オーディオ測定、オーディオ用測定器の解説

 測定器と、他は過去に学んだことへのコメント。

測定器回路集 電波技術別冊 1956年10月

2012年04月12日 | 測定器



 ヤフオクで落札したもの

 昭和31年10月発行とある。いろんなメーカーのいろんな測定器があるが、TR式のものはまだ無い。真空管もMT管以外が結構使われている。中に出てくる測定器は今で言えばアマチュアの自作よりちょいとマシと言う程度のもので、信号発生器もSSGは出て来ない。この当時はまだ米国製には大きく差をつけられていたらしいのが分る。僅かながらプリント基板の測定器が登場する。今なら多くの人が顧みないヒースキットがここでは高級品に見える。


 横道にそれるがリーダー電子のサイトを見ると、社名がまだ大松電機だった頃の社長さんの苦労話が出ている。アキバに在った問屋に納める為に中目黒の交差点から槍が崎をとおり、恵比寿まで自転車で測定器を運んだらしい。恵比寿から国電に乗って秋葉原まで行ったらしい。あの坂を自転車で登ったら口もきけないくらいヘトヘトになったと書いておられる。確かにあの坂を測定器を何台も積んでは辛いだろう。あの頃は皆がそういう筋肉労働をしたものだった。私はリーダー電子の測定器はルックスがダサイので(揃いも揃ってカッコイイのが一つも無い)好きではなかったが、この苦労話を読んでから、そうでもなくなった。



 本題に戻って、これで見ると国産の測定器の水準が向上するのはどうやら昭和30年代後半或いは40年台に入ってかららしいのが分る。今の中国が先進国を真似してるように、HP,テクトロ、GR、フィリップスなどをせっせと真似たものだった。


 内容はテスター、簡単なバルボル、グリッドディップメーター、ケミコンテスター、シグナルトレーサー、テストオッシレーター、チューブチェッカーが多い。ケミコンテスターが多いのは当時の部品が信頼性が薄かったせいではないだろうか。

 数が多いのでいちいち内容を掲載できないが、古い計器を直したい方は、hp4195aアットマークezweb.ne.jp にご一報くだされば、回路図(有ればのハナシ)をEメールで送ることが出来る。










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未知のトランスのインピーダンスの推定方法

2012年04月01日 | 測定/オーディオ


未知のトランスのインピーダンスの推定方法/2010.5.20改訂

未知のトランスのインピーダンスの推定方法/2009.11.20大改訂

 この種の解説は知識の深い人はやらないものです。本当によく知ってる人は更に良く知ってる人を知っておられる為でしょうか。或いは単に面倒くさがりかも知れません。然しこれは初心者にとっては大いに困ることです。初心者は広範でなくてもよいからせめて取っ掛かりの知識ぐらいは得たいのです。そこで表題の件ですが、これまで、この件の記述を見ることが殆ど無かったので、仕方なく私奴が浅学菲才を顧みず記述することにしました。
 私の至らない解説でも 参考になる と言って下さる人が存外に多いのが経験的に分かっているからです。世の中は私のように知識は浅くとも、フットワークの軽い人間が必要です。尚、他の方が記述しているような部分は記述せず、記述の見当たらない部分についてのみ述べます。
 
 先ず一次と二次の全てのタップの巻数比を調べ、次に巻線の直流抵抗(以後DCRという)を測ります。DCRが低い場合は低抵抗専用のケルヴィンブリッジ(わが国ではダブルブリッジと言うことが多い)もしくは低抵抗計で測ります。尚、中級以上のデジボルなら四線式プローブで低抵抗を測れます。

 ちょっと待った。そもそも一次と二次すらもハッキリしないトランスが有るではないか?ごもっとも、ごもっとも。

 こういう場合は巻数比とDCRの比の違いを見るのです。例えば、巻数比が1:2だが、DCRが100:180であったとすれば、180Ωのほうが一次であることがハッキリしますよね。


 こうして巻数比とDCRを得た後、当初は二次側DCRの20倍程度の抵抗を二次側両端に接続します。

 ここで一次側巻線のインピーダンスをブリッジで測ります。一次側に現われるインピーダンスは二次側に接続された抵抗と巻き数比の自乗との積に近似した値となる筈です。真空管の出力トランスはこのような計算で得た値と公称インピーダンスはほぼ一致します。


 さて、当初二次側にはDCRの20倍程度の抵抗を接続しましたが、ここで二次側抵抗をDCRの10倍にした場合どうなるかと言えば一次側インピーダンスは当初の半分よりは少し多くなります。即ち比を小さくすると一次側インピーダンスは計算で得られたものより大きくなります。比を小さくするに従い計算で得られるものとの違いは増大します。


 トランスはパワー伝送だけとは限らず、それ以外の目的に使用される場合も多いので、巻線抵抗の二倍とか三倍程度のインピーダンスとして使われる場合も多いものです。
このような場合はレシオによる計算とは懸け離れるので実測します。(実測以外の方法が有るかも知れませんが、私は知りません)。


 一般的に以下のように言えます。即ち、DCRに比しインピーダンスを高くとるほど損失が減る。一次と二次のインピーダンスの比は計算と良く合う。
 高域は伸長し低域は出なくなる傾向にあるが、トランスをドライブする電源の出力抵抗が大きく影響するので一概に言えない。尚、低域は出力抵抗と一次側のインダクタンスとの比で決まる。

 逆にDCRとインピーダンスの比を大きく開かないとその程度に従い、損失が増え、周波数特性は低域にずれる。計算との違いは大きくなる。

 以上のように見てきますと、インピーダンスの決定法はどうやら曖昧になりそうです。事実私が得た結論は、トランスというのはかなり自由に使えるもので、測定さえ出きるのなら目的に応じて使って良い、即ち、トランスをドライブする信号源の出力抵抗と回路で求める周波数特性を考慮して使えばよいということになります。


 仮に測定出来ない場合は(測定器無しでホビーをやるのは灯火無しで暗夜を歩くものと思いますが)、信号伝送だけならDCRの五倍くらいまでにしたほうがよいだろうと思います。

 以上の説明のうち、定損失の計算方法は武末数馬先生畢生の名著 パワーアンプの設計と製作 に詳述されています。然し、この本は古書店ではなにぶんにも高価(2万円は下らない)ですのでわざわざ求めずとも、親切な人がネット上でアンプの設計を詳しく解説しておられます。それを読んで下さい。“定損失”で探せば有ります。



 参考:ここでラックスのOYシリーズを取上げてみます。このシリーズは細い線を巻いている為かDCRが多く、OY15-5(K型ではない)はP-P間で330Ωも有ります。二次側巻き線もDCRが有り、通常一次側のDCRと同じくらいの等価DCRが有ると見てよくそれは一次側に直列に有るものとして換算します。計算式は二次側DCRにインピーダンスの比即ち5000/16を掛けたもので、両方あわせた併せたDCRは700オーム近くになるでしょう。

 これが通電時は温度上昇によりもっと増えるので定損失は0.7dB(15%くらい)になります。OY14シリーズなら0.9dB(19%くらい)の定損失でした。OYシリーズのあの大きなインダクタンスは大きいDCR(従って大きな定損失)と不可分のものです。これ等は多い場合ですが、こうして15%から20%近くの損失になるように設定しても誤りとまでは言えません。ただ、当今は定損失を低く抑えるのが主流ですので、出来ればタムラやかつてのタンゴみたいに低く抑えたいものです。そういう場合は一次と二次を一次換算したDCRの和の15倍以上に設定すれば定損失は0.3dB(7%くらい)にすることが出来ます。よく、製作記事等でOPT二次側16Ω端子に8Ωを接続する場面が出てきますが、それは定損失を増大させる使い方というのは以上の説明でご理解頂けましょう。と言ってもどっちみち損失は避けられないのであまり過大でなければ気に病む事ではありません。



















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大容量ケミコンの容量測定方法

2012年04月01日 | 測定/オーディオ

大容量ケミコンの容量測定方法

 普通のブリッジは測定出来る容量の上限が1000マイクロ辺りで、それ以上のものを見かけるのは稀です。1000マイクロFは1Khzで0.16オームのインピーダンスしか無く、しかも損失が他のCに比べれば格段に多いので指針が最小になる箇所がボンヤリしている等が加わり、測定作業自体が結構面倒です。加えて、容量のチェックのみならず、リーク電流もチェックする必要が有ります。もともと、ケミコンというのは電子部品のなかではかなり問題の有るもので、いくらブランドものの未使用品でも、古くなったらチェックして使う必要があるのです。実を言うと、オイルコンも安心は出来ません。要するにコンデンサーというものは買ってから日がたったらチェックして使うものであります。リーク電流のほうはネットを見てますと上手な測り方を発表してる人がおられますので参考にして下さい。いずれにせよ結構時間の掛かる面倒なものです。

 容量のほうは、ブリッジ法でなければ、その測定自体は諸兄の所有する測定器(発振器とミリバル)でも可能なので上図に紹介します。
 
 ヴェクトルインピーダンスメーターの測り方と同じで、この方法だと、大容量ケミコンの容量チェックは容易です。出力が10V以上ある発振器なら10Vに調整すれば1000マイクロは100mV、10000マイクロは10mVとなるので測定は更に容易になります。容量は1/(2πFC)で計算しなければなりませんが、周波数を16Hzにすれば2πFが分かりやすい数字になるので計算は簡単です。このやりかたで中容量ケミコンも測れるのですが、その場合は周波数を160Hz、1600Hzというふうに変えねばなりません。尚、小さい容量になりますと、測定リードの容量が並列に効いてきますので限界があります。この方法は回路中のケミコンを外さなくても測れるので(アースに落ちてる抵抗などが並列になるので正確さは少し低下する)便利です。


 掲載図の方法で 抵抗を1KΩ E1を1Vとし、Cの単位をマイクロFとすれば、

 f=15.9Hzで E2=10mVならば Cx=1000マイクロF  E2=1mVならば Cx=1万マイクロF

 要するにE1と抵抗値を読み取りやすいように設定すれば、Cxは逆数で直読できるわけです。

  周波数の設定がかつてはややネックでしたが、近頃は安物のデジボルでもFカウンターが付いてるので問題ないでしょう。



           







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トランスの巻き数比チェック

2012年04月01日 | 測定/オーディオ

巻き数比チェック用の高出力発振器

 トランスの巻き数比を調べる場合、一次側をドライブする電源(普通はCR発振器)の出力抵抗によって巻き数比が変動するように見えます。これは電源の出力抵抗とトランスの一次インダクタンスが関係しあうからで、一次インダクタンスが低いのに出力抵抗が高いのは誤差の原因になります。

 これを解決するには出力抵抗の思い切り低いCR発振器が有れば良いのですが、本機はCR発振回路の後ろに電力増幅器がついていて、出力を10V(最大)にして負荷を4Ωまで下げられます。3Ωにするとシャットダウンします。つまり25Wの出力があるわけです。

 この発振器を使い周波数を十分高くすればトランスの一次インダクタンスが小さい場合でも不都合は無いので便利に使っています。

 ジェネラルラジオ社からは出力インピーダンスを高いほうからごく低いほうまで変えられる発振器が出ていますが、トランスやチョークを測るとき必要なものでしょう。


 

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測定器解説:LCR測定器

2012年04月01日 | 測定器の種類別解説
LCRブリッジ

 オシロ、発振器、ミリバルの次に欲しくなるのがブリッジです。この機器は万能ブリッジと呼ばれたり、ユニヴァーサルブリッジと呼ばれたりして、一見オールマイティにも見えますが、実際は極大、極少のインピーダンスを測るのには向きません。即ち低抵抗はケルビンブリッジ(わが国ではダブルブリッジと呼ぶ習慣か?)やミリオームメーターが向き、高抵抗は高抵抗計、高周波に使うLはQメーターの領域で、1000マイクロを超える大容量ケミコンは専用の測定器のほうが向くと言った具合です。ディジタル式のほうが圧倒的に便利ですが、安くはなく、トラぶったときは手に余り、またいろいろアナログのほうが良いケースが有るので、オシロ、発振器、ミリバルの次に絶対確保しておきたい測定器です。
 分解能を言えば、桁数の多いのが良いようにも思えますが、実際には米国ジェネラルラジオ社の古い古い型のようなワンダイアルで不足を覚えることは稀です。だいたいLやCの値の正確な値が必要とされるケースは多くは無いのです。
 一般的に言うと、業務用(かつての)のものは太いターミナルが何本も出ていて、外部入力、外部アンプの接続が容易です。この点がローコストのものの不満な点であります。 

ディジタルLCRメーター

 LCRブリッジを単にディジタルにしたものではなく、若干異なる測定原理で構成されています。

具体的製品紹介


横河BVZ103
 古典的な風貌で大変に貫禄が有り、ブリッジの王様の感じがあります。初心者には向きません。動かなくても高額になります。

横河BVZ13
 後述のYHP4255Aと同じものです。

YHP4255A
 かなり古典的な風貌で学生実験に好適と言った観があります。初心者には向かず、二台目、三台目のブリッジです。

YHP4260A
 名器と言われた機器です。分解能は3桁ですが、実際はこれで十分で不足を感じることはありません。非常に便利な機器です。DまたはQを与えるかなり大型のポテンショメータ(平たく言えばヴォリューム)が切れてるものが少なくなく、同じものへの交換は事実上不可能なので、ノークレームノーリターンと謳う相手からはなかなか買いきれません。

YHP4265A
 手提げ型の使いやすい機器です。棚において使うには向きません。

YHP4262A
 ディジタル式で文句なしに使いやすいです。価格は高騰しやすく、なにぶんにも古いのでトラブったときは面倒です。

デリカM6他同社のミニブリッジ
 M6はワンタッチでトランスの巻数比が測れます。小型軽量が大きなメリットですが、小型軽量であるが故の不便もあります。最初に持つブリッジとして良く、大変信頼出来るメーカーです。


ヒースキット
 能動素子は電池管ですが、入手には困りません。キットなので内部は安っぽいですが、それでも無いのとくらべたら大違いです。すべて測定器は無いのと比べれば大違いなのです。


以後書き足し予定有り

 
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測定器解説:発振器

2012年04月01日 | 測定器の種類別解説

信号発生器概論

 発信器と書く人がいますが、通常は発振器です。国内メーカーの殆どは現在は製造をやめています。さて、この発振器ですが、入門者が入手に苦慮する機器です。普通に考えれば発振器が無いというのは、測定器入手の第一歩がまだ出来ていない本当に初歩の段階なので、オークションで買う場合は不安が一杯です。何よりも ノークレームノーリターン と謳われると恐い感じがするのです。実際には何か欠陥を抱えている割合は5割以上は無いし、複雑な故障などは殆ど無いのですが、測定器 というだけで構えてしまいます。実際に中を開けてみればすぐ分りますが、10万円以下の価格帯のものではこうまで安く作ったかと思うほどのコスト重視の組み立てです。あまり構える必要は有りません。

 この機種の主要なスペックは、出力の平坦性、帯域、歪率、表示周波数の正確さ 方形波の有無等です。ローコストのものでは出力の平坦性が大事なので、元の価格が3万円くらいのものは出力周波数が1Mhzまでとし、振幅制御にサーミスタを使うので歪は特に低い周波数で悪くなり、100Hzでどのメーカーのものも0.1%くらいです。歪率測定の信号源としての性能は最初から度外視しています。これより上のクラスで元の価格が10万円未満のものは振幅制御がFETに替わる場合が多く、100Hzの歪が若干良くなり、だいたい0.05%近くです。回路がどのメーカーも殆ど似ていますのでメーカーによる性能差は殆ど有りません。つまりメーカーを選ぶ必要はありません。方形波はローコスト品では例外なく出力します。
 出力周波数が広くなると、方形波の出力は無くなり、歪も悪くなりますが、業務用の機種になるため、出力の平坦性は大変優れたものになります。出力メーターの指針の幅ほども変動しないというものが少なくありません。
尚、帯域の広さと歪率の両立は出来ません。帯域が広くなれば歪は必ず悪くなります。

 低歪のものは出力周波数が100Khz内外までで出力の平坦性は大変優れている場合が普通です。歪は殆どのもので0.01%は下回り、周波数が低くなっても歪は増えません。尚、方形波は通常出力しません。これまでの記述で分るように方形波出力のあるものはローコスト品です。 

 オークションでよく出るのはキクスイ、ケンウッド、リーダーの三機種で元の価格はいずれも3万円くらい。性能差は殆どありません。価格は高騰しても1万円までくらいで、程度が悪ければその半分くらいの場合もあります。

 尚、キクスイのORC11、松下VP7201は全く同じ仕様で帯域が500Khzまで、歪が0.01%をかなり下回り、新品時の価格が8万円くらいでした。多くはないものの出回っていて、歪率測定用の信号源にもなり得るもので良い発振器です。


方形波について

 初心者は方形波が必要との思い込みが大変強いですが、CR発振方式で方形波が付くのは10万円までのローコスト品で、それ以上の価格のもので方形波が付くのはまず無いので、拘らないほうがよいです。

 方形波応答試験はアンプの入り口に方形波を入力し、アンプから出力された方形波の形(オーヴァーシュートやリンギングの幅や高さ)を見て、方形波周波数の何倍かの周波数でどういう現象が有るかを見るのですが、そのナニカが有る周波数や量を正確に知りたければ正弦波を入れてやればよいだけの話です。

 ところで、分る人はここまでの説明で理解するのですが、理解しない人は長々聞いた後で、はぁ?そうですかぁ??との不同意を秘めた相槌を打つことが多かったので、説明は随分前にやめました。本にはこう書いてあった、技術雑誌のライターが必要と言っていたということのようです。無駄な努力というのは有るものなので、こういうことではあまり汗をかきたくないです。

ファンクションジェネレーター

 CR発振方式とは別にファンクションジェネレーターと呼ばれるものもあり、現在はこちらが主流です。これは、方形波を作ったあと、それから三角波を作り更に整形して正弦波を作るものですが、低いほうは制限が無く、上のほうも50Mhzまでも出力出来るようなものがあります。最初に持つ信号発生器はこの方式のもので良いでしょう。正弦波、方形波、三角波の三種を出力し、掃引が出来るものもあります。歪は低くないですが、歪率を測らないのなら気にする必要はありません。また、将来歪率計を入手した時の為に低歪を求める必要もありません。何故なら歪率計には低歪の発振器が内蔵されてる場合が少なくなく、たとえそうでなくても、歪率を測るくらいのレヴェルになったときは低歪の発振器、広帯域の発振器の二種を入手するようになるからです。




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測定器解説:電圧計各種

2012年04月01日 | 測定器の種類別解説


ミリバル/交流電圧計(平坦型)

 交流電圧及び直流電圧に重畳する交流電圧を測定する機器で最小は特殊なものでは10マイクロVから最大は1000Vくらいまでですが、普通は1mV-300V 或いは 300マイクロV-100Vのレンジを持つのが普通です。これより広いレンジが必要となるケースは殆どありません。高感度であるほど良いようにも思えますが、周波数選択性の無い普通の交流電圧計は高感度レンジになるに従ってノイズも拾ってしまうので、あまり意味が無いのです。また周波数特性も上限は高級品でも10Mhzまでが普通です。しかし、数百Khz以上を測る場合は、それなりの知識が必要となるので、初心者は広帯域、高感度を求める必要はありません。普通に1mV-300V、帯域も10Hz-500Khz程度で十分でこれ以上の性能のものが必要になるケースはあまりありません。

 キクスイの164D、164E、1633A、1653A等の出品がよく見かけられ、これらは古くても性能は安定し、調整箇所が少なく、価格も高くて6000円くらいまでのようです。キクスイ以外でも性能は似たりよったりです。トラブルはレンジスウィッチの接触不良がよく見かけます。それ以外はあまりありません。 


交流電圧計(選択型)

 平坦型では高感度レンジになるにノイズも拾ってしまいましたが、選択型は限定的なバンド幅で測定するので相当高感度に出来ます。構成はスーパーヘテロダインの受信機と同じです。早い話がこれにディスプレーを付けたのがスペアナというワケです。測定電圧も1マイクロVくらいは何でもありません。ただ、構成上上限周波数が高い場合は下限周波数が高くなります。選択電圧計、選択レヴェル計、セレモ、ウェーブアナライザー等がこれに当たりますが、気持ちとしてはディスプレーが付いていたほうが良いのであまり人気はありません。国内では電電公社のファミリー企業、アンリツやアンドウが作りました。

差動電圧計

 機器自身の中に電圧源を持ち、被測定電圧と比較して分圧比を出し、結果的に被測定電圧を示すものでHPやフルークが製造しました。

DCミリバル/高感度直流電圧電流計

 直流電圧を電子的に切り刻んで交流に替え、交流電圧増幅器とするものです。チョッパー型と呼ばれます。併せて微小電流を測定出来るのが普通です。抵抗も測れてエレクトロメーターと呼ばれることが有ります。

高周波電圧計

 高周波電圧を一旦整流したあと、チョッパーで切り刻んで交流に替え、交流電圧増幅器とするものです。有名なHPの410CのAC電圧測定部がこれです。








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測定器解説:スペアナ

2012年04月01日 | 測定器の種類別解説


スペクトラムアナライザー(以後スペアナという)

 初心者には敷居の高い測定器です。内容はスーパーヘテロダイン受信機と非常に構成が似ていて、内部に局発が有り、入って来る周波数と混合して、という毎度おなじみのスーパーラジオと似た構成です。言って見れば受信する周波数を連続的に変える(掃引する)ラジオのようなものです。また、低周波スペアナは受信する周波数と同期して変化する発振器(トラッキングジェネレーターと言い、以後TRGと記す)が付属するのが普通なので、これにより増幅器の入出力特性が分るというスグレモノになります。これを使いこなせるようになる為には広範囲の知識が要りますが、習得すると、大変なメリットが有ります。おまけに、オーディオ用のスペアナは使いこなせる段階まで来る人は少ないために、非常に価格が安く、オシロ、発振器2種(広帯域型と、低歪型)、電圧計、ブリッジ、歪率計と揃え終わったら是非検討すべきです。使い慣れると、オシロと同じくらい使用頻度が増える機器です。

 
FFT

 スペアナは前述のように大変便利な測定器ですが、周波数が低くなるほど測定時間が長くなるという欠点がありました。例えば1Hzのバンド幅を持つヒューレットパッカード社の3580Aはそのバンド幅で測定すると掃引に大変な時間が掛かるのです。そこで、周波数分析をディジタル的に処理するフーリエ分析器は従来型スペアナなら長時間掛かる測定をごく短時間で終えてしまう何とも有りがたい機器です。ただ、上限周波数に限界が有り、結局、100KhzまではFFTで、それ以上はスペアナでとなる場合が多いです。

べらぼうに安く出品される重量級低周波スペアナ

 低周波スペアナはハムには人気がさほど無く、オーディオをやる人はスペアナを使いこなせるレヴェルまで来る人が少ないという事情からひどく安くなる傾向が有ります。勿論問題は有って、本格的な機器はかなりの重量になるというネックは有るのですが、場所に余裕の有る人は検討したらどうでしょうか。

HPの3585A、アンリツのMS420シリーズ、タケダのTR4171などがそういう機械です。   

 




スペアナについて

 ラジオ技術社の スペアナのすべて は名著であろうと思いますが(入手は殆ど困難)、そのなかに、この測定器がこれほど人気が出るとは誰も予測しなかった という意味の記述が出てきます。ここで私の事を言えば、スペアナというのは、ファンダメンタルとハーモニックスをCRTの管面に表示するのが主な測定器の筈だが、それが見えたからといって、何なの? という受け取り方でした。ただ、経験豊富なOM達はまず例外なく所有し、その人たちの間では スペアナも持っていないんじゃぁ、、、、といった雰囲気が有ったのも事実です。かくてはならじと私も持つようになったのですが、その有用性(とりわけトラッキングジェネレーターがついたもの)は入手前の予想をはるかに上回るものでした。随分前から、測定器は買う前の検討時間の長さと買った後の満足感の間には何の関係も無い、 ということに気づいておりましたが、それはスペアナの場合にも成り立つ経験法則でありました。

 こうした経験を何度も積むと、買う前によくよく(くよくよ?)考えたり、持ち主に細かく聞いたりということはやらなくなるものであります。で、私の場合も買う前の検討を省略し、まず入手してみるというふうになったのですが、そうなると私宛に売りたい相手が次々に現れるようになり、所有欲と、資金力の狭間で苦慮するようになりました。ただ、幸いにも当今はオークションがあり、要らないものの処分が以前とは比較にならないほど容易になりました。現実にも買ってばかりでは資金と空間の両面で行き詰るので、まず、検討はそこそこで切り上げ買ってみる、要らなくなったらオークションで売れば良い、とまぁ、軽忽とも言えるほど気軽に考えれば良いのです。そうでなければレヴェルアップは不可能です。これまで多くの人との出逢いがありましたが、慎重に検討 というタイプの人は向上はまず困難というのが実感であります。









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測定器解説、さまざまな測定器

2012年04月01日 | 測定器の種類別解説


チューブチェッカー

 大別するとTV7Dのようなタイプ即ち専用のマニュアルによって独自の測定法に拠るもの、言うなれば簡便型と普通の真空管マニュアルによって各電極に電圧を印加するタイプがある。後者のほうが所望の動作状態に近づけられるので便利だが大型になりやすい。TV7タイプはいろいろな人によってその短所も指摘されたが、何と言っても小型軽量なので使いやすいという点では最右翼か?

位相計

 低周波用はシバソク、アンドウ、メグロ、WILTRON等から出ました。近頃のオシロではカーソルによって位相の測れるものが有りますが、専用の測定器はそれはそれで便利です。

ロックインアンプ

 メーカーの極端に少ない分野です。米国ではPAR、国内ではNFだけです。


定電流電源



高周波電流計



自動電圧安定器



工業用電力増幅器





以後書き足し予定有り
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HP3312A ファンクションジェネレーター

2012年04月01日 | 測定器
(概説)超低周波から13Mhzまでのファンクションジェネレーターです。この機種は写真向かって右部分の機能が不調になってるものが多く、出品されているものはその部分の記述が曖昧であるものが多いです。ただし、業者が出してるものや開始価格が低いものではそこまでのチェックは出来ないのでやむを得ないでしょう。また、右部分の機能が不調でも信号発生器としては特殊な機能が失われただけで大部分の機能は健在と考えることも出来ます。

 ファンクションジェネレーターは3Mhzまでのものが10Mhzまでのものより高価だったりして上限周波数と価格が必ずしも関連が有りませんが、両方の3Mhzの波形をみると、3Mhzまでのものが10Mhzまでのものより高品位というようなことが実際にあるので、カタログスペックだけでは分りません。要するに高額のものがよく作られているのは間違いありません。



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NF/SY-118 広帯域CR発振器

2012年04月01日 | 測定器


NF/SY-118 広帯域CR発振器

(概説)広帯域タイプとしては低歪で、歪が増えやすい低域、例えば100Hz近辺でも0.045%、20Hzでも0.14%くらいしかありません。広帯域でありながら、3万円クラスより低歪とは意外で、こういうタイプとしては多分例外的でしょう。そこでこの発振器の用途ですが、古典管を無帰還でしか使わないような場合は無用です。OTL派とか、測定器をバーンと揃えて深いNFを掛けたアンプを作るような人には、こういう発振器は是非とも必要でしょう。
(仕様)10Hz-10Mhz(75Ωの場合のみ),10Hz-100Khz(600Ωの場合のみ)。 出力電圧4.4V(600Ω出力オープンで)、1V(75Ω負荷で)全ての突起を含むサイズ/重量:14W 19H 29D  4.5Kg  
この機種は売却済みです。
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HP 200CD CR発振器

2012年04月01日 | 測定器

HP/200CD CR発振器

(概説)通常のCR発振回路は真空管を二本使ったシングルエンドの形式でしたが、これはバランス型と呼ばれるもので、CR発振回路のアチラ立てればコチラが立たずという部分をかなりのところまで解決した当時としては画期的な回路でした。歪が低域に至ってもなかなか増えないというのがミソで、松下が殆どデッドコピーに近いものを作り以前はジャンク屋によく置いてあったものです。

 測定器を弄るようになって分ったのは、国産の名機とおぼしき機械も欧州や米国に原型が有る場合が多いということでした。
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HP 200AB CR発振器

2012年04月01日 | 測定器

HP/200AB CR発振器

(概説)CR発振回路は振幅を制御するのに、ランプを使うことが有りましたが、それを始めたのはヒューレット・パッカードです。それまではLC発振回路を二個作り、それを混合しビートを採る方式でした。この機械も国産メーカーがほぼデッドコピーに近いものを作り、今でもそれがヤフオクに登場します。
 
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HP/3325A ファンクションシンセサイザー

2012年04月01日 | 測定器
HP/3325A ファンクションシンセサイザー


(概説)初めて中古で買ったのは10年以上も前で25万円でした。(負担に耐え切れずすぐ転売)。今はリース屋から買っても10万円以下ではないかと思います。随分安くなりました。信号発生器の考え得る機能の殆どが有ります。ただ、2トーンは出てきません。それは兄貴分の3326Aが持っています。それもかつては持っていましたが、うるさい強制空冷と大きなサイズに耐えかね、手放しました。

 


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HP/207 CR発振器

2012年04月01日 | 測定器
HP/207 CR発振器

(概説)スウィープジェネレーターとなっていますが、どうみてもそう見えないので、中を見たい、回路がどうなってるかを見たいだけで買ったものです。ダイアル一回しで20Hzから20Khzまで変えられるという非常に変わったCR発振器です。普通には1000倍まで変えられるのはビート発振器に限られるのですが、これはウィーンブリッジです。CR回路網がちょっと変わっていて1000倍の変化を実現しています。
 

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