いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
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スーパーヒーロー

2016-06-21 23:39:44 | 日記
大塚ゴールドに行くと、ラウンジにはいつもの笑顔が待っていた。

「今日も一緒に頑張りましょう」

彼の笑顔が好きだった。「好き」と言っても恋愛のそれではない。自分は決してノンケを恋愛対象にはしない。

「はい」

素直に返事をしている自分に驚く。実は彼の為にこの曜日だけ大塚ゴールドジムに通っていたのだ。ファンだとか追っかけではない。ただ約束を守りたかっただけだ。

オレは彼が大学生の頃から知っている。ジムで会った時に就職は?と聞いたら、「トレーナーになりたいです」と笑って答えてくれた。「じゃあ、オレがお客さんになってあげるよ」こんな他愛もない約束が2人の人生を変えた

1番目の客はオレだった。トレーナーと客。彼はオレの先生になった。社会人になった彼の顔に以前のあどけなさはもうない。「先生」と一緒にトレーニングすることが自分の人生において、いつしか大きな心の支えとなっていった。

「好きな人が出来ました」

彼女ができたと報告を受けた。いつか直接紹介すると言われたが、オレの知っている人の様でもあった。

「おめでとう」

彼とオレが初めて出会って、彼はトレーナーになって、そんな彼に彼女ができて、その間に5年の月日が流れていた。次に報告を受けた時は「今度結婚します」だった。

「そのTシャツ、自衛隊っぽくてカッコいいですね」

「航空自衛隊のTシャツだよ。」

「え、何でそんなTシャツ持ってるんですか?」

「さあね。」

彼がこの世を去ったのは、それからすぐだった。悲しいとか、そういった感情は湧かなかった。当たり前にいつも会っていた彼ともう会えないんだ、という気持ちと、もうオレは大塚には来ないかもしれないな、とだけうっすらと思っていた。

「あの、これからもずっと通って頂けますか?」

心配してくれた社員に声を掛けられた。退会はしないが他店に通うつもりでいた。大塚ゴールドは思い出が多過ぎて、あまりにもつらかったのだ。でも不思議とこう答えていた。

「分かりました。」、と。

彼と出会えて、本当にいい人生だったと思う。






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