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27日、栃木・那須町のスキー場で雪崩が発生し、高校生ら8人が死亡するという痛ましい事故が起きました。事故当時、栃木県内の7つの高校の生徒と教師らが、春山登山の研修を行っていて、死傷した生徒らは、ゲレンデを外れた林の付近で、雪崩に巻き込まれました。
当日は、予定されていた登山を中止し、ラッセルの訓練に切り替えたそうです。責任者である教師は、天候を考慮し、かつ有意義な登山研修になるように配慮したつもりだったのでしょう。けれども、今回のような死亡事故を起こしてしまえば、務上過失致死傷の疑いで捜査されることとなってしまいます。
生徒及び保護者側にとっては、今回の訓練がそんなに危険なことであるとの認識は無かったでしょう。長年続いている登山訓練でしたから、事故に遭遇するなどは想像できなかったでしょう。しかし、八甲田山雪中行軍と同様に、生徒は教師の指示に従って行動しなければなりません。状況判断は、指導教師の責任において行われなければなりません。
参加してくれた生徒たちに、有意義な登山訓練を行おうとすれば、当日テントをたたみ、そのまま下山することは選択肢としては考えずらかったことでした。たっぷり降った新雪を見れば、登山中止は当然ですが、その代わりにラッセルの貴重な体験ができると判断したのでしょう。
樹林帯で訓練を行っていたのは、頭の中で雪崩を想定したからなのかもしれません。登山には、突然の落雷や落石など、不可抗力の出来事も起きます。もしも私が今回の指導教師だったら、同様の判断をしたかもしれないと思うと、ぞっとする悲惨な事故でした。
高校山岳部は、基本的には冬山が禁止されているはずです。私が高校生の時、ワンゲルに入っていましたが、やはり冬山は禁止でした。けれども春山に登り、たっぷり残った残雪上で、ピッケルを使った滑落防止の訓練なども行いました。
高校のワンゲルで、引率指導教師が、雪の表面が解けて固まった摺り鉦状態の斜面を滑落して、背中全面に痛々しい擦り傷を負ってしまったことがありました。経験豊富な指導者でさえ、こうした事故があるのです。また、ルートファインディングに失敗して、予定よりかなり遅く帰宅した時に、両親が真っ青な顔をして私を出迎えましたが、親は計画が変更されたことでさえ、とても心配していたことを知りました。登山は経験を積んで、その経験を判断の材料にできるようにすることが重要です。
情熱ある指導教師の心情は、とてもよく分かります。貴重な経験をする場合、往々にしてリスクを伴います。そのリスクを自分だけが負う場合と、他の人にも背負わせる場合では、話は異なります。この事故が無ければ、天候次第ではこの時期でも冬山の厳しさを克服しなければならないことや、チームワークを組んでラッセルに汗をかく充実感を、この登山研修で経験できた生徒たちでした。
けれども、事故が起きてしまえば、指導者はその責任を負わなければなりません。今回の一番のポイントは、雪崩注意報が出ていた状況での訓練だったことです。そこをどう判定されるのか、難しいところです。最後に、今回の事故で犠牲になった方々の冥福をお祈りいたします。ぜひ、今回の事故を今後に役立ててほしいと願っています。
今回の雪崩について、地震との関連はないものでしょうか。ハイネット観測点の栃木・大平ではそのころに地震のような波形があるようなんですが・・・・・偶然かもしれません。
地震が多かったりしますので、今までの経験だけに頼らず危険を回避する、ということが大事そうです。