いい女よりもいい男の数は少ない

男の恋愛ブログです。
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アンインストール

2020-03-20 15:13:52 | 日記
その男は日常のツールとして出会い系アプリを利用していた。出会いに依存していた訳ではなかったが、誰かと出会いたいという願望があり、どこに出向く必要もなく見知らぬ男性と出会えることは大切なことのように思えた。

ただ、出会ってはみても手元に残っていく人の数は極端に少なく、正直出会う意味もあまりないのかなと思うことも多くなっていった。とは言ってもゲイのイベントや飲み屋に行く気にはならないし、他のSNS、特にTwitterで出会うのも気が重かった。効率が悪くてもやはり誰かのホームパーティや海、バーベキューなどに参加して出会う方が結果としては良いとは分かってはいたが、大学生の時ならまだしも「今さら」と思ってしまう。二の足を踏んでいるというよりかは、出会いたいと思っている割にどこかどうでもいいと思っていたのかもしれない。

出会いと恋愛は違うものだと知った。出会いがあって恋愛がある、というような認識でいたので、まずは出会いが欲しいというようにセットで考えていたのだ。しかし違う。恋愛に繋がった出会いというのは、振り返ってみると、恋愛を意識していなかった出会いだった。誰かの友人で、とか、ジムで知り合って、とか、あくまで恋愛とは関係のない知り合い方をして、いつしか好きになったのだ。恋愛の入り口として出会っている限り恋愛は遠いのだろう。

その男はスマホゲームをインストールする際に容量オーバーの表示が出て、アプリ一覧を開いてみた。こういう時に、たまに行くファストフード店のアプリとかは消すのに迷う。そんな事を考えながら、出会い系アプリのアイコンが目に入り指が止まった。長年利用してきたアプリだった。立場を超えて見知らぬ男性達とメッセージのやり取りをしてきたものだった。ここ最近では利用頻度も下がっていって、正直こんなもので良質の出会いなどないのではとさえ感じてきていた。でもこのアプリがなかったら、出会っていなかった人が大勢いる。彼らとの縁が切れる訳ではないが、このアプリをアンインストールする事は、この先の出会いを削除するということだ。ちょっと寄ったカフェで何となくアプリを開いてみる、そういった暇つぶしがもうできなくなるという事でもある。

出会いはどこにでもあると思う。自分がゲイだから制限があるような気がしていただけで、Instagramでもジムでも友人からの紹介でも、割と出会えるはずなのだ。それをアプリに頼ってきたのは、「あなたも出会いたいんでしょ?」という甘えだったのかもしれない。

一瞬迷ったが、その男は見慣れたアプリをアンインストールした。

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