている火事場・修羅場なのに、15年先の話を持ち出す神経は理解しようがありません。”放っておいても いずれ火は消えるわ”と言う消防士ですか?。

ここ奈良県医師会でも同類の主張がなされています。
医師数は充足、救急・産科も充足、偏在は一部地域・一部診療科に限定、新臨床研修制度が悪い、全ては医療行政の責任で医師会は関係ない  等々の愚にもつかない主張が繰り返されています。日本医師会傘下の県医師会ですので当然の主張だと 変に納得しています。

以上を読まれて”開いた口が塞がらない”と感じた方は健全な精神の持ち主であることは確かですが、でもこんな程度でそう感じるのでは、医師会ウオッチャーとしてはまだまだ初心者です。
  

 


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