アイデアリズム idealism daydream

不起訴処分など許さない

前回から

 2010年04月23日「福知山線脱線事故でJR西歴代3社長を強制起訴」のニュースに釘付けになりました。検察審議会の再三にわたる審議の結果、ようやく民意が反映される形で起訴になったのです。

・たくさんの人が亡くなったり、傷ついたり・・・けれど"単純に事故"だからという理由で経営陣に責任を問えないなんて、そんな勝手な話があるものか!
・法の下では皆平等であるはず
・被害者と共に泣く検察であるべき

 私はそう信じていますし、そうあって欲しいと思っています。強制起訴は非常に残念な形ではありますが、やっと実現されて(スタートラインに立てて)良かったと思います。
 もちろん、こういう悲劇があってはならないのは言うまでもありません。

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2006年02月13日(年数は違うかもしれない・・・昔の事なので)



 この日、私は検察庁に行きました。

 多分ほとんどの方が検察庁と縁の無い穏やかな暮らしをされていると思いますので少し補足をさせていただきますと、

・「犯罪が起きた」>「被疑者(容疑者)を捕まえる」までが警察のお仕事
・そこから先の「被疑者を裁判にかける(刑事事件として公訴する)」のが検察官のお仕事

 です。どうして2つに分かれているのかと申しますと、一言で「一人で全部しようとすると大変だから」です。捕まえるのも一苦労な上に今度は法廷で争うなんて体がいくつあっても足りませんから。

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 さて、検察庁に着いた私。やる事はただ一つ「被害者相談」なのです。
 ただ普段着で行ったためか、警官の人に早くも「何しに来たの」的な感じで半ば"不審者"の如くジロジロ見られる始末。

・冠婚葬祭じゃあるまいし、イチイチ正装なんてできるか!
検察庁のパンフレットには一言も「正装で来い」なんて書いてないぞ

 そんな無言の対決姿勢に入りつつ、案内所で手続きを済ませるのであります。よくよく周りを見渡すと警官やら検察官、弁護士の方々しかいないので見た目からまず「浮いてる」っちゃ浮いてるけれどねぇ・・・。

それにしても暗いなぁ・・・

 南向きの建物で天気の良い日だったにもかかわらず、何故か入り口や待ち合い場所、廊下が異常に暗く殺風景と言うか重苦しい雰囲気なのです。照明も必要最低限で部屋の番号も近づいて見ないと分からないくらいです。例えるなら「神社やお寺」に近い感じでしょうね・・・と。

 程なくして検察官がやってきました(のちに彼は私の刑事事件を担当する事になるンですが)。被害者相談室へ通されると、

・うおっ、まぶしい・・・
・どっかの社長室みたいな豪華な調度品の数々(観葉植物まであった)

 この建物はどうやら北側に廊下があって、南側にそれぞれの部屋がある構造みたいです。それにしてもこの落差は一体なんなんだろう・・・。
 ただ、一つだけ普通の部屋と違うところは「入り口近くに書記官みたいな人がいて私達の会話を"調書"みたいな感じで書いている」点であります。

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「どうされましたか?」
「あの実は・・・(今までの経緯を話す)」

「そうですか・・・それならば民事訴訟(被告にお金支払わせ解決する)で十分でしょう。(民事訴訟で)上手くいかないからって刑事訴訟(被告に罰を与え解決する)を起こすと言うのはムシが良過ぎやしませんか?」
「あなたは何を言っているのですか? 民事と刑事は両立すると弁護士さんから聞きましたがそれはウソなのですか?」
「確かに両立はします。しかし、あなたは強制執行(差し押さえ)も出来るのでそれで十分じゃないかと。それに労働基準法違反ぐらいなら・・・」

「あなたはご自分で強制執行をした事があるのですか? あれほど不平等なものは無いのですよ。それに労働基準法違反"ぐらい"っておっしゃいましたよね。労働基準法違反は罪では無いのですか?」
「もちろん罪ですが、微罪なので不起訴処分(はなから裁判をしない)になると思います」

「不起訴処分って事は罪を罪じゃないと判断するわけですよね」
「そう言う事ではないのですが」
「私は本当は"詐欺罪"として告訴したかった。でもそれには証拠が足りないから泣く泣く労働基準法違反を取ったのです。その意味がお分かりでしょうか?」
「・・・」

「もし、私の告訴をあなた達が不起訴処分とするのであれば、そうすれば良いと思います。
 しかし法律のプロであるあなた達が"法律できちんと定められた労働基準法"を反故にするのであれば、私もあなた達を見習い、もうこれ以上法律には従いません。自分自身の手でケリをつけるまでです

「・・・そんなくだらない経営者の為に・・・ワザワザあなたはご自身の手を汚すのですか?」
「何をするのかは想像にお任せします。今あなたから聞いた話では"国は面倒くさいと言う理由で被害者を守ろうとしない"ということがよく分かりました。それでは失礼します」

 と、言い放ち検察庁を後にしたのでありました。

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 まぁ、文章にするとかなり穏やかなのですが、実際のところ今思い返すとその時私はものすごい剣幕でした。その甲斐もあってか前述の通り「ちゃんと起訴され、経営者も罰せられた」のです。

・訴訟(裁判)というのは途方もない労力や気力がいる
・判決まで長く苦しい日々を過ごさねばならない
・現実的には分厚い法律の制約に阻まれて、出来ない事だらけ
・訴訟で勝った負けたはなく「和解(妥協点を見いだす)」が望ましい

 そんな感じです。

つづく

コメント一覧

ステラ@管理人
 コメントありがとうございます。ちょっと固いお話なのでコメントを頂けるとは到底思いませんでしたので。

 本当に仰る通りで、検察官によせられる告訴・告発は膨大らしいです。
 労働基準監督署の担当官によると「告訴をしても最低でも3ヶ月待ちで、労働基準法違反という微罪ではおそらく不起訴処分になってしまう確率が高い」と言っておられました。

 でも私はあの時、どうしても「ケジメを付けておきたい」気持ちでした。
 今思えば、もしかしたら私の検察官は「私がどこまで本気なのか」という事を知りたくてワザと突き放すような言動をしたのかもしれませんね。
ひらりん
検察官の方も仕事一杯あって大変なのかもしれませんしねぇ……。泣いてりゃ涙いくつあっても足りねぇぜヽ(`Д´)ノ、ってところでしょうか。
まぁ検察官に「みんなが期待すること」をやられるってことは逆を返せば自分達にもやられる可能性が、てことを考えると(さすがに僕は鉄道会社でも警察でもありませんから実際に可能性は少ないでしょうが、主様の訴えられたような経営者になる可能性はあるかもしれない)検察官を「ヒーロー視」する訳にもいかない、んでなんともかんとも……。
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