今日は、おとぎの国の医師を代表する方の反省と懺悔の生々しいお話です。興味のある方は、少々長いですが以下お読みください。
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おとぎの国には、我が医師会が聳え立っています。その医師会会員を代表して、ここに以下のとおり率直に過去の罪を認めますとともに国民の皆様に深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございませんでした。なお、個々の医師の問題とは別の 団体としての話ですので、誤解のないようにお願いいたします。
●我々医師会は開業医のための事業者団体で、自分の利益のために活動をしてきました。当然だと思い込んでいました。
●勤務医は「第二身分」にすぎないため、医師会内部においては権限や地位を極力押さえてきました。
●そのため、勤務医の厳しい労働環境や燃え尽き症候群、さらには「立ち去り形サボタージュ」等々については見て見ぬ振りをしてきましたのも当然の帰結でした。また当然のこととして具体的な勤務医支援活動も行いませんでした。
●会員加入率が7割程度で、且つ開業医と利害対立もある勤務医が会員の半数を占ている現状にもかかわらず、医師会は名実共に全国の医師を代表する団体であると嘘をついてきました。
●医師不足が叫ばれてから長い年月が経過しましたが、厚労省の医療費圧縮計画に悪乗りする形で、医師数増加の要請には反対してきました。地域性による医師の偏在が問題で、医師の絶対数は充足されている という間違った主張をしてきました。これも、新規参入による過当競争によって我々開業医の利益が侵害される恐れあり と考えた結果で、単純明快な正義だと誤解しておりました。
●医師会は自らの利益を守る任意加入の事業者団体であるにもかかわらず、「公益法人」とか「公共的法人」とかをアピールしてきましたが、本当は単に厚労省所管の社団法人であるだけです。実態とかけ離れた過剰なアピールは誤解を招くことになってしまいました。ある地方議員さんも誤解されているようで、御免なさい。関係者には、早めに謝っておいたほうが身のためですよ。
●医師会は弁護士会と同等の見識を持つ団体だと信じて疑わない国民が多いようですが、とんだ誤解をさせてしまいました。医師会は任意加入ですが、弁護士会は強制加入です。共に倫理規定を作成していますが、似て非なるものです。医師会のそれには最も大切な「自律性」や「自浄性」が欠落しています。自浄性が無いために、「他律」をむしろ願っています。要は、自分で自分を律せないから、外部で律してください ということです。我ながら情けない次第ですがこんな体たらくです。弁護士会と較べてもらっては困ります。弁護士会に対し失礼に当たります。
●独占禁止法上でも反省することばかりです。
「自由競争」「自由開業」と口では謳いますが、本音ではそんなことは決してありません。建前と本音の使い分けは医師会の良き伝統になっています。
●新規開業を計画している医師が医師会加入を申し込んできたら、「標榜科目は既存医院と競合しないか、開業場所は既存医院と近すぎないか、定休日は木曜日以外はダメ……」のアドバイスや暗黙の強制は当然行ないます。良かれとしてやっていることなので、疚しいことは一切ありません と強弁してきましたが、全国各地で公取の手を煩わせることになっており、申し訳ありません。
●おとぎの国の関西N件/I市で市民病院開設計画が頓挫していますが、我々の本音と建前の使い分けや公益的性格のアピールが功を奏した結果で、地元医師会は喜んでいるようです。患者を奪うような素晴らしい市立病院の開設を、阻止ないし延期させることを狙っているようです。参考人招致、医師会トピックスや「推進委員会」で建前論を恥じも外聞も無く述べているようです。それでこそ医師会の”面目躍如、あっぱれ”と褒めてやりたい。
この件は、本当は前項以上に独禁法違反の言動ですが、自らの利益擁護姿勢と厚顔無恥の者のなせることなので、いずれ化けの皮が剥がれるまで暖かく見守ってやってください。
●「医師会の開き直りが怖い」という地方行政組織が多いようです。我々としては、別に圧力を掛けているつもりはないのに、地方行政組織が勝手にそう思っているのでしょう。確かに、検診やインフル対応等を中心に、医師会無かりせば医療行政が成り立たなくなっています。つまり長年の努力の積み重ねで、地方医療行政の生殺与奪の権を医師会が取り込んでしまったのです。行政やましてや国民の気持ちなぞは興味ありません。反省しつつも、医師会とはたいしたもんだと我ながら感心しています。
●医師は、「名称独占」「業務独占」です。医師の資格を持たないものが、医師を名乗ることはできませんし、医療行為もできません。要は「特権的地位」を与えられているわけで、尊敬を込めて”先生”と呼んでもらえるのです。誇らしい限りです。医師会の役員を全うすれば、死ぬ前には勲章も保障されています。勲章を目指してこそ、働き甲斐があるというものです。
で、その医師の団体は、一般市民より格段上の見識が求められているのに、我々はその期待を裏切る言動を取ってきました。申し訳ない限りです。でも、勲章も欲しいな。すみません、勲章のための仕事はNGでした。
●医療関係施設の開設認可には、医師会の了解が必要とされた時期が過去にはありました。医師会の栄光の時代です。その栄光時代が未だに忘れられずに居丈高に振舞う地方医師会がありますが、時代錯誤としか言いようがありません。間違いは間違いとただしてやってください。何せ我々は自律性に欠陥があるので、他人から指摘されないと気がつきませんものですからよろしくお願いします。ただし、指摘されたからといって心から反省するとは限りませんので、その点についてもご配慮を賜りたいと思います。
以上、恥を忍んでおとぎの国にある我々の団体の実態をお話しました。その他にも糾弾される筋の話は多々あると思います。忌憚のないご意見を賜りたいと存じます。
舌足らずで、本音のところがお伝えできたかは些か不安ですが、何はともあれ先ずは謙虚な反省から始めなくてはなりません と建前みたいなことを述べました。
「見ざる、言わざる、聞かざる」の3ザルをスローガンにしてきた、我々医師会のことですから、皆様の心へ深く浸透するような話になるわけがありません。解っています。今まで我々が取ってきた言動を見れば、仕方のないことでしょう。
でもこれだけは言っておきたいし、これだけは信じてください。急性白血病で明日をも知れぬ状況になった私の遺言として聞いて頂けないでしょうか。
「公益法人制度改革」のなかで今のままの医師会は公益法人には絶対成れません。これを機に医師会組織は崩壊するでしょう。だって、自律・自浄の無い医師会の存続はありえません。その後に再編はあるでしょう。この機会を捉えて、医療を医師会の側から、市民の側に取り戻してください。絶好のそして最後のチャンスです。
今更私のような者が とは思いますが、恥を忍んで希望し伏してお願いする次第です。
「市民の、市民による、市民のための」医療を心から念願しつつ筆をおくことにいたします。
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…という おとぎの国のお話でした。
でも 地球上のどこかの国にもあったような気がします。勉強になりました。
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