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白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

封じ手予想&本日の対局

2017年06月08日 23時59分59秒 | 対局
皆様こんばんは。
本日、第72期本因坊戦第3局の1日目が行われました。
本因坊文裕が積極的に動けば、本木克弥挑戦者も最強手で対応!
1日目から物凄い戦いが繰り広げられましたね。
封じ手予想は14-7伸びです。
深く考えても分かりそうにないので、全くの勘です。
明日の戦いが楽しみですね。

また、本日は私も対局していました。
棋聖戦Cリーグの2局目、相手は関西棋院の髙嶋湧吾二段です。
対局の序盤を振り返ってみましょう。



1図(実戦)
私の黒番で、白△とカカられた場面です。
以前の私なら、まず黒Aと挟むことを考えました。
ただ、つい最近の記事を思い出したので・・・。





2図(実戦)
黒5までの打ち方を試してみました。
この後白Aを想定していましたが・・・。





3図(実戦)
Aの穴ぼこを空ける白1にはビックリ!
これもAlphaGoが打った手であり、知ってはいたのです。
しかし、すっかり忘れていました。





4図(実戦)
普通の人間的に(?)対応して、黒9までとなりました(黒5は✖の所)。
隅で小さく生きた白と外側に勢力を築いた黒を比べれば、どう見ても黒が良さそうです。
しかし、白△が丁度良い所を割っており、下辺に黒模様が作れません。
また、黒9と抱えられた白石の逃げ出しを狙い、白10のシチョウ当たりが打てます。
黒11と逃げ出しを防ぐしかありませんが、白12と連打することができました。

この一連の折衝の結果を一言で言えば、黒は姿勢が良く白は配置が良いということになります。
総合すれば互角でしょうか?

さて、白12の両ガカリされた場面ですが、様々な選択肢があります。
黒Aのコスミは最もシンプルですし、黒Bからのツケ伸びもあります。
また、最近時々試みられる黒Cなどという手もありそうです。





5図(実戦)
しかし、私は黒1、3のツケ押さえを選びました。
白4と当てられ、黒5とつなぐ形は陣笠の愚形です。
私はこのような打ち方は嫌いですし、この局面での最善手とも思いませんでした。

この打ち方の意味は、単純に言えば隅の黒を確実に治まろうということです。
先の進行を想定しやすく、私の棋風や能力からすれば最も勝ちやすいかと思いました。

プロ同士の公式戦は、生活のかかった対局です。
打ちたくない手であっても、勝つためには打たなければならないことは多々あります。
棋士によって違うでしょうが、私は公式戦が楽しいと思ったことは一度もありません。
アマの皆さんには、楽しんで対局して頂きたいですね。

この後は多くのポカが出る酷い内容でしたが、結果的には大きな失点にならなかったものも多かったようです。
勘違いで石を取られたものの、後から思えば良い捨て石になっていたという場面も・・・。
結局、私は全然碁が分かっていないということですね。