白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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天元の生かし方

2016年08月21日 17時18分10秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんにちは。
本日は5子局を題材にします。
テーマは天元の生かし方です。
9子局、7子局では最初から天元の近くに置石があり、意識しなくても連携させられる事が多いですね。
しかし5子局ではポツンと中央に1つ置いてあるだけです。
意識して打たないとあまり働かなかったり、酷い時には白に飲み込まれてしまったりします。
ではどう働かせるか、実戦を題材に学んで行きましょう。



黒番です。
天元の石を生かすにはどうすれば良いでしょうか?





実戦は黒1でした。
天元の石となんとなく繋がった手ですが、上辺の白が強いだけに守りの意味しかありません。
白2と左辺を動かれて・・・





こんな進行になりました。
黒1からの進行で悪い手があった事もありますが、結果として白はすっかり強くなって10の大場に先行してしまいました。
天元の石もいかにも中途半端な位置にありますね。





天元の石は戦いになった時に活躍します。
黒1から白を攻めるチャンスです。
白2には黒3と、天元の石を生かして白の出口を塞いでしまいましょう。





白1には迷わず黒2で包囲網を完成させます。
白7まで逃げている間に黒8など下辺を守り、巨大な黒地が出来そうです。
天元の石のもう一つの活用法として模様の拡大があり、今後も働いて来るでしょう。





黒1のボウシ、これも攻めの手で正解です。
黒5は大事な手で、天元や左上の黒一団を弱くしないように攻めます。





一例として黒10まで、白を攻めている間に自然に大きな地が出来ました。





前図白9では隅に入って来るかもしれません。
それなら小さく生きて貰って中央黒10に回りましょう。
絶好の封鎖で、白は11などと生きを図るしかありません。
黒12に回り、今度は違う所に黒模様が出現しました。
やはり天元の石が役立っています。


5子局が苦手な方は多いですが、実は戦い方を学ぶチャンスです。
ぜひ天元の石を活用して積極的に戦って頂きたいですね。