室内楽の愉しみ

ピアニストで作曲・編曲家の中山育美の音楽活動&ジャンルを超えた音楽フォーラム

フードフェア

2008-05-07 00:26:51 | Weblog
旅行記はちょっとお休みして、横浜インターナショナル・スクールのフードフェアの事を書こうと思う。

元々、横浜の最も横浜らしい場所の”港の見える丘公園”
今でこそ、こういう類の名前の付け方はしょっちゅう見かけるけれど、詩的な命名としては先駆的な場所だ。みなとみらい地区が出来てからも、観光客は絶えない。久しぶりで行ったら、市営地下鉄の元町・中華街駅ができて、以前より便利になっていた。

その隣のイギリス館の向かいに横浜インターナショナル・スクールがある。”フードフェア、誰でも歓迎”と壁に掲げられている。入るのは初めてだ。「ボクと加藤人以外、全員外人だよ」というジャズ・ギターの阿部寛さんからの連絡を受けて、どんな感じか見てみたいと思って行ったのだ。
建物の階段を下りて向こう側が校庭になっている。子供、大人、色んな国籍の人がいっぱいいる。校庭の左右にテントが連なり、アメリカ、オランダ、ブラジル、インド、メキシコ、韓国などのドリンク、お料理、スイーツ、オモチャなど色々売っていて、人気のあるテントは行列が出来ている。その校庭の一番奥にテント付きステージがあり、デキシーをやっていた。

トランペットのマイク・プライスさんはもう日本に長いようだが、かつてはスタン・ケントン楽団で1番を吹いていた、と経歴にあるので、あの超ハイトーン(3点イ!)を出していたのだろうか クラリネットのピーターさんは横須賀の方の大学の先生だそうだ。ドラムはこの学校の先生。トロンボーンの方はお話しなかったので分からない。そこに、阿部さんはバンジョー、加藤人さんはチューバで参加している。

とにかく、デキシーの愉しさを身体で知っている人たちによる、軽やかでスマートなデキシーミュージックだった。これ見よがしの衒いは無く、でも節度が有る。ステージでの時間が終わると、ドラムは除いて、移動できる楽器の面々は演奏しながら退場する。その次の本番は、校内のあちこちのコーナーで移動しながらの演奏。写真はその中のひとつ。建物を挟んで校庭とは反対側のジャパニーズ・フード・コーナー横のステージ。通行人が横切ったりもするのだが、必ず演奏に惹かれて立ち止まり拍手をする人がいる。演奏する側も、演奏がある環境を作る側も、もちろん聴く側も、皆がマナーを弁えている。これが”文化”だな~、と思った。こういう催しを通して、この”文化”は次の世代に伝えられるのだろう・・と思うと、このデキシー・バンドがなんだかアカデミックなバンドのように見えてきた。

校舎内もかなり開放していて、子供向けのオモチャ、布製品、小物を売るコーナー、あと、どの本も10円で売っているコーナーもあり、カール・セイガンの最後の本を10円で買った。学園祭のような感じが懐かしかった。ゴミを分別して、捨てると言うより片づけるコーナーが至るところにあり、大勢の人でごった返している割りには汚くない。マナーが良いのだろう。「ワタガシあります」と看板を持って子供達を勧誘して回っているのもここの先生らしい。裏庭ではつい立ての穴から顔を出したお兄さんの顔に、水をいっぱい含んだスポンジを投げつける事ができる回数券を持った子供たちが行列を作っていた。ぶつけられる方も高校生くらいだから、楽しそうにぶつけられている。とても健全な”大騒ぎ”だ。

ミュージシャンが控え室に使っていた音楽室は、ラジオ放送局のスタジオのようなブースと、グランドピアノと沢山のエレピが置かれている部屋とで出来ていた。インターヴァル中に、マイクさん達に紹介され、阿部さんが「何か弾いてみせたら?」というので、バンブルビー・ラグとタンゴを一寸だけ披露したら、「この後、参加しませんか?」とマイクさんに言われ、中央テントのステージへ付いて行った。ヘビメタ・バンドが終わり、プレゼントくじを買った人の当選者発表でドラムロールとファンファーレをデキシーバンドが受け持った。それにエレピで参加し、続いてデキシーの曲が始まった。何曲か曲目を選んであったのだが、時間が押していてじきにデキシーバンドは退場となり、ドラムとエレピ以外の楽器が移動を始めた。「やると言ってたのにゴメンね」とメンバーに言われ、私もあとを追って退場した。もう一寸やりたかったけど「一緒に」と声をかけて頂いただけでも嬉しかった。

長年、横浜市民でいるけれど、全然知らなかったインターナショナル・スクール。帰宅してホームページを見たら、高校生の学費、年間で二百二十万円