室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

鳩の森・卒園式が終わって

2009-03-17 10:04:38 | Weblog
 鳩の森愛の詩保育園の卒園式が日曜日に行われました。

卒園児一人一人の歌を作って、みんなで歌ってお祝いする卒園式をする保育園です。

担任だけでなく、先生全員から給食の先生まで、職員全員で子供達一人一人を良く見ていて、10月から年末にかけて作詞をします。それを随時、何人かの作曲家に送られ、作曲が出来た歌から順に歌の練習が始まります。

今年は、伴奏もお引き受けして、歌もいつもの倍くらい作曲しました。指揮は、紹介されて知り合った中西義忠さん。若い指揮者ですが、音楽に要求している事がとても納得でき、「良い事を言っているなあ」とよく思いました。

練習回数が限られており、私が伴奏を録音したMDに、声楽家である中西さんのご両親がお手本の歌を歌って録音して下さり、それを焼いたCDをご父兄や職員の皆さんが一生懸命聴いて、覚えて歌うのです。


とにかく先生たちが、実に良く子供たちを見ている事が分かります。本当に分け隔てなく、全員に目が注がれ、愛情を込めた詩が創られています。詩が送られて来て、初めて読んだ瞬間から感動して涙が出てきてしまう事がよくあります。

ここ数年、先生たちの作詞が益々上手になっているのを感じます。『共育て、共育ち』をスローガンに、毎年たくさんある行事の内容が詩に盛り込まれるのですが、決して惰性で作られること無く、一人一人の個性が生き生きと表されています。

子供たちにとっては、一生の応援歌になります。あるお父さんに「オヤジ同士で、俺もこの保育園に入りたかった、自分も歌を作ってもらいたいって話するんですよ」と言われて、みんなそうだろうなあ、と思いました。


今年は、田辺親娘(お父様はジュニア・オケの指導者、お嬢さんは作曲家)と、2チームで曲を分けて指導&演奏をしました。写真は、”しーちゃん”がお立ち台で、自分の詩が書かれた卒園証書を受け取るシーンです。お着物の後ろ姿が園長先生”せぬママ”です。私が作曲を担当したお嬢ちゃんですが、田辺チームが演奏なさったので、写真を撮ることが出来ました。

跳び箱が跳べた喜びの時までの、先生たちの願いと本人の頑張りがテーマになった歌ですが、本人が大きくお口を開けて歌っている姿を見て、嬉しく思いました。どの歌も、卒園児だけでなく、3歳児、4歳児たちも、身体をゆすって歌っていました。


私が曲をつけた歌の中に、ダウン症のお嬢ちゃんの歌がありました。
「ちいさな赤ちゃんが 大好きなみかちゃん。そっと、ほっぺ寄せるみかちゃん。いつも、命のやさしさを 教えてくれるみかちゃんの笑顔です」
今夜になって、お風呂で思い出して口ずさんでいて、涙が出てきました。

本番中は、自分の任務を果たさなければならなかったので、涙を流すどころではなく、感動に浸ってはいられなかったんですね。

「何度もおしりをぶつけて、泣いていました。でも止めないのです。跳ぶのです。まだ不安が取れないでいる、そう思っていたある日、しーちゃんが跳べたよ・・」「楽しみな未来が、待っているんですもの」遅ればせながら、改めて、歌に感動してしまいました。

それにしても、それぞれの詩が、その詩にぴったりの曲調の作曲家に渡され、個性にぴったりの歌になったものだ、と感心します。素敵な歌ばかりでした。

しかし、来年も作曲をお頼まれしたら、せっかく覚えた歌を全部忘れなければなりません。似てしまわないように・・。


ところで、3月21日の朝、NHKの”おはよう日本”の中で、鳩の森が紹介されるそうです。何度かカメラが来て、練習のようすを撮影した日もあったし、卒園当日も3台くらいカメラが来ていました。

どんな風に放送されるか分かりません。子供達の日常を撮影に来た時に「ここの子供はケンカをしませんね。ケンカのシーンを待っていたのですが」、別の日に「やっとケンカの絵が撮れました」と言っていたそうです。ヤラセとは言わないけれど、創られたストーリーにはめ込まれるような作られ方だとしたら、ちょっとねえー・・。

10分程度だそうなので、あっと言う間でしょうね。10分で、鳩の感動と凄さが伝わるかなー。