「マッキーのつれづれ日記」

進学教室の主宰が、豊富な経験を基に、教育や受験必勝法を伝授。また、時事問題・趣味の山登り・美術鑑賞などについて綴る。

マッキーの教育論:疑問を感じた円周率の計算

2008年01月24日 | 教育
 私が指導している公立小学校6年生の授業の時のことです。

 ある生徒が、「先生、3.14かける1けたの整数は、覚えていなければならないんですよね。塾の先生から習ったので、覚えて使っているよ。」

 私は考えてしまいました。

 「私でさえ、3.14×2、3.14×3、3.14×5、程度なら、よく使っているので暗記してしまっているけれど、生徒に3.14×9まで暗記させる先生がいるんだろうか。」

 「どこの塾が、そんな指導をしているのだろう。それとも指導している、その先生独特の教え方なのだろうか。どのレベルの生徒に対し、そうした指導をしているんだろう?」

 その生徒は、どう見てもトップ校をねらうような学力の生徒ではありません。計算力を補うように、そうした指導をしているのならば、指導法が本末転倒ではないでしょうか。

 「入試問題が、すべて図形分野であり、おまけに円周率を使う問題が多いなら、そうした努力を生徒に課すことがあっても、仕方のないことかも知れない。しかし、入試問題はそうなっていないのだから、円周率の計算結果を小学生に暗記させる指導は、あまりに偏狭な受験算数指導法ではないか。」

 確かに、算数は考える教科ですが、その基礎として覚えなければならないことが多いことも事実です。「考える」ということを、後生大事に唱えすぎ、「覚える」ことを疎かにしている傾向が、今の学校教育にはあります。幾つかの求積の公式や、解の公式などが教科書から無くなったのは、そうした考えに基づいているのです。

 けれども、塾の先生に指導されたこの方法を、信じ切って話してきた先の生徒のことを思うと、どうもやりきれない感じがします。

 「毎年出題される中学入試問題を分析し、その全体像を把握し、分野別傾向を把握し、各学校が求める学力を把握し、志望する生徒の学力を把握し、生徒の性格・家庭の要望を把握し、生徒の所期の目的を達成させる最善の指導を行う。これが塾教師の使命である。」

 結論から言うと、この「円周率計算暗記法」(私が命名)は、トップ校を目指す生徒に対しても、また中堅校を受験する生徒に対しても、この生徒が信じ切っているような良い指導法とは言い難いと考えます。たとえ、受験算数指導法であったとしても、疑問の残る指導法です。

 中学入試の算数問題は、様々な議論があって、単に公式を使って出てくる問題、特殊算的な問題から、条件を整理し、場合分けし、表やグラフを用い、注意深く書き上げていかないと解答できない問題が多くなってきました。

 特に上位校を受験する生徒は、そうした傾向をふまえ、日頃から労をいとわず、「円周率計算暗記法」などを覚えている間に、考え抜く力と、しっかりした計算力を養成しておく必要があります。

 私は、このブログを始めるにあたって、指針の一つに「個人的な攻撃はしない」ということを決めました。私の考えが、人に対する攻撃と読み取れたらごめんなさい。「円周率計算暗記法」に対する私の意見として読んでいただけたら幸いです。




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