白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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ポン抜き30目

2016年05月27日 23時59分59秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は指導碁が題材です。



7子局で、黒が仕掛けていった場面です。
白1のツケに黒2の割り込みは少し無理で、1路下のノビが正解でした。





黒はこのような予定で割り込みましたが、勝手読みでした。





この局面では白1と切る手が成立します。
黒2に対して白3なら黒4とシチョウに取れるので問題ありませんが・・・





白3と取っていく手が成立します。
先手で黒4と切れるのですが、黒Aとシチョウに取る事ができません。
前の図と合わせて2つのシチョウを読まなければならないのがこの形の注意点です。
ということで少し失敗しましたが、置碁なので黒8と引いてなんとか戦えます。
ところが実戦は・・・





黒2と当ててポン抜きを許してしまいました。
黒6となって黒地を10目ぐらい増やして満足?
それは大きな錯覚です。
格言にあるように、「ポン抜き30目」です。
こういう厚みがどれほど威力を発揮するかは、先の本因坊戦第2局でご覧になったかと思います。
この指導碁の続きも見てみましょう。





白1と天元の石を攻められ、黒4などと逃げている間に右辺がガタガタになってしまいました。





黒1とさらに守った所で、白は返す刀で右上へ向かいました。
白10まで、こちらの黒も寄り付かれています。


皆様、ポン抜きの威力はご理解いただけましたか?
くれぐれもお気を付けください。