白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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蟻の一穴

2018年07月12日 23時40分41秒 | 日本棋院情報会員のススメ
皆様こんばんは。
最近休みが多くなっていますね。
このままでは「ほぼ毎日更新」と言えなくなりそう・・・。
軽く更新できるネタのストックも作っておきたいところです。

ところで、先日マイナビ出版に行ってインタビューを受けてきました。
こちらの記事にまとめて頂いています。
内容は著書関係はもちろん、AIの活用法など、多岐に渡ります。
ぜひご覧ください。

さて、本日は日本棋院棋士の公式対局日でした。
日本棋院ネット対局幽玄の間でも多くの対局が中継されています。
本日は面白い対局が多かった印象です。
日本棋院若手棋士アカウントでは、小池芳弘三段が色々と紹介していましたね。
その中から1つをご紹介しましょう。
広瀬優一二段(黒)と王銘エン九段の対局です。



1図(テーマ図)
王九段は独特の棋風で知らせていますが、広瀬二段も違うベクトルで独特です。
ここまでの展開は、プロである私が観戦していても驚きの連続でした。

さて、問題は白△と打った場面です。
現状、中央の黒が宙に浮いていることや、左辺の白の構えが手薄であることは比較的見やすいですね。
ですが、それだけでは現状認識としては不十分です。
黒はどこに目を付けたでしょうか?





2図(実戦)
実戦は黒△の割り込みでした!
白の集団はなんとなくつながっているようにも見えますが、僅かな欠陥がありました。
蟻の一穴という言葉がありますが、ここはまさにそんな場所でした。





3図(実戦)
白×は中央の黒を切り離している要石なので、捨てることができません。
ですから白1、3の対応は必然ですが、黒4の切りが後続手段です。





4図(実戦)
その後、黒△まで進んだ場面です。
白×が切り離され、眼形にも乏しい姿です。
そして、白が苦しむ間に黒は着々と右下方面を拡大しています。
白は踏んだり蹴ったりですね。

蟻の一穴が大変な結果を生みました。
プロの対局でもこんなことがあります。
皆様もぜひお気を付けください。
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