皆様こんばんは。
本日は国手山脈杯、ペア戦の決勝が行われました。
日本ペアは惜しくも半目負けで優勝を逃しました。
それでは対局の模様を振り返っていきましょう。

黒番は韓国の李昌鎬・吳侑珍ペア、白番は日本の依田紀基・謝依旻ペアです。
着手はおそらく吳→謝→李→依田の順番でしょう。
黒1と下辺に展開し、白2には黒Aと戻っておけば無難です。
黒3も一つの行き方で、△の石を治まろうという意図です。

黒1の二段バネが手筋で、黒5まで治まり形です。
この後白Aと挟む事になるでしょう。
しかしこの白Aを嫌ったのか・・・

李昌鎬九段、ここでなんと黒1!
通常、ペア戦では味方が打った手の顔を立てるものです。
白2と打たれては黒△が悪手になり、これはいけません。
対局後味方に怒られます
後々黒Aと動き出す若干の狙いがあるので、悪いことばかりと言うわけではありませんが・・・
もし作戦通りだったらごめんなさい(笑)

それはさておき、白が右辺に侵入した場面です。
ここで黒は△に3手もかけているのに注目しましょう。
黒Aのようなのんびりした攻めでは投資を回収できない恐れがあります。

そこで黒1と置く強硬策!
白に1眼も作らせない攻め方です。

黒の猛攻が続いています。
ここで白1とノゾいたのが面白い手でした。

安全第一とばかりに白1と繋がろうとするのは、黒2から切られてばらばらです。
3子はとても逃げられませんし、下辺の白も脱出するのに苦労するでしょう。
また白1で2と繋がれば黒1に打たれ、右下白が取られます。

そこでノゾキを打ち、もし黒2と利いてくれたら白3が成立します。
一応白は2つに切られますが、黒もダメが詰まった形なので白戦えます。
この図から白1と黒2の交換を外してみると、ノゾキの効果をご理解頂けるでしょう。

黒も白の言いなりにはなりたくないので、黒1と反発して白△を切り離していきました。
しかし白6となり、白は2つあった傷を両方守る事が出来ました。
この程度では満足出来ない黒は、黒7の手筋でさらに攻めかかります。
白はどう対応する所でしょうか?

安全第一で白1と繋ぐのは、内に籠った手でいけません。
黒6まで、白は鈍重な歩みです。
黒Aも先手なので、白は生きる事にすら苦労するでしょう。

そこで実戦は白1とノビ出して行きました。
黒6と押されて2子を動くのは大変そうですが、これは囮です。
周辺に利き筋を作っておいて、白11のサバキの手筋に繋げました。

黒1と出て来るのに合わせて白12まで足早に進出しました。
さらに黒は13が必要なので、白14となって完全に繋がりました。

前図を再掲します。
白△は全て囮で、黒を足止めしている間に本体の白を安全圏に逃がす事が出来ました。
この流れ、どこかで見たと思いませんか?
実は昨日ご紹介した碁の下辺白のサバキと同じなのです。
大石を延々逃げ回るより、少々の犠牲を払っても早く安全圏に脱出させるという考え方です。
プロらしい高度なサバキでした。
本日は国手山脈杯、ペア戦の決勝が行われました。
日本ペアは惜しくも半目負けで優勝を逃しました。
それでは対局の模様を振り返っていきましょう。

黒番は韓国の李昌鎬・吳侑珍ペア、白番は日本の依田紀基・謝依旻ペアです。
着手はおそらく吳→謝→李→依田の順番でしょう。
黒1と下辺に展開し、白2には黒Aと戻っておけば無難です。
黒3も一つの行き方で、△の石を治まろうという意図です。

黒1の二段バネが手筋で、黒5まで治まり形です。
この後白Aと挟む事になるでしょう。
しかしこの白Aを嫌ったのか・・・

李昌鎬九段、ここでなんと黒1!
通常、ペア戦では味方が打った手の顔を立てるものです。
白2と打たれては黒△が悪手になり、これはいけません。
対局後味方に怒られます

後々黒Aと動き出す若干の狙いがあるので、悪いことばかりと言うわけではありませんが・・・
もし作戦通りだったらごめんなさい(笑)

それはさておき、白が右辺に侵入した場面です。
ここで黒は△に3手もかけているのに注目しましょう。
黒Aのようなのんびりした攻めでは投資を回収できない恐れがあります。

そこで黒1と置く強硬策!
白に1眼も作らせない攻め方です。

黒の猛攻が続いています。
ここで白1とノゾいたのが面白い手でした。

安全第一とばかりに白1と繋がろうとするのは、黒2から切られてばらばらです。
3子はとても逃げられませんし、下辺の白も脱出するのに苦労するでしょう。
また白1で2と繋がれば黒1に打たれ、右下白が取られます。

そこでノゾキを打ち、もし黒2と利いてくれたら白3が成立します。
一応白は2つに切られますが、黒もダメが詰まった形なので白戦えます。
この図から白1と黒2の交換を外してみると、ノゾキの効果をご理解頂けるでしょう。

黒も白の言いなりにはなりたくないので、黒1と反発して白△を切り離していきました。
しかし白6となり、白は2つあった傷を両方守る事が出来ました。
この程度では満足出来ない黒は、黒7の手筋でさらに攻めかかります。
白はどう対応する所でしょうか?

安全第一で白1と繋ぐのは、内に籠った手でいけません。
黒6まで、白は鈍重な歩みです。
黒Aも先手なので、白は生きる事にすら苦労するでしょう。

そこで実戦は白1とノビ出して行きました。
黒6と押されて2子を動くのは大変そうですが、これは囮です。
周辺に利き筋を作っておいて、白11のサバキの手筋に繋げました。

黒1と出て来るのに合わせて白12まで足早に進出しました。
さらに黒は13が必要なので、白14となって完全に繋がりました。

前図を再掲します。
白△は全て囮で、黒を足止めしている間に本体の白を安全圏に逃がす事が出来ました。
この流れ、どこかで見たと思いませんか?
実は昨日ご紹介した碁の下辺白のサバキと同じなのです。
大石を延々逃げ回るより、少々の犠牲を払っても早く安全圏に脱出させるという考え方です。
プロらしい高度なサバキでした。