「ハルサイ」祭り開幕です。ここではデッカグループが発売した、「春の祭典」100周年記念ボックスセットにCBSからオーマンディとブーレーズ、ワーナーパイオニアからバレンボイムを入れて比較する企画です。しかし比較というのはどうすればいいのか。音色の問題やらテンポの問題もありますし、編成の問題もあるようです。そこで単純に平均スピードから、つまりテンポとその速度解釈のみしか扱わないという形にします。それでも多分春の祭典が好きな人にはわかってもらえるのではないのかと思います。
ただこうなると、版の問題があります。この一覧では(1953/ver?)とか(1994/ver47)とか指揮者名のあとに書いています。これは録音年/出版年の意味です。この中には出版年が13年、21年、47年、そして不明のものがあります。そして不明なものですが、幾つかの版を組み合わせたようです。さすがにスコアとつきっきりで読み比べはできませんし、私には資質がありません。ただ?マークの版の不明なものはもしかすると47年版だけど、繰り返しを減らしたりとか削っている傾向がありそうです。その結果スコアは同じなのだが、違う結果になる場合があるようです。
ただ春の祭典のリズムから全部覚えることができる人は少ないでしょう。特に繰り返しが何回かとなれば、あの圧倒的な音の前には数えることすらもままならないわけです。ましてやスコアを読めない私には、完璧に不可能です。
その上で、オーマンディーとバレンボイムは一部2部でしか時間表記されていなかったので、あえて作ったのですが、耳だけで決めたので精度は悪いと思います。特にオーマンディは譜面をいじっている可能性があります。
そういったなんやかやがありまして、そもそも平均時間を算出できないわけです。47年版だけだったらなんとかできそうですが、それでは面白くない。版不明の意図まで全部単純に平均化した方が、現実のニュアンスに近いのではないのかと考えました。
もっとも平均的演奏かもしれないサイモン・ラトルの指揮を書き出してみました。グラフでは上に行くと遅い、下に向かうのは速いということになります。ラトルのメリハリのつけ方が分かりやすく出ていますが、音色変化とか様々なテクが入っているいので、本来はここだけでは解釈できません。後で語りましょう。
グラフは1部と2部で分けています。その下の「939 0sec」とか「1074 8sec」という表記は、一部二部ごとの演奏秒数と、平均からの差を表しています。第一部は15分39秒なのですが、表計算ソフトの使いこなしができないので全部秒表記にしています。それでいながらトータルタイムが分・秒というのはおかしなものですが、これはこれで分かりやすいと思います。
次にグラフなのですが、y軸に注目していただきたいのです。例えばサイモン・ラトルでも1部と2部でY軸の表記が変わってきています。1部ではー10から10まででしたが、2部ではー20から20に変わっています。かなりなリズム変化があるわけです。
表記上枠いっぱいで書き出しているので、一瞬同じように見えますが、平均から10秒の間と20秒の間ではとんでもないスピード感があるわけです。そういった表記上の問題があるので、ご注意ください。
さて開幕です。処注意点はいっぱいあります。これでは音楽は表現できません。でも分かりやすいでしょ?