聴覚障害者制度改革推進中央本部ブログ

ここは、聴覚障害者制度改革推進中央本部の公式ブログです。
(2010年4月16日付で、名称を変更いたしました)

【速報】参議院厚生労働委員会7月28日 その3

2005年07月28日 | 【速報】7/28参議院厚生労働委員会
坂本:授産施設といっても様々であり、成果もまちまちである。施設で払われている工賃は月々1万円程度。支援費で、その施設に通う障害者に支払われている金額は、障害の程度にもよるが年間200万円程度。費用対効果を考えるべきではないか。そのための就労移行であると考える。障害者の中で一般雇用にいける人は大勢(たいせい)ではない。労働機関も努力を必要だし、福祉的就労も必要だと思う。就労継続支援事業を実りあるものに出来るのかが障害者の自立に関係するが、どのような展望を持っているのか。

塩田部長:確かに一般就労が難しい障害者は大勢いる。法案の中でも就労支援として雇用契約と非雇用型の2つを考えている。雇用契約型は、障害者と健常者が一緒に働き工賃を上げる考えを基本としているが、非雇用型についても、工賃の目標数値を設定したいと思う。福祉タイプと言っても、働く人が出来るだけ工賃を多く受取れるような工夫が必要だと思う。関係者から意見を聴きながら検討したい。

坂本:障害者の就労所得保障をもっと進めるべき。授産施設や作業所が強く望んでいる「障害者が出来る仕事が欲しい」ということをどこまで実現できるのか。地方公共団体がどこまで関われるか、どのくらいの仕事が発注されているのかを確認し、現実を把握する。民間企業にも働きかけをお願いして、十分な仕事を確保できるよう最大限の努力をお願いしたい。

大臣:障害者が地域で働き、自立した生活を送るためには、就労の場の拡大が重要。就労継続支援事業についても、安定した仕事の確保が必要と考えている。地方自治法施行令の改正により、安定的な仕事の確保も含めた就労支援に全力で取り組みたい。

坂本:障害者の保健福祉サービスに立ち遅れている地域が多いと言う状況がある。障害者自立支援法において、障害者に対して、必要なサービスすべてが提供できるのか。サービス提供基盤の整備・市町村での取り組みについて、どのように進めようとしているのか考えを伺いたい。

塩田:それぞれの市町村にサービスを提供するための社会基盤が整備されていることが重要であり、それは高齢者福祉に比べるとまだまだ遅れている。そのため国が強力に関与する必要だと考えている。来年度の方針の中でもハード・ソフトの基盤整備について、閣議決定されている。基礎データは県・市町村に作ってもらい、整備が出来るよう取り組みたい。

坂本:三位一体改革が進み、様々なものが一般財源化される中で、市町村の積極的な取り組みを求めるのだから、取り組み体制の充実を進めて欲しい。
小規模作業所については、今まではほとんど法定外の施設に位置づけられ、十分な成果があげられていなかった。しかし、様々なサービスを提供するためには、様々な取り組みをしている場所を活用する必要ではないか。また規制緩和も大事だと思う。どう思うか。

塩田:現状では、小規模作業所は大きな役割を果たしている。また社会福祉法人の資産についての規制緩和についても検討したい。

坂本:行政においても新たなサービスへの移行についての積極的な支援をお願いしたい。
精神障害者について。地域社会での受け入れ態勢がないために7万人近くが入院をしている。精神障害者の自立のための様々なサービスの充実が急がれる。自立支援サービスについては市町村が担当になっているが、手厚く取り組みをして欲しい。

副大臣:精神障害者の就労支援は重要。就労支援事業を立ち上げたが、各人に対して適正な就労支援をしなければ上手くいかないと考えている。障害者雇用促進法の改正により、精神障害者の雇用も変わることを期待したい。関係者の意見を聞きながら今後の方法を検討したい。

坂本:必要な障害者すべてにサービスがいきわたるためには、多くの費用がかかる。大幅にかかった経費は、全員での負担が必要だと思うが、定率負担について所得の低い障害者については大変ではないか、ということに今回の法案についての意見が集約されていると思う。利用者負担について厚生労働省の意見は「利用したサービスや所得に応じて負担をしてもらう」と言うものだと思う。障害者が定率負担について負担能力が超えた場合については、考慮があり、世帯負担についても扶養家族として取り扱われている場合にはカウントされるが、そうでない場合は障害者個人の所得で換算すると言うことになっている。障害者の能力を勘案したものと思うが、あまりに急激に負担が増えた場合は大変だと思う。利用者負担の上がり幅については激変緩和が必要だと思うし、低所得の方には特にキメ細やかな対応が必要だが、具体的には?

大臣:通所サービス・児童入所施設・長時間サービスについては、低所得の方に配慮するため、定率負担の上限を半分にするよう、社会福祉法人の減免と公費負担を導入した。減免対象の低所得者については、収入及び預貯金の方を対象とするが、単身者の場合は所得が年間150万円以下、預貯金を350万円以下とした。また、世帯が1名増えるごとに念書徳の上限を50万円、預貯金は100万円増で検討している。公費助成の割合は、社会福祉法人が本来受領すべき総額の5%以下については、2分の1を公費負担とし、5%を超えた場合は、4分の3を公費負担とする方向。

坂本:今回は規制緩和でNPO法人でも対象になるが、社会福祉法人は減免の処置もあるので、要件緩和措置について継続をお願いしたい。

塩田:新しい法体系ではいろいろな主体が就労の事業を行える。社会福祉法人の規制緩和が言われているが、社会福祉法人の資産要件の緩和の見直しは引き続き検討したい。

大臣:利用者負担の減免措置については、社会福祉法人のみが行えるものだが、社会福祉法人がない地域の場合は、社会福祉法人以外でも、減免を認める方向があることを申し添える。

坂本:現状の障害者福祉は破綻に直面している。この法案は、障害者福祉の転換を図るものであり、一刻も早い成立が望まれる。法律は理想に向って仕上げていくものだと思う。まだまだな面もあるが、支援費制度に比べればはるかに画期的。この法案のために予算をしっかりと確保していくことについて、表明して欲しい。

大臣:この法案では、移動支援・コミュニケーション支援について法定化をしている。一部裁量的経費も残っているが、地域生活支援事業を国に盛り込むと共に、国は予算の範囲で2分の1の補助を行う。地域生活支援事業の適切な実施についても、予算の確保が必要なので、予算の確保に努力したい。

坂本:一刻も早い成立のために議論をお願いしたい。

【速報】参議院厚生労働委員会7月28日 その2

2005年07月28日 | 【速報】7/28参議院厚生労働委員会
清水/法案の詳細はわかっていないことが多く、関係者が不安を感じている。今日も傍聴にきている。介護保険との関係をはっきりさせてほしい。市町村とのかかわり、一部負担のこと、等、この法案は介護保険法と似通った構成。若い時に働いた人が高齢になって受ける介護保険と、充分に働けなかった障害者が同じような一部負担になることが問題では。

西副大臣/施策が必要な人にきちんと行き届くことが大事。今回の法案で障害種別に関わらず一元的にサービスを提供する仕組みを構築。精神障害者の福祉が一段と進むと考える。普遍的な仕組みへの第一歩と思う。障害特性を踏まえ、介護だけでなく就労支援など多様なサービスの提供の仕組みを作っている。介護の部分は介護保険と関係する。介護保険法の被保険者・受給者の範囲は今回の付帯決議で18年度末までに結論を検討するとしてもらった。

清水/質問と回答が違う気がする。介護サービスは三障害共通になったが、高齢者と相互乗り入れできるのか?

塩田部長/現行制度でも65歳以上ならできるようになっている。今回の法案は、直ちに相互乗り入れができる制度ではないが、地域制度が整いいずれは相乗りできるのでは。現在、特区として相乗り・連携の取り組みがあるのでその分析が必要。地域福祉の観点から障害とか年齢別ではないサービスを。

清水/実際に働く人は、地域で分けることはできないのでは。ヘルパーへの教育が障害者と高齢者では違うとか。例えば訪問看護ステーション。通所看護に来ている障害者も多い。働く人にとって、在宅障害者もいて、担当を分けるというのは現実的ではない。サービスを受ける方、提供する方が困らないように現実的にきめ細かい配慮を。

塩田/高齢者・障害者のサービスの共通化の部分と、個別ニーズの両面がある。地域福祉の観点から、共有できる部分は、同じソフト・ハードを活用できるよう検討したい。

坂本/日本の障害者福祉は予算も施策もまだまだと認識している。支援費は精神障害者が入っていないが、現状の支援費制度は身体・地的障害者に対してどの程度カバーできているのか?

塩田/施行以降、サービスを導入する市町村が増えている、今まで利用できなかった障害者が新たなサービスを利用できるようになったので評価していいのでは。一方ホームヘルパーは実施していない市町村も多い。質量ともまだまだ足りていない。必要としているのに利用できていない障害者がいる。精神障害者にも利用できない。今後はいろいろな工夫が必要。

坂本/身体・知的障害者の内、サービスを受けている人は1割にみたない。地域間格差も極めて大きい。自ら利用したい場合は利用できるようになったので潜在的なニーズの掘り起しができた面はあるが、地域格差が大きい、知的障害者では地域格差24倍、知的障害児では44倍。許される格差ではない。この格差がなぜ生じたのか認識は?

塩田/地域で暮らすためには全国どこでも同じようなサービスが必要。しかし現実は格差が有る。理由はさまざまと思うが、1つは支給決定の全国統一的な基準がない。また市町村の財政状況が違う。もともとの障害者福祉への取り組みの違いもがある。

坂本/状況を放置できない、改善要ということ出できたのがこの法案。成立しなかったら暮らしが困るという切実な要望が障害者団体から届いている。その通りと思う。この法案の意味を理解し、本当に障害者のためになるよう審議を詰め、早期成立を図るのが福祉に繫がると思う。予算が絶対的に少なく、厚生労働省は予算確保に翻弄した。H16年度は補正予算で処置をしたというが、そのときはたまたま大きな台風等があり災害支援に補正予算を組まざるを得ない状況があったのでできたこと。本来、裁量的経費は補正予算が組めるものではない。支援費制度を放置すれば予算が立ち行かなくなる。しかしこの法案に心配という声があるのも事実なので、1つ1つ障害者のためになることを確認しながら審議を進め、いいものを作る。大臣はこの法案は、支援費が理念とした自己選択と自己決定を踏襲したものという。措置から障害者が主体になるこの制度が、この法案で元に戻ってしまうことを心配している障害者には理解していただくよう努力が必要。地域格差がこの法によって本当に解消できるのか?

西/支援費から自立支援法にかわることで自己決定・自己選択がどうなるのか。歴史的には、障害者を保護対象として捉え、行政が公費で必要なサービを確保していた措置制度が、15年度から自己決定の主体として、契約によりサービスを利用する支援費制度としてスタートした。多くの障害者が新たに利用、地域生活を進める上で役立った。しかし、地域格差や、精神障害者が入っていないという課題がある。課題解決のため自立支援法を提案したが理念は継承しつつ、新たな利用者も含め良質な福祉サービスを提供したい。

坂本/大きな地域格差が本当に解消できるのか

塩田/障害者が地域で暮らすためには市町村の役割が大切。市町村の在宅サービスの補助金・・・・・は致命的。国・都道府県の義務費としてバックアップ。市町村のサービス判断は今は国からのガイドラインがないが、今後、法に基づき示し、どこでも適切なサービスができると考えている。市町村に数値目標を作ってもらい、それを積み上げ国の予算確保に努力する。今まで障害者福祉には客観的なデータがなかった。高齢者については市町村のデータがあり予算を作れる。今度の法案で、初めて障害者のデータを作れるので、国としても基盤ができる。今後は精神障害も含めて一元的に、次に包括的な障害ニーズにという改革の第一歩。是正は可能。

坂本/数値目標計画は大切。地域の障害者にもそれをはっきり示し、逆に言えば本当に障害者のニーズが見たサービスということ。国が、本当に必要なニーズが満たされているか市町村に働きかけてほしい。障害者の意見を充分反映する必要を合わせて要請したい。
自立支援法はサービスの一元的な提供。身体・知的・精神障害者のそれぞれの定義があり、原状ではその法に当てはまる人しかその法のサービスを受けられない、不十分という指摘があった。解消への取り組みはいいこと。今回は身体・知的・精神の一元化なの、障害をもっていろいろな支援を必要とする人全てがカバーできるかというとそうではない。衆議院では修正が行なわれ、課題になり施行3年をもってとなった。法案に欠けていることを補うのはいいこと。現状でも発達障害者支援法が施行された。こういう人もサービスが受けられるような、法の谷間にいる人を少なくする取り組みを

塩田/障害者の法制は個別法があり、個別に認定サービスを受ける。今回は3つの法に該当する必要があるが、受けるサービスは自立支援法のサービス。例えば高次能機能障害の場合、今までは身体・精神障害の両方の法で認定があった。今後は精神で認定を受けている場合でも身体のサービスを受けられるメリットがある。発達障害は昨年、議員立法でできた。概念的には精神障害者福祉法の対象なので、概念的には自立支援法の対象になる。しかし現時点では該当するメニューが児童ディサービスしかない。今後どんなサービスが必要なのか、できるのか、今後文部科学省と連携したモデル事業を行なうので、それを踏まえて導入可能になると思う。

坂本/障害者については自立生活、豊な人生を送るのは大切。地域で普通に暮らす社会をめざすのは大事。大分の中村先生が「チャリティよりチャンスを」といっている。必要なサービスを提供できればいいというのではない。今回、費用負担ばかりに議論集中しているが、職保障、環境を整えること忘れてはならない。法案に就労支援の強化がそれなりに盛り込まれているのは画期的と思う。さまざまな施設累計毎に捉えられていたのを、機能に着目してサービス再編。機能を果たす事業をしっかりやるところなら法定外で支援対象でなかった作業所のようなとことろも位置づけられ、充実して事業ができる。長年放置されてきた抜本的な見直し。就労支援ということで障害者雇用促進法も活用しながら大きな一歩を。現状では養護学校の卒業生の半数は福祉施設に入る。一般就労への移行は年間1%。授産施設の意向調査は施設を出て働きたい人が4割、精神障害者は6割。そういう希望があるのになかなか就労以降支援が上がらなかったのはなぜか?今回は盛り込まれているが、反省の上に立って希望する障害者が成果が見込める事業になるのか。

塩田/働くことは自立の重要な要素。福祉は福祉、雇用は雇用ということで政策・現場とも両者の連携不十分であった。法案では施設に着目ではなく、機能に着目して事業の再編成をしている。授産施設でも努力しているが一般就労できる人は1%。理由の1つは授産施設で1人ひとりに応じた支援が十分ではない。関係機関の連携も十分ではない。雇用サイドから福祉サイドからも連携不十分。施設から送りだせば雇用に任せきりでフォローしなかったり、仕組みもなかった。そういった観点から今度の法律ではいろいろなタイプの機能を再編成し、連携を法定化し、内容に盛り込んでいく。

【速報】参議院厚生労働委員会7月28日 その1

2005年07月28日 | 【速報】7/28参議院厚生労働委員会
委員長/開会します。大臣からの発言を許します。

尾辻大臣/審議に先立ちアスベスト問題について。健康被害の拡大にともない、不安が増大している。7月19日にこれまでの対応と今後の対応について緊急に説明した。事態の広がりを重大に受けとめ、不安解消をすべく強く指示している。旧労働省が、家族や周辺住民に健康被害があると知りながら、放置していたのではないかとのことだが、安全行政については十分関係省庁間で連携を取りながら行なっている。アスベスト対策推進チームを作り対策を図っている。今後とも努力する。

委員長/理事会協議の通り、塩田障害保健福祉部長ほか6人の参考人の意見を聴取する。異議はないか。 ~異議なし~ 自立支援法案についての主旨説明は終わっているので質疑に入る。

清水嘉与子(自民)/法案質疑の前に確認したい。中医協の問題。改革が論議され関心をもっている。7月20日に「新たな出発のために」が発表された。委員構成も公益側を増やす。そのうち病院団体代表とするとなっているが、大臣から、医師を代表する医師会に取りまとめを依頼する方針を出したと聞いている。この記者会見は考えられないとマスコミに受けとめられている。なぜわざわざこういうことを言うのか。病院団体から挙げてきた2人をそのまま推薦できないのか。

大臣/お尋ねの部分のみお答えする。病院団体が推薦2名出すべしという報告を出した。私もその通りすべきと思ったので、私の発言として担保したいと思い、そう言った。報告書の中では推薦性はそのまま維持すべしということだったので、そのとおりに。病院にお勤めの医者も網羅されているので、形としてそのようにした。

清水/納得できない。病院の意見を反映するようにとある。誤解を招くと思う。病院が推薦した人をきちんと委員としないと医師会もご迷惑ではないかと。また、患者に近いところで働いている看護師も入れて欲しい。この問題について有識者会議で議論もあったようだ。看護師が専門委員となって歴史は浅い。しかし実績を評価していただくならは正式メンバーに。どのような検討を考えているのか。

大臣/病院団体に対して直接推薦をお願いしており、名前の変更はありえないので、その辺りをご理解を。推薦をするところでごたごたするならば、厚生労働大臣が直接指名をする方法も残している。ただいまの質問について。看護の専門家が中医協のなかで意見反映をどのようにさせるか今後の課題。

清水/なぜ経由するのかは誤解のないようにしていただきたい。中医協の委員は医療保健福祉審議会で公益委員のみ決まるようになっている。公益委員だけでなく診療側も支払い側も国会で審議するとしたほうがよいと思う。

大臣/中医協は支払い側委員、診療側委員は関係団体の推薦とするとなっている。3者構成は基本的木に維持したい。関係する団体が推薦しこれを任命するのが適当と考え、このようになっている。

清水/自立支援法について。かつて障害者問題の調査でアメリカに行ったことがある。日本では障害者は保護される対象であるが、アメリカではチャンスがあり平等な存在。リハビリテーションセンターを訪れた時、人工呼吸器をつけていた方に会い、当然利用者だと思ったら指導者だった。その方の奥さんは看護師で「いつでも看護していただけていいですね」と言うと、「自分の看護が必要な時は自分で決めて自分で雇う」と言っていた。ADAの効力を感じた。が、その法律も無くしたいといっていた。
日本でも国際障害者年を契機に、障害者の自立生活は活発になった。支援費制度はサービス利用が増え、家庭にこもっていた障害者が地域へ、施設から地域へと変わった。これをどうして今変えなければならないのか。

大臣/現在は支援費制度があり、障害者、障害児を中心に利用が伸びており、重要な役割となっている。同時に客観的なものがないため、地域における格差が大きい。また精神障害者が対象になっていない。そのために自己決定と自己選択、利用者本位を考え、抜本的見直しが必要を考え、本法案を出している。障害種別に関わらず、公平に、支給決定をして定率負担。客観化、透明化、地域の実情に合せて、皆で負担するため、費用負担など必要不可欠なもの。財源を確保したい。

清水/改正が身体・知的・精神障害者を包含して自立した生活するために、自立支援給付をするとある。このために国が義務的経費もつのは進歩。国会のなかでも賛否はあるが、障害者の生活と直接関わるもの。審議の経過を見ても時間的制約がある。障害者からは早くやって欲しいという声もあるが、仮に成立しなかったらどんな支障があるのか。

大臣/ぜひ通して欲しいとお願いしている。法案成立しなければどうなるかにお答えするのもいかがとは思うが。本法案は平成17年度の予算関連法案である。来年度以降も慢性的予算不足を改善できるものである。支援費制度において、一昨年度はなんとか厚労省のなかでやりくりした。昨年はいよいよ足らなくなり、補正予算を組んだ。それらを考えてお願いしているわけ。法案が通らなければ、福祉サービスの一元化、財政基盤の安定化ができなくなる。今年度は10ヶ月分を補助金として計上しているので、成立しないと市町村のやりくりが大変。安定的なサービス提供のためにはぜひとも必要。

■国会行動:議員への要請行動(7月28日)

2005年07月28日 | 報告
7月28日(木)、聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部は、各議員の国会事務所を訪問し、声明文を手渡します。声明文の全文は下記の通りです(文末にPDF版をおいています)。
=====
「障害者自立支援法案に反対し、法案の全面見直しを求める」

 7月15日、衆議院本会議において、与党の賛成多数により「障害者自立支援法案」が採択された。本法案は、利用者の応益負担制度をその基盤としており、とうてい、障害者の生命やくらし、社会参加を国民の基本的人権とみなしているとは言いがたいものである。そもそも障害者が自立した生活をおくることは障害者個々の「益」ではなく、国民としての権利であり、利用に際して負担を強いられるものでは決してない。さらに、付帯決議で障害者の範囲の検討等課題を示しはしたが、障害者の不安を解消する具体的対策を先送りしたに過ぎず、法案審議にあたり、障害者や関係者が繰り返し求めてきた「徹底かつ慎重な審議を」の声に耳を傾けることなく、採択が強行されたことに強い憤りを覚えるものである。
 
1.法案は、福祉・医療サービスの利用に定率の負担を導入し、自立のためにさまざまな福祉サービスを必要とする障害の重い人ほど負担が重くなるという基本的な考えを改めておらず、聴覚障害者にとってもコミュニケーション支援に「応益(定率)負担」が持ち込まれれば差別を金で買うものになりかねない。

2.コミュニケーション支援など地域生活支援事業にかかる財源は裁量的経費とされており、確保の見通しが不十分なままでは、基本的人権としてコミュニケーション保障がされているとはいいがたい。

3.法案の重要な部分が全て政省令にゆだねられており、コミュニケーション支援事業のみならず、ほとんどの施策のあり方が明確にされていないなどの問題を抱えたままである。

4.従来の障害の認定基準のままでは、難聴者など多くの聴覚障害者が必要なサービスを利用できる仕組みになっていない。

以上を踏まえ、参議院においては良識の府として、障害を持つ国民の基本的人権擁護の立場に立脚し、真の「障害者自立支援法」となるべく、具体的施策を含めた十分な審議を行うよう求めると共に、今後も引き続き関係団体との共同の取り組みを進めることを広く国民に訴えるものである。

2005年7月28日
聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部
(構成)財団法人全日本ろうあ連盟
社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
全国手話通訳問題研究会
日本手話通訳士協会
特定非営利活動法人全国要約筆記問題研究会

【障害者自立支援法案に反対し、法案の全面見直しを求める】(PDF版)

■7/26 参議院厚生労働委員会記録

2005年07月26日 | 報告
本日7月26日、参議院厚生労働委員会が開催されました。
その記録を下記に掲載します。

=====

【委員長】
今から厚生労働委員会を開催します。障害者自立支援法を議題とするが、政府よりこの法案の提案趣旨説明を。
【大臣】
提案の理由を説明する。現在は知的・精神・身体という障害種別でその福祉サービスが異なっており、それを一元化することや利用者の増加に対応できる安定した制度にすることが求められている。自立した日常を営めるよう必要な給付や福祉サービスを行うことにより、障害者の福祉向上及び障害者の地域での自立した生活を目的としている。
法案の主な内容は
① 自立支援給付は、当該給付を受けようとするものは市町村に申請をし、給付決定を受ける。
② 給付の金額は必要とする額の100分の90を原則としつつ、場合によっては給付割合を引き上げるものとする。
③ 都道府県及び市町村の地域生活支援事業に関するものを定める。
④ 国の基本指針に沿って、都道府県及び市町村は障害福祉サービス支援事業の確保についての計画を作成する。
⑤ 費用は一部都道府県を除き、市町村が支弁し、その四分の一を都道府県が、二分の一を国が負担する。
関係法律の改正を行い、この法案は一部の事項を除き、施行日を平成18年1月1日とする。なお、この法律案については衆議院厚生労働委員会で修正が行われた。

【委員長】
衆議院での修正部分については、修正案提出者より説明。
【福島(衆議院)】
衆議院での修正を説明する。法律の目的に、障害者基本法の基本理念に則ることを明記した。障害者基本法は障害者の自立と社会参加に関する法律のすべての基本となるものである。法案の目的規定に明記。
法律の施行期日を平成17年10月1日より平成18年1月1日に変更。自立支援医療は公費負担制度のおいて重要なものであり、対象の障害者に十分な説明周知をする必要がある。しかし、法案が成立しても周知のための十分な時間の確保が難しい状況であることから、施行期日を修正した。
法律施行後の3年目処とし、障害者の範囲についての検討を行うこととした。この法案は障害種別に関わらず一元的にサービスを提供できる画期的なものだが、今後更に支援を必要とする人が利用を出来る仕組みについて検討する必要。
障害者の就労を含めた所得の確保についての検討をすることを規定に追加した。障害者が地域で自立した生活をするためには就労支援を含めた所得の確保について検討する必要。

【委員長】
趣旨説明終わり。法案審議は後日とする。本日はこれで散会。


■7月23日、福岡県対策本部が集会・デモを行いました。

2005年07月25日 | 報告
7月23日(土)、福岡市の須崎公園にて、聴覚障害者「自立支援法案」福岡県対策本部が集会を開催しました。集会後、須崎公園から天神までデモを行いました。
この様子は、下記の【福岡県対策本部集会07.23】という文字をクリックすると見ることができます。

【福岡県対策本部集会07.23】(PDF版)

■5月30日開催のタウンミーティングin札幌(自民党)の回答がきました

2005年07月21日 | 報告
5月30日、自民党は札幌市内で「障害者福祉タウンミーティング」を開きました(6月7日付の記事を参照ください)。
このタウンミーティングでは「時間の関係で発言できなかった方については、質問・要望用紙に記入して自民党組織本部にファックスすれば書面にて回答がくる」ということになっており、北海道ろうあ連盟から自民党本部へ質問・要望用紙を送りました。

この質問に対し、7月15日付で自民党から北海道ろうあ連盟へ回答がきましたのでお知らせします。下記の【自民党回答07.15】という文字をクリックすると、自民党の回答を読むことができます。

【自民党回答07.15】

■国会行動:参議院厚生労働委員への要望行動(7月21日)

2005年07月21日 | 報告
7月21日(木)、聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部は、参議院厚生労働委員会の委員を訪問し、要望文を手渡しました。
要望文の全文は下記の通りです(文末にPDF版も置いています)。
=====
参議院厚生労働委員会所属国会議員各位
障害者自立支援法案をそのまま可決しないでください。

 障害者自立支援法案が衆議院本会議で可決され、参議院厚生労働委員会に送られましたが、この法案は、身体・精神・知的障害者福祉を一元化して、身近な市町村で施策を実施するなど、その理念や方程式については評価すべき点があります。しかし、現在の障害者支援費制度を利用している障害者のすべてが、この障害者自立支援法案の内容に対して大きな危惧を抱いている事情を理解してください。その理由は、自立のための福祉制度の利用に自己負担が課せられることです。応益負担〔定率負担〕導入の障害者自立支援法は、福祉制度を利用して社会参加と自立を目指している障害者にとって、福祉制度の利用を抑制し、親・家族・施設からの自立を困難にするものです。
 衆議院厚生労働委員会における修正案として、「障害者の就労を含めた所得の確保に関わる施策のあり方」が検討事項に盛り込まれましたが、これは、「応益負担導入以前に障害者の所得保障の確立を」との障害者の願いを先送りするものであり、我が国の障害者の自立と家族の生活に関係する重大な事柄であって、このままでの法案成立は避けなければならないものです。
 私たち聴覚障害者関係5 団体は、戦後50 年以上に亘って、聴覚障害者の情報・コミュニケーションの保障手段として、手話通訳・要約筆記奉仕員養成・派遣事業などの公的な実施を要望し続け、国民全体の人権意識の向上やノーマライゼーション、バリアフリーの理念の浸透によって、現在の制度を確保しましたが、障害者自立支援法案は現在のレベルの存続さえ脅かしています。
 この思いは、私たち聴覚障害者だけでなく、それぞれの願いを持って運動してきたすべての障害者の思いであります。それ故に、衆議院から送られてきた法案をそのまま可決することに対して反対の意を表明せざるを得ません。
 特に、行政的、社会的なサポートが遅れている全身性障害者や精神・知的障害者の皆さんは、制度に全面的に依存せねばなりませんが、利用が重なれば負担も重なるのであって、福祉制度に値しない制度になることが予想されます。このような現実を真摯に受け止めていただき、参議院厚生労働委員会では、障害者の願いを確実に反映させ、障害者の所得保障を優先させるか、応益負担導入を見直す方向での審議をお願い申し上げます。

平成17 年7 月21 日
聴覚障害者「自立支援法案」対策中央本部
(構成) 財団法人全日本ろうあ連盟
社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
全国手話通訳問題研究会
日本手話通訳士協会
特定非営利活動法人全国要約筆記問題研究会

【障害者自立支援法案をそのまま可決しないでください】(PDF版)

■第12回 全国中途失聴者・難聴者福祉大会in万博・名古屋 大会決議文

2005年07月20日 | 報告
2005年7月16~17日、名古屋にて第12回全国中途失聴者・難聴者福祉大会が開催されました。この大会では「大会決議」を決議しました。
以下、全文を掲載します(文末にPDF版も置いています)。
=====
大会決議 (平成17年度・名古屋大会)

難聴者・中途失聴者が自立し、生活していくために「聞こえの壁」を個々のニーズに応じた方法で解消できるようここに決議します。

1.障害者自立支援法は、中途失聴・難聴者の社会参加を保障するものにして下さい。 
重度の人ほどあるいは積極的に社会参加しようとする人ほど負担の大きい応益負担に反対します。 
(説明)
   障害者自立支援法の細部にわたる要望は以下に展開し、基本的な問題について、要求するものです。

2.聴覚障害の認定の在り方の見直しを求めます。
ICF(国際生活機能分類)に基づき、難聴は生活の場面におけるコミュニーション障害であることの確認を求めます。
(説明)
   聴覚障害を医療モデルから生活モデルに変更することを求めるものです。
   障害の認定方法が変更されないため、障害者自立支援法が制定されても大部分の難聴者が支援の対象にならない問題があります。

3.難聴者に必要な補聴器と補聴援助システムの給付を求めます。
 難聴者が必要な補聴器の給付が受けられるように制度の改正と補聴援助システムを日常生活用具に取り入れることを求めます。
(説明)
   実際に難聴者が必要とする補聴器の給付が受けられるように実態に合わせた補聴器給付制度に改善することと日常生活用具に一つもない補聴援助システムの採用を求めるものです。

4.要約筆記通訳制度への転換を求めます。
中途失聴・難聴者の権利を保障する要約筆記通訳者の養成と派遣を全ての自治体で実施して下さい。
(説明)
   社会福祉法第二種事業としての要約筆記事業を全ての都道府県、市町村(特別区を含む)での実施を求めるものです。奉仕員事業から専門性のある通訳事業の転換を図ることで、中途失聴・難聴者の権利と要約筆記者の身分の保障に繋がります。

5.要約筆記の団体派遣を制度化して下さい。
中途失聴・難聴者の団体活動は障害の特性からも社会参加の重要な形です。都道府県の社会参加総合推進事業として実施して下さい。
  (説明)
   障害者自立支援法は、障害福祉サービスは個人に対する給付となるので団体派遣は対象になりませんが、中途失聴・難聴者は障害受容の上でも、同じ障害を持つ仲間と出会って、交流することが非常に重要です。

6.全ての障害者向けの放送を実施するガイドラインの制定を求めます。
字幕放送の義務付けと放送受信機のバリアフリー規格の制定を求めます。
(説明)
   総務省の字幕放送普及のための行政の指針は2007年度までであり、生放送などを除き、またNHK教育テレビやその他の放送の目標が明確でないことから2007年以降は法的な義務付けを求めます。また聴覚以外の障害者向け放送の実施のためのガイドライン作成、テレビの字幕受信回路内蔵の義務付けを求めるものです。

7.交通、防災、教育、娯楽施設や映画等のメディアのバリアフリー法制定を求めます。
(説明)
   タクシー・バスを含む交通機関、火災を含む非常時の災害防止、教育におけるコミュニケーション支援と環境整備、公衆の集まる劇場や娯楽施設の情報保障、DVDなど記録系メディアの字幕義務付けなどを求めるものです。
   教育への要約筆記派遣は制度の違いから、項を分けています。

8.国連障害者権利条約に、中途失聴・難聴者の権利の保障を含めるよう働きかけてください。そして、国内では国連と同様の障害者権利法の制定を求めます。
(説明)
   国連障害者権利条約の中に、字幕や文字による通訳、補聴器と補聴システムの整備などを条文に明記すること、そして国内では障害者基本法と別に、罰則のある障害者権利法の制定を求めるものです。

9.中途失聴・難聴者が関わる施策形成の場への当事者の参加を求めます。
各行政機関の設ける各種委員会に当事者の参加を保障して下さい。
(説明)
   障害者自立支援法の障害認定の審議会や障害福祉計画策定の場に当事者の参加を求めることと、各省庁または外郭団体の設ける委員会に全難聴の参加を求めるものです。


平成17年7月16日
社団法人 全日本難聴者・中途失聴者団体連合会

【大会決議】(PDF版)