白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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名人戦第1局感想

2016年08月31日 22時15分18秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は名人戦第1局の2日目が行われました。
早速振り返っていきましょう。



高尾挑戦者の封じ手は2間開き、やはり外れました
左辺黒にゆとりを持たせる、常識的な一手です。





しかし白1が白Aを狙っているので手抜きで黒2と守り、白3と連打して黒を攻める事になりました。
このあたりは両者予定通りの進行でしょう。





白1、3と迫って黒危なそうにも見えますが、黒4から白の薄みを衝く事で凌ぎを目指しました。





白は半分逃がしましたがもう半分を取りに行っています。
しかし黒は・・・





黒1から隙の無い手順で生きました。
さほど苛められた訳ではないので、左下を頑張っておいた黒が優勢になったと思われました。
ですがもちろん簡単に勝たせてくれる井山名人ではありません。





かねてより狙いの置きで、黒の眼を奪っていきました!
中央の厚みを前提にした強攻です。





黒11までの進行は想定内でしょう。
白6と切れましたが、もちろんこれで地を増やして勝とうという事ではありません。





白1と上下を分断!
これが白の本当の狙いでした。
どちらかの黒を取ってしまおうというのです。
井山名人、ついに牙を剥きました。





その後黒1で上の黒は生きました。
後は下の黒がどうなるかの勝負です。
白2と眼を取って決戦!





黒1にも、自身の傷も顧みず白2から眼取り!
こういうなりふり構わぬ取りかけは、プロの碁ではなかなか見られません。
両者必死の読み合いになりました。





際どい勝負でしたが、結果は高尾挑戦者が読み勝ったようです。
大石を無事に生きては勝負が決まりました。





本局は井山名人の白1、3が印象的でした。
勝ちには結び付きませんでしたが、この手によって碁は面白くなりました。
観戦者としてはこういう独創的な手が見られるのは嬉しいですね。

第2局は9月14日(水)、15日(木)に愛知県田原市「和味の宿 角上楼」で行われます。
幽玄の間ニコニコ生放送で中継されるので、ぜひご覧ください。
次も名勝負を期待しましょう!