オーディオ測定、オーディオ用測定器の解説

 測定器と、他は過去に学んだことへのコメント。

真空管のgm測定方法

2022年12月10日 | 測定/オーディオ

 

 2019年2月を以って上記の計器の殆んどを中古測定器買取業者に売却した。現在出品中の真空管は大部分がTV7D/Uによる。 

 

 今まで以下の記述については何人かに説明してきた。理解出来る人は詳しく言わなくても判る。

 

 “要は定電流で測るってことだろ”

 

  全くその通りだ。

 

 だが、理解しない人は図を書いても分からない。というより避けようとする。

 「難しいことは分からんけども、、、、、」

 

 そんなわけで説明では図を省略した。

 

原理については後述


真空管のgm測定方法


方法その1/現在のメインの方法
1、真空管ハンドブックに拠り規定のプレート電圧、スクリーン電圧、グリッド電圧を印加する。
 ただし、出力管においては、バイアスを加減し規定の電流を流す。即ちこの場合はバイアス電圧ではなく、プレート電流を基準とする。

 

2、真空管のグリッド・カソード間に10KHz/1Vを入力する。信号の大きさは真空管出力が歪まない大きさであればよく、電圧増幅管では10KHz/100mVを入れる。

 

3、プレートに現れる交流電流をHP456Aで測る。HP456Aは回路を切らないで測れるAC専用の高感度クリップオン電流計で1mAで1mVを出力する。この電圧をミリバルで測る。


 通常gmは単位がミリモーであるが、これはmA/Vのことである。例えば10ミリモーならば入力が100mVなら1mVの出力しかない。2ミリモーなら0.2mVしか無い。gmが低くバイアスの浅いタマ、例えば12AX7や5879、6267は入力を多くできず測定する電圧が低すぎてしまうため正確な測定が難しい。実際のgmより低く出やすい。

 私自身はHP456Aによる測定がラクなのでこれ以外の方法は現在やってないが、456Aの入手は米国からでないと難しい。送料込みで最低3万円になりそうなので追試される人は456Aの使用ではなく以下の方法その2またはその3を推奨する。

 

 上記の方法で測定したgmの値は標準の80%程度でもTV7の廃棄値より明らかに多い。管種にもよるがTV7の廃棄値は標準の70%未満くらいと推定される。

 

方法その2/私が考案した方法


1、プレートに一次と二次を逆にしたシングル用トランスを接続する。たとえば8Ω:7KΩとし、二次側に6.8KΩをターミネートすれば真空管は8Ωに近いインピーダンスを負荷することになる。8Ω側なので小型のトランスでも6GB8を試験するような大電流でも限界を心配せず流せる。

2、各電圧は その1 と同じようにする。

3、真空管に適当な電圧を入力し、トランス二次側の電圧を測り、一次と二次のレシオを換算してgmを求める。

 

4、一次側に現れるインピーダンスや一次対二次のレシオは計算で得られるものとの違いが無視出来ない。或る程度のレヴェルの知識と少な過ぎない測定器が必要となる。8Ω側に発生する電圧は小さいがトランス二次側にはステップアップされた小さくない電圧が発生し、かつ片方がアースされているので測定が楽になる。この場合のトランスは安物で良い。優れた方法なのだが較正のハードルが高いのは認めざるを得ない。

 


方法その3/海外のアマチュアの文献で見た方法


1、プレートに10Ωを負荷し、その抵抗に並列に1:1のトランスを接続する。トランス一次側は直流が分流しないようキャパシター(以後Cと表記)で切る。Cはインピーダンスが無視出来る様な大容量にする。ただし低圧で良い。

2、各電圧は その1 と同じようにし、真空管に10KHz/100mVを入力する。この周波数はCのインピーダンスを小さくする目的でもある。

3、トランス二次側の電圧を測り、gmを求める。

4、これは上述を併せた三通りの方法で諸兄が採用するのに一番再現性が高い。gmが低いタマではノイズの影響で測定値が実際の値より大きく出易い。そこで電圧を測るのに歪み率計を使ってローカットすれば良い。(歪率計にはローカットフィルターが付いている)。内部抵抗が非常に低いタマ(例:レギュレーター管)では10Ωより1Ωが更に正確に測れるが、選択電圧計かスペアナが必要になり一般性を失う。私はHPの3582Aを使っていたが、小鳥を撃つのに大砲を用いるような気がしていた。(鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん!)。


 上記三例において、このような場合の通常使用される1KHzではなく10KHzの信号を入れる訳は、信号レヴェルを測定するのにスペアナを用いる場合が有るからだ。その場合掃引型スペアナでは1KHzより10KHzのほうが測定時間を短縮出来る。

 

  測定原理/実技


 真空管の増幅度を導来する式はA=gm×(タマの内部抵抗rpと負荷抵抗RLの並列合成抵抗)で与えられる。即ち A=gm×(rpRL)/(rp+RL)。3極管の場合はA=μRL/(rp+RL)として知られているが、μ=gm×rpなので同じことである。gm値はこの式から導くが、邪魔なrpの項を消さねばならない。RLをrpに対して非常に小さくすれば並列抵抗はほぼRLと見做せるようになりrpを無視出来る。測定誤差を1%未満にするためには、RLはrpに対し1%未満でなくてはならない。レギュレーター管等は200~300Ωくらいしかないのもあり、それを考えるとRLは相当に低い必要がある。然し、RLが小さいと、測定電圧も小さくなり、直流電源の電源インピーダンスの影響を無視出来なくなるなど、gm測定がいろいろと困難になる。

 

 誰でも思いつくDC的な方法では、動員する測定器は少なくて済むが、バイアス電圧を変え電流の変化を測るのは、実技上は面倒だ。高性能ディジボルで差分だけをカウントし、バイアス電圧はプログラマブルの電圧ジェネレータで設定出来れば安直になるが、これは誰にでも出来るわけではない。やはり交流式が便利だ。


 また、低抵抗を負荷しそこに発生する電圧を直接測る方法は、抵抗と直列になる電源インピーダンスの影響を排除出来なくて面倒だ。従ってトランスを使う。 面倒と言う言葉を多用するが、要するにめんどくさいことは続けられないものだ。めんどくさいことやっていては人生が終わっちまう。

 

 グリッド抵抗にシリーズにセンター指示のマイクロアンペアメーター(アキバで2000円~2500円)を入れる。グリッド電流が流れたり、リークが有ったりすると針がいずれかに振れる。これが存外の威力を発揮し、機械的不良の大半が分かる。目に見えるほど振れる場合はタマを廃棄する。即ち、機械的不良は、グリッドかカソードの絡んでるものが多いので、上述の電流計を入れることで殆ど捕捉出来る。これまでのところ、私の方法で機械的不良を捕捉出来ず、TV7Dで見つかったという事例は無い。むしろ私の方法で機械的不良が捕捉出来ながら、TV7Dで見つからないという場合が有る。

 

 尚、マイクロアンペアメーターは寄生振動が有っても振れる。この場合は不規則に振れるのでそれと判る。TV7D/Uには寄生振動を防ぐビーズが入っているが、同じものを入手は出来ないので、こういう場合はグリッドに直列に1Kオームを入れる。タマ毎に配線しなければならないので結構面倒だが、寄生振動のあるタマはあまり無い。また、タマの作りにも因るようで必ずしもgmが高いから寄生振動が多いとも言えない。

 

 ここでセンターメーター式のマイクロアンメーターをやめて横河の3201など内部抵抗の高い(電流感度の高い)テスターのアンメーターを使っても良い。3201は12マイクロAのレンジがあり、極性の切り替えスイッチも有るのでマイナスに振り切れたらスイッチを切り替えれば良い。

 

 実際にgm測定器を製作する上での問題点としては電源を用意する方が困難かも知れない。これは自作しようとするから面倒なのでオークションで求めれば良い。A電源、B電源二台、C電源と都合四台も必要だ。しかし自作より使いやすく短期間に用意できる。コストも心配するほどではない。昔売られていた真空管用電源のバイアス電源は負電圧が高すぎるために、10回転のポテンショメータで調整してもIb調整がかなり面倒だ。そこで実用の為に小さいバイアス電圧を微細に加減できるような機構にしておかないと後で困る。むしろバイアス電源だけ別に用意したほうが良い。其のほうがずっと便利だ。

 

 近頃の電源は出力がワンタッチでオンオフ出来る機構になってるものがあり、そのほうが便利だ。デジタルメーターの付いているものはそのタイプが多い。

 

 プレートの電流計はデジタルでも良いがアナログだと元気の良い真空管の場合は電流計の振れる速度が早いので視覚的に真空管の良さが分かる利点がある。一般的に言えば電流計が元気よく立ち上がってくる場合はgmも規定値をクリアーしてるので特別な要求がない限り電流とgmの双方を測る必要は実用的には無い。


 gm測定では内外の有名なチェッカーは試した。EbやIbを真空管マニュアルに拠って設定出来るタイプ(大型になりやすい)が便利だ。その中には双三極管がワンタッチで切り替えテスト出来るものもあり、その快適さはたいしたものだ。EbやEsgが固定のタイプのもの(TV7シリーズ等、現在流通するものの大半)は真空管マニュアルではなく、チェッカー付属のマニュアルによって操作する(それが無いと操作できない)が、その原理と限界を予め承知で求める人には良いが、知らないで買う人は困るだろう。


 真空管販売業者が売るいわゆる“ペアチューブ”がどの様な測り方で選別されているかは知らないが、たとえそれが真正のペアチューブであるとしても、プッシュプルの出力段ではACバランスDCバランスの調整は不可欠だ。私は ペア というものにあまり重きを置かないが、仮に 揃っている として選別したものでもそれは同様だ。これをやらずに良否を云々しても始まらない。

 

 ちょっと横道にそれるが、DCバランスは10Hzより下の周波数を入れて出力段の出力が最大になるように調整する。つまり交流で測る。周波数が低いのでストレージならラクだが普通のオシロだとチラチラする。だがそこはまぁ我慢する。原理的に正しい方法なので精神衛生上は良い!!

 

真空管チェック雑感


多くのタマのテストをやって感じるのは


●開発時期の後期のタマのほうが、そうでないタマより

 

●三極管より五極管が

 

●べース接続よりトッププレートのタマが

 

 いずれも素子として安定のようだ。


 尚、寄生発振は必ずしもgmの高さと密接な関係はなく、開発時期が早期のタマはgmがさほど高くなくとも発振しやすいと見ている。
 真空管メーカーの技術者は無駄飯を喰っていたのではなく、日々改良に励んだのだろう。

 

真空管の選別について

 

 真空管を出品していると特性の揃ったものをと頼まれることが有る。だいたい、要望というものは1人が言う場合はその100倍以上の黙して言わない人がいると考えてよいので(日本人はとてもおとなしい)、潜在的にはその要望は多いと考えて良い。 

 さて、その真空管なるものはJIS規格では特性の違いがかなり大幅に許されているが、現実には高い製造技術の為か、それほど違いが無い。双三極管にしてもユニットの違いはあまり大きくはない。その大きくない違いを大きいという人もいる。

 

 真空管販売業者の中には特性の似たものを選別する基準や過程の厳格さを宣伝する業者もある。選別の基準は同じバイアス電圧でプレート電流が接近しているということのようだ。つまりDC的な選別方法のようだ。真空管の出品で特性の揃ったものをと頼まれるのは、業者がこういう販売方法をしているからだろう。

 

 販売業者が特性の違いが大きいと言う場合は、それによって自分達の選別作業の重要性を強調出来るからだろう。そしてまたそれによって付加価値を大きく出来る(高く売れる)からだろう。

 

 ところで、揃ってるモノを、と言ってくる人は殆ど例外なく測定器を持っていない。この場合、選別されたと称するものをそのまま挿すだけとするならば、即ち挿した結果がどうなるかを調べる術が無いとするならばあまり意味は無いだろう。逆に測定し調整が出来る人は特性を指定することなど無いのが現実だ。 

 仮に揃っていると称するものを使ったとしても、その前段或いは後段の出力は揃っているのか?。
 
 回路というのは能動素子の特性の違いは或る範囲で許容しながら設計し、出来上がったら調整するのが普通の筈だ。揃っているからと言って挿してそのままというのは通常考えらない。

 

 結局、何を作ってもその結果を測定して検証するのでなければ、客観的な完成度を上げることは出来ない。タマの選別を他人に依存するより、自分で測れる状態になるのを目指すべきだ。

 

 こんなふうに考えているから、選別の要望が有っても、まともに取り組む気にはなれない。ただ、パワー管においては二本受注した場合はだいたい近似した(交流的に)特性のものを送るようにしている。

 

 厳格に揃ってるのが欲しい人はそういうものを提供すると称する店から買えばよい。

 

 これはタマの寿命についてのことなので全くの余談だが、私は趣味仲間が測定して渡して呉れるタマなら中古で十分で、新品ということだけの為に大金を投じる気にはなれない。

 

 第一、タマをやってる人では私の場合も含め歳の行った人が多いが、タマの寿命より本人の寿命のほうが短いかも知れないのだ。

 

 

 


 朝には紅顔夕には白骨となれる身也

 

  蓮如(浄土真宗中興の祖)

 

 

 

 

 

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多極管の三結について

2020年12月29日 | 測定/オーディオ

 一般に多極管を三結する場合、プレート電圧はスクリーン電圧の上限迄というのが常識だった。もう技術雑誌を読まなくなって30年近くなるので、その「掟破り?」が有ったかどうかは知らない。

 

 ただ、何となく感じられるのは真空管時代の末期に発表された6RA8、50CA10、8045G等の三極出力管はいずれも多極管の内部三結だった。有名なKT88には準三極とも呼べるアルトラリニアーで600Vを掛けた動作例が有る。

 

 ということは、三結の場合、損失だけを考慮し、耐圧については放念してしまって良いのではないかとの疑問が当然に湧いて来る。

 

 もし、この考えで良ければ、あまた有るテレビの水平球は有力候補となって、オークションで矢鱈高価になる三極管(50CA10,6RA8等)は一顧だにしなくて良くなる。実に愉快ではないか。

 

 これは私のアイディアではなく、或るマニア氏が公表したものだが、残念なことに追試例が見当たらない。そこで天下の諸兄にお尋ねしたいのはこれを追試された人は居られるかということ。

 

 マニア氏によれば、スクリーン損失が激増するのは多極管接続においてプレート電圧が低くなった場合であって、三結においてそれは起こらないという。

 

 つまり、スクリーン電圧に上限が定められているのは耐圧がそれだけしかないというのでなく、それ以上にするとスクリーン損失が定格を超えるからということなのだそうだ。

 

 プレート損失だけなら50CA10を大きく超える球が幾つも有るから今後テストしたいと思う。同様の試みをされる人が現れると嬉しい。

 


 興味ある人は「ヤナギダ理論」で検索されると良い。

 

 私が25歳くらいのころ、つまり半世紀前、日本には空前のオーディオブームが有った。

 

 そのとき気づいたのは、皆の知識は本に書いてあることや、エライ先生の言ったことの受け売りで自分で確かめたり実験したりしている人は殆どいないこと、また理論を知ってる人も皆無に等しいことだった。

 だから、三結のプレート電圧はスクリーン電圧の上限迄というのもそれを実際に確認した人は殆どいないだろうことも見当がつく。

 

 この実験はさほど難しくないので近々にやろうと思う。

 

 

 

  

 

 

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電流容量が未知のトランスの許容電流推定法

2019年06月18日 | 測定/オーディオ

 

電源トランスの容量とDCR



 私のブログは殆ど更新しないのに何故かアクセスが減らない。この理由がなかなか分らなかったが、どうやらこのトランスの記事が読まれているらしいことに最近気づいた。それならば、新しいデータを此処に書き込む度に日付を更新したほうが読者の利便に寄与すると思う。これによって諸兄は日付が変わっていれば内容が書き換えられている(主としてデータの増量)と思ってほしい。

 データ量は増大し続けているので、諸兄は電流表示が無いトランスでも、主として一次DCRを測ることによりおよその電力容量を推定できると思う。

 製造された時期は半数以上が20年以上前。
DCRは測定時期(室温)に拠り最大約8%の違いが生じている。
見易さを重視し6.3V/4.5AでDCRが0.03Ωの巻線が二つ有れば、6.3V/9A/0.015と統合表示する。
600VCT/100mAとは300-0-300Vで、センタータップ整流したときのDC電流が100mAの意味。

 DCRデータ

最終更新:2013/5/28





2000VA 21200g 0-100V/0.041 100V/10A/0.092 100V/10A/0.101

2000VA 8400g(単巻き)0-90-100V(0.265)-110-120(0.286)

710VA unkn 0-120V/0.184 700VCT/863mA/10.27 6.1V/12A/0.008 5V/6A/0.012

660VA 9800g 0-100V/0.204 0-100-220V/3A/1.204

520VA 11500g 0-115V/0.77 600VCT/420mA/18 650VCT/420mA/22.2

500VA 10300g 0-100(0.357)-110V 0-110-220V/2.27A/2.03

460VA 6300g 0-100V/0.42 26V/18A/0.042

450VA 8900g 0-117V/0.518 30VCT/7.5A/0.108 30VCT/7.5A/0.118

440VA 8000g 0-100V/0.349 0-220V/2A/2,263

432VA unkn 0-120V/0.604 600VCT/575mA/23.09 6.3VCT/9A/0.017 5V/6A/0.02

403VA unkn 0-120V/0.546 550VCT/575mA/19.20 6.3V/9A/0.015 5V/6A/0.019

403VA unkn 0-100V/0.5 380V/850mA/11 6.3V/12A/0.017 70V/60mA/6.6

386VA unkn 0-120V/0.546 650VCT/460mA/28.60 6.3V/9A/0.012 5V/6A/0.019

369VA unkn 0-120V/0.604 700VCT/403mA/33.57 6.3V/9A/0.017 5V/6A/0.016

360VA 5200g 0-100V/0.59  600VCT/0.6A/31.6

340VA unkn 0-120V/0.589 550VCT/460mA/26.81 6.3V/9A/0.021

311VA unkn 0-120V/0.789 650VCT/345mA/42.11 6.3V/9A/0.014 5V/6A/0.023

300VA 5150g 0-100V/0.59 0-100V/3A/0.942

271VA 5000g 0-100V/0.68 980VCT/200mA/99 540VCT/60mA/43 6.3V/5A/0.029 5V/2A/0.053

268VA 4540g 0-115/0.78 360VCT/0.5A/11 6.3V/14A/0.016

250VA 5600g 0-100V/0.532 0-25V/10A/0.047

240VA 4100g 0-100V/0.878 0-120V/1A/2.764 0-120V/1A/2.764

229VA unkn 0-120V/1.304 500VCT/322mA/42.43 6.3V/6A/0.03 5V/6A/0.022

200VA 4400g 0-100V/0.95 40V/5A/0.223

192VA 3300g 0-100V/1.87 660VCT/220mA/124 6.3V/4.5A/0.06 5V/3.6A/0.063

188VA unkn 0-120V/1.598 450VCT/300mA/36.87 6.3V/6A/0.029 5V/3A/0.043

183VA 4140g 0-100V/1.01 133V/0.95A/4.21 6.3V/8.4A/0.029 5.5V/0.6A/0.342

166VA 3400g 0-115(W)/1.8 900VCT/136mA/129 6.3V/4.6A/0.045 5V/3A/0.031

146VA 3450g 0-100V/1.678 0-135V/0.7A/6.17 6.3V/8A/0.025 32V/30mA/3.87

129VA unkn 0-100/2.29 290V/250mA/46.2 6.3V/9A/0.036

120VA 2800g 0-100V/1.746 12V/10A/0.033

113VA 3000g 0-100V/3.1 700VCT/100mA/298 6.3V/4.5A/0.054 5V/3A/0.078

109VA 1500g 0-100V/4.0 0-320V/200mA/102 6.3V/2.5A/0.182 6.3V/4.7A/0.105

106VA unkn 0-100V(2.37)-110 100VCT/1A/3.25 6.3V/0.5A/0.54 25V/0.1A/2.05

100VA 2600g 0-100/3.72 0-50V/2A/1.38

100VA unkn 0-100-120-140V/3.35 2000VCT/50mA/2080

97VA 2800g 0-100V/2.41 540VCT/100mA/180 6.3V4.2A/0.053 15V/1.1A/0.49

97VA 2080g 0-100V/3.01 0-135V/0.47A/13.44 6.3V/5A/0.049 30V/30mA/4.96

93VA 3000g 0-100V/2.67 550VCT/130mA/258 6.3V/3.4A/0.085

91VA 1800g 0-90-100V/3.8 700VCT/80mA/334 6.3V/3.5A/0.076 6.3V/2A/0.14

78VA 2900g 0-100V/2.92 600VCT/80mA/278 6.3V/4.7A/0.045

75VA 2400g 0-100(w)/3.3 235VCT/320mA/17.1

71VA 1530g O-100V/5.48 560VCT/70mA/316 6,3V/2A/0.167 6.3V/3A/0.107

69VA 2360g 0-115/4.04 1150V/60mA/512

69VA 1840g 0-100V/3.72 32VCT/0.8A/1.272 32V/0.75A/1.225 21V/0.9A/0.735

66VA 1840g 0-100V/4.18 12V/5.5A/0.087

62VA 1780g 0-100V/4.83 300V/80mA/139 6.3V/5.1A/0.042 1700V/3mA/6644

60VA 2000g 0-100V/4.7 3V/20A/0.006

56VA 1610g 0-100V/5.27 140V/0.4A/16.09

47VA unkn 0-100V/6.07 230V/110mA/110 21V/0.45A/2.86 6.3V/1.8A/0.203

42VA 1300g 0-100V/5.85 155V/50mA/110 36VCT/0.6A/2.7 7.5V/1.5A/0.24 6.3V/0.24A/1.22

41VA unkn 0-100V/6.47 280V/0.1A/107 6.3V/2A/0.214

38VA 1050g 0-100V/8.92 6.3V/6A/0.045

34VA 1270g 0-100V/11.4 580VCT/35mA/1011 6.3V/2.2A/0.218

31VA 1140g 0-100V/14.61 500VCT/30mA 6.3V/2.6A/0.148

26VA 1080g 0-100V/16.4 120V/0.11A/55 28VCT/0.45A/3.8

25VA 760g 0-90-100V/16.9 6.3V/2A/0.18 6.3V/2A/0.195

18.5VA 990g 0-100V/8 38VCT/0.35A/4.6 19V/40mA/10.7

16VA 1000g 0-88-115V/29,4 0-215V/0.03A/476 6.3V/1.5A/0.3

15VA 700g 0-100V/20.1 0-250V/20mA/576 6.3V/1A/0.332 6.3V/0.6A/0.5

15VA 480g 0-100V/35 0-30V/0.5A/5

14.5VA 630g 0-100V/19.1 0-28V/0.4A/2.34 0-18V/0.1A/6.1 0-30V/0.05A/10.1

14VA 400g 0-100V/45.7 9.4V/1.5A/0.606

7.4VA 320g 0-100V/54.1 13.8V/0.45A/2.507 12V/0.1A/4.8

7.2VA 290g 0-90-100V/84 0-24V/0.3A/5.2

6VA 1200g 0-100V/60 0-600V/5mA/1420 6.3V/0.5A/0.58

4.8VA 320g 0-115V/336 12.3V/0.45A/6.7

4.8VA 170g 0-100V/154 0-24V/0.2A/12

2.3VA 290g 0-100V/57 38VCT/60mA/38

400mVA 123g 0-100V/690 20V/20mA/53


前書き


 詳しい人は直ちに気付くと思う。私はこの方面に関してアマチュアに過ぎない。

 専門家は中古トランスの再利用の為に電流容量非表示の許容電流を推定するなんてアホな時間潰しをするワケが無い。メーカーが販売している新品を発注するか、きちんと仕様を指定して特注する。

 また専門家はこういうことに関して該博な知識を披露することも絶対にして呉れない。

 仮に自分が例えばトランスのプロだったとしよう。何かを言う為にはあまりに細部のことは一応端折って言わねばならないのが普通だ。あまり細かいと書くほうも大変だが読むほうだって大変だ。だが、端折ってしまうと、すぐ細かいところで詰まらない突込みを入れる輩が出てくる。そういう手合いに応答するのも面倒である。何もシロートに教えて得られるメリット等全然無い。

 プロが以上のように考えるのは分る。だがこれがシロートにとっては困るのだ。だから已むを得ず、浅学菲才を顧みず書く。世の中は知識が浅くともフットワークの軽い者が必要なのだ。

 こうして書いているのに個別のトランスについて聞いてくる人がいる。折角考え方や計算方法を紹介しているのだ。オンブにダッコの質問には付き合いたくない。自分でやり、失敗したら自分で尻拭いをする、という気構えが無ければホビーの上達は期し難い。かつて健筆を揮われ今は書かなくなってしまった或るライターの “やりたかったら自分でやりなさい” は私にとって感謝とともに想い出す終生の鞭撻だが、私も聞かれたら同じことを言う。 




 電源トランスは二次電圧が一つだけなら許容電流を推定するのはさほど難しくない。他のトランスと比較したり場合によっては実際に負荷試験をすることだって困難ではないからだ。しかし、二次が複数となると途端に難しくなる。これから先の記述は二次電圧が複数有る場合の許容電流を推定しようというものだ。

 さて、アンプを作る諸兄なら電源トランスを最低でも数個くらいは持っているだろう。電圧と電流が明示されているトランスのDCRのデータを、単に頭の中に記憶しておくのでなく、例えばエクセルのような一覧表形式に記入すると分りやすさが随分と向上する。表形式のデータを作ってみると巻線の1ボルトあたりの抵抗値と取り出せる電流には密接な関係が有ることが分る。だがそれは固定的なものではなく、トランス全体の容量によって大きく変動することが知れよう。

 例えばヒーター巻線を見て同じ 6.3V/2A としてあっても 500g、2Kg、4Kg のトランスではDCRは全く違う。しかしながら良く考察すれば、たいしてデータの多くない一覧表と以下に示す計算によって未知のトランスに出合っても大きな間違いがなく推定し得る。

 以下の計算ではトランスの全体の容量を推定するのが重要としている。全体の容量を推定し、次に計算で得た結果に拠って各巻線に振り分けるが、その計算結果にあまり強く縛られなくてよい。電圧電流が明示されたトランスを使う場合においても、全ての巻線の容量の大部分を使うなどの使用例は稀であろう。或る巻線で二割や三割程度オーヴァーしても、全体として表示容量の範囲に収まっていれば問題無い、というのがホビーの大先輩達の意見だ。最近はあまり見ないが古い製作記事では部分的に容量を超えてるような使用例はしばしば見たものだ。

 アバウトと思われるかも知れないが、こんな考えでさして問題は無い。だいたい、設計の段階でギリギリの決め方をしているのではなく、多少は余裕を見てるぐらいは想像つくではないか。

 このようにして知り得たトランスを使った場合、表面温度は通電後指で触って確かめておきたい。出品されれば必ず高額になるラックスの真空管アンプのトランスは夏季には熱くて触れられなかった。あれで見るとコゲクサイ臭いがしなければ一応は良しとしていいのかも知れない。測定器を持たずにアンプを組み上げる人はせめて、異常音、ニオイ、変色が無いかは注意しよう。


(測定法)


 先ず巻線のDCRを測る。高圧巻線はテスターで分かるが一次巻線は中型以上ではDCRが少ない。二次側の低圧巻線は更に少なく100mΩ未満の場合も多いのでケルヴィンブリッジ(わが国ではダブルブリッジと呼ぶ習慣)か低抵抗計で測る。中級以上のディジボルでは四線式という方法で低抵抗が測れる。低抵抗が測れないと以下の計算が出来ないのでこれ等を入手するか、巻線にDC電流を流してその電圧降下を見るなどの工夫によって何としても測れるようにする。

 インターネットを見ていると低い抵抗の測定法は多くの人が書いてくれている。きめ細かさに欠ける私の記述よりもそちらを読んで欲しい。

 次に供試トランスの全体の容量を推定する。これは一次巻線のDCR(以後Rpと言う)と及び二次巻線のDCRを一次の電圧で換算した値(以後Rsと言う)の合計で推定することになる。重量は同じ容量でも物により二倍もの大差があるので補助的要素と考える。


計算実例/その1


 トランスの二次巻線が複数有る場合のそれぞれの電流容量を推定してみよう。

 下記のようなトランスを例に取る
 バンド型 重量:3030g
  一次:0-115V(Rp=2.24Ω)
  二次:630VCT (74.1Ω)
     6.3V(40ミリΩ)
     5.0V(40ミリΩ)

 二次巻線のそれぞれの電圧とDCRをを一次電圧に換算して置き換える。これは “銅損” を計算するときの良く知られた式だ。
 
   (115/630)^2×74.1=2.47
   (115/6.3)^2×0.04=13.33
   (115/5)^2×0.04=21.16  

 この3巻線は一次側から見れば並列なので、全体としては 1/{(1/2.47)+(1/13.33)+(1/21.16)}=1.896(Ω)となる。

  即ち先に述べた Rs は 1.896Ω となる。

 各巻線の電力容量は上記の各抵抗値に反比例すると考える。これは直感的にかなり分りやすくはないだろうか? 以下の計算から 630V巻線は全体の76.8%、6.3Vは14.2%、5Vは9%となる。 

 1.896÷2.47=0.768
 1.896÷13.33=0.142
 1.896÷21.16=0.09

 ここで全体容量をRpとRsの和から120VAと決める。

 この決め方は冒頭の一覧表を参照して欲しい。

 630V巻線の容量は120×0.76.8=92(W)となりブリッジならAC146ミリA、センタータップ両波整流ならDC146mA程度と考えられる(メーカーによりこれより多い計算が有り、この箇所は検討中)。 同様にして6.3Vは2.7A 5Vは2.2Aとなる。

 全体の容量を120VAとするのが不安ならば下げればよい。各容量は同じ割合で下げれば良いだけだ。

  計算では全体容量の推定が重要だ。多くのトランスのRpとRsのデータの蓄積が有ればそれは容易だ。それを考慮して冒頭に一覧表を出している。

 電圧/電流/DCRが分ってる場合、電流あるいはDCRのいずれか一つを未知と仮定して計算練習を繰り返しているとだんだん精度が上がってきて未知のトランスに出会っても大部分推定出来るようになる。


計算実例/その2



 その1では直感的な分りやすさを重視して計算が長くなってしまったが、実はもっとラクに出来る。それを以下に示す。

 630^2/74.1(即ち二次電圧の二乗を直流抵抗値で除する)=5356
 6.3^2/0.04=992
 5.0^2/0.04=625

 以上の和を求める 5356+992+625=6973

 630V巻き線の容量は5356/6973と考えればよく、答えは0.768となる

 同様に6.3Vは0.142 5Vは0.09  となって その1と同じになる。

 後はその1と同じようにやれば良い。



補足1、RpとRsは等価的に直列となり、その和(以後Rcと言う)とトランスの許容全負荷(抵抗値で示され、以後RLと言う)との比はトランスの大小により変動する。我々アマチュアが扱うものはRc:RLが1:20くらいが大部分だがその辺りを中心に大きく動き小型のものは1:10未満、大きいものでは1:50以上にもなる。その関係をまだ把握出来ていない。実用的に問題ない関係が分り次第記述に追加する予定だ。

補足2、計算実例/その1では Rp>Rs だった。米国製のトランスは意外にこのタイプが多い。国産は普通はRp<Rsの場合の方が多い。また、Rp≪Rsの場合もある。これは一次側が単巻きのステップアップに使われるような場合にしばしば見られる。

補足3、実際に使用される電流よりも計算で得られる電流容量が5割も大きいような場合は少なくない。これは米国の測定器から外したトランスにしばしば見られる。トランスのみならず真空管やその他の部品においても甚だしく余裕を持たせた使い方に出会うことが少なくない。例えば5Y3で間に合うのに5AR4を使ったり、プレート損失20Wも有れば十分のところに6550を使ったり等の例は何度も見た。国産や欧州のものではそのようなことは少ない。

補足4、トランスの容量の表示にはメーカーによってVAと有ったり、Wと表示したりあるいは記載が無かったりする。理由は分らない。

補足5、唐突に 銅損 なる術語を持ち出して誠に申し訳ない。実はトランスには 銅損 と呼ばれるものが存在するが、加えて 鉄損 というものも有る。これがなかなかどうして、決して少なくないのだ。
 鉄損は負荷によっては変わらずサイズで決まる。つまり大型になるほど増える。と言って小さいのを使うと温度が上昇し銅損が増える。かくしてオーディオというのはCO2削減に非協力的なホビーなのである。 


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gm測定説明の補足

2019年05月10日 | 測定/オーディオ

 gmの測定原理について補足


 タマの内部抵抗rpと負荷抵抗RLは何故並列か。

 真空管の増幅回路では A=gm×(タマの内部抵抗rpと負荷抵抗RLの並列合成抵抗)という式が何の説明もなしに普通に出てくる。

 全日本真空管マニュアル(ラジオ技術社)にも説明なしで出てくる。

 大学でエレクトロニクスをやった人には説明不要で通り過ぎることが出来るが、普通の人はここで躓くと思う。

 だって回路図はどうみても負荷と真空管の内部抵抗は直列になってるように見えるではないか。

 真空管回路を分からなかった私も此処で躓いた。

  確かに負荷と真空管の内部抵抗は直流的には直列だ。

 だが、交流的にみると、負荷及び真空管に行く電源はDCであって、それは若干の出力インピーダンス(低抵抗が直列に繋がってるとイメージすれば良い)はあるものの、一応ゼロと見なす。つまり、アースと見なすのである。

 真空管のカソードもアースまたはアースに近いし、直流電源もアースと見なせるので、結局真空管の内部抵抗と負荷は並列となってしまうのだ。


 エレクトロニクスでは直流的にはとか交流的にはという表現がよく出てくるのでこれは慣れていただきたい。

 

 

 電源インピーダンスとは何か

 電源から電流を取り出すと電圧は通常下がる。

 これは電源に直列に抵抗が繋がってると考えることが出来る。

 真空管回路で低抵抗をプレートに負荷し、抵抗に現われる電圧をプレートで測ると負荷抵抗と電源が持つ抵抗の併せたものを測ることになる。これはまずいのだ。そこで誤差が大きくならないように負荷抵抗は大きいほうが望ましいが、そうなると内部抵抗が低い球の場合にめんどくさくなる。

 

 余談だが、球のアンプは電源インピーダンスが高いほうが音が良いという人がいる。勿論ケミコンをどんどん増やして低くしたほうが良いという人もいる。


 この辺はお好きにやって下さいという他ない。

 

 

 

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インダクタンスと限界電流値が未知のチョークの測定法

2018年11月19日 | 測定/オーディオ

8800g 7H 700mA   35Ω
5300g 10H 400mA  31Ω
5120g 20mH 15A  11mΩ
3540g 10h 300mA  63Ω
3230g 5H  400mA  55Ω
2040g 630mH 800mA 10Ω
2010g 320mH  1A   3Ω
2350g 10H 250mA 117Ω
1900g 10H 200mA 150Ω
1610g  5H  250mA 80Ω
1100g 10h 130mA 165Ω
980g 10H 125mA  250Ω
930g  10h 100mA 230Ω
510g  20H 50mA  430Ω
440g   5mH  3A    3Ω
390g  100mH 0.5A  4Ω
290g  20mH  1A 638mΩ
150g  1H  150mA  24Ω




インダクタンスと限界電流値が未知のチョークの測定法



 平滑用チョークのインダクタンスと限界電流値を測ることは原理そのものは難しさはありません。DCを流す測り方も電流が小さい場合は普通のブリッジでも可能です。然し、電流が大きくなるに従って困難さが著しく増大します。専用の測定器がかつて米国GR社によって製造されましたが、ブリッジ部、200Wの電力増幅器、強力なDC電源の三点セットから成り、重量も150Kgに達する猛烈なものでした。その他のメーカーからも大掛かりなものが出ているようですが、ひどく高価なものです。此処は薀蓄を披露する場ではなく、アマチュアが絶対入手出きないものを知っても意味が無いので詳細は省略します。以下は物量と資金にごくごく低いレヴェルでの限界が有るアマチュア向けの測定法です。

簡便測定法/直列比較法

 

1、インダクタンスと電流値が不明のチョークLxとそれらが既知で電流値がLxより大きいことがハッキリ分っているチョークLsを直列に接続して100Hz(60Hz地域では120Hz)の脈流を加えます。
2、LxとLsそれぞれに発生する交流電圧を2CHミリバルで比較します。交流電圧の比はほぼインダクタンスの比を示します。交流電圧の測定は出来る限り2CHミリバルが望ましいです。測定値よりも二つの指針の開きの変化を見るのが視覚的に分りやすいのであります。
3、LxとLsに発生する交流電圧は当初は比例関係を保ちますが、電流を増やしていくと、許容電流の小さいほうが先にマイッて(磁気飽和して)、その比が大きく変わります。この時2CHミリバルの二つの針の角度が大きく変わります。これによりLxの限界電流値を得ます。

 鉄心が入ったチョークは電流だけでなく加わる電圧でもその値が変動します。表示する基準が厳格に定められていないのなら大きく(良く)表示する余地が有るわけです。市販されている平滑チョークのインダクタンスと電流値の表示を調べるとメーカーにより甘辛が有り、どうやら表示の基準が各社同一ではないようです。そこで前述において辛めのタムラ、東立などのものを選んでそれとの比較で表示するほうが実際的です。
 一般的に言ってどんな分野でも、老舗のメーカーは控え目に表示し、後発のメーカーは目を惹くように表示することが起こりがちなので、経験有るユーザーはそのことを予測し、カタログ数値のみで比較することは有りません。

補足1:平滑チョークは、PP用の出力トランスに比べれば、コアにギャップが有るためにLの変化は随分小さいので(シングル用OPTの一次インダクタンス変化が小さいのはそれです)、直流を流さない測り方でも大雑把になら予測することは出来ます。そこでごく簡単に前以てLをブリッジ(或いは他の方法で)で測っておきます。ついでに重さとDCRを測ればどれくらいの電流を流せるかはあまり酷い誤りが無い範囲で予測出来ます。直列比較法ではLxよりは限界電流の多いLsを用意しますが、万一LsよりLxの限界電流が大きい場合は更に電流の大きいLsを用意するか、Rで代用します。Lsの替りにRで代用するのはLxの電流が大きいときは案外面倒なので、なるべく電流の多いLはLs用にとっておきます。

補足2:平滑チュークに流せる電流を上記説明とは全く無関係に巻き線の抵抗値が20%増加(すなわち巻き線温度上昇)する電流値によって限界を推定する方法も有ります。こちらの限界が上記説明文より低い場合はこちらを採用すべきです。


 以下にも別法を示しますが、いずれも限界電流値を得るのがやや面倒です。

補足3:適当な脈流を用意し、そこに、試料によるパイ型フィルターを作ってフィルターの前と後とのリップルの減衰比を知り、それが1/(ω^2LC)であることからLを求める方法は有効な方法です。メーカー製の表示と近似させる為には測定条件も近似させる必要が有り、その為には脈流の電源電圧と負荷抵抗の両方を調整出来るようにする等の特別の工夫が必要です。これが案外面倒なのであります。




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gm測定をやって気づくこと

2018年11月06日 | 測定/オーディオ
 
 gm測定をやってるうちに気づいたことがある。gm測定は原理的な難しさは無いが、真空管回路や交流理論の基本の基本がわからないと、思わぬミスをしてしまうのでオーディオ製作しかやらない人にはハードルは低くない。


 さて、ごく少数ながらTV7やTV2(基本的にTV7のゴージャス型のようなものでメーターは多いが原理はオーソドックスではない)に拠らない測定をして、売ってる人もいるようだ。


 交流的な測定をせず、DC的のみの測定で済ませている人がいて、これまではそれでは不足のように思っていたが、近頃では実用上はそれで十分と思うようになった。

 それは与えられた成極電圧で十分な電流が流れている状態ではgmも不足が無い場合が殆どであり、実用上はgmのテストかDC電流のテストをすれば良い、いいかえるといずれか片方の測定をすれば足りるのだ。


 然るに世の真空管測定器がgm表示としているのはなぜだろうか。

 真空管はパワー管ならばバイアス電圧も大きいが、電圧増幅管では小さいものが少なくない。ここで2ミリモーの真空管を測定しようとすると1V変化させても2ミリAしか動かないが、そもそもバイアスの小さい球のバイアスを1Vも変化させて良いのかという疑問もある。バイアスの変化をより少なくするためにはより微小なDC電流の変化を検出せねばならない。測定器を精密に作ったのでは機器が複雑化、大型化する。

 それだったら、変化分はトランスを使い交流分を測定したほうが簡素化、小型化できる。


 おおかた以上のような事情によるものだろう。それでもgmの小さい球では過大入力にしなければならないのだ。だからマニュアルには測定は短時間でと書いてある。







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未知のトランスのインピーダンスの推定方法

2012年04月01日 | 測定/オーディオ


未知のトランスのインピーダンスの推定方法/2010.5.20改訂

未知のトランスのインピーダンスの推定方法/2009.11.20大改訂

 この種の解説は知識の深い人はやらないものです。本当によく知ってる人は更に良く知ってる人を知っておられる為でしょうか。或いは単に面倒くさがりかも知れません。然しこれは初心者にとっては大いに困ることです。初心者は広範でなくてもよいからせめて取っ掛かりの知識ぐらいは得たいのです。そこで表題の件ですが、これまで、この件の記述を見ることが殆ど無かったので、仕方なく私奴が浅学菲才を顧みず記述することにしました。
 私の至らない解説でも 参考になる と言って下さる人が存外に多いのが経験的に分かっているからです。世の中は私のように知識は浅くとも、フットワークの軽い人間が必要です。尚、他の方が記述しているような部分は記述せず、記述の見当たらない部分についてのみ述べます。
 
 先ず一次と二次の全てのタップの巻数比を調べ、次に巻線の直流抵抗(以後DCRという)を測ります。DCRが低い場合は低抵抗専用のケルヴィンブリッジ(わが国ではダブルブリッジと言うことが多い)もしくは低抵抗計で測ります。尚、中級以上のデジボルなら四線式プローブで低抵抗を測れます。

 ちょっと待った。そもそも一次と二次すらもハッキリしないトランスが有るではないか?ごもっとも、ごもっとも。

 こういう場合は巻数比とDCRの比の違いを見るのです。例えば、巻数比が1:2だが、DCRが100:180であったとすれば、180Ωのほうが一次であることがハッキリしますよね。


 こうして巻数比とDCRを得た後、当初は二次側DCRの20倍程度の抵抗を二次側両端に接続します。

 ここで一次側巻線のインピーダンスをブリッジで測ります。一次側に現われるインピーダンスは二次側に接続された抵抗と巻き数比の自乗との積に近似した値となる筈です。真空管の出力トランスはこのような計算で得た値と公称インピーダンスはほぼ一致します。


 さて、当初二次側にはDCRの20倍程度の抵抗を接続しましたが、ここで二次側抵抗をDCRの10倍にした場合どうなるかと言えば一次側インピーダンスは当初の半分よりは少し多くなります。即ち比を小さくすると一次側インピーダンスは計算で得られたものより大きくなります。比を小さくするに従い計算で得られるものとの違いは増大します。


 トランスはパワー伝送だけとは限らず、それ以外の目的に使用される場合も多いので、巻線抵抗の二倍とか三倍程度のインピーダンスとして使われる場合も多いものです。
このような場合はレシオによる計算とは懸け離れるので実測します。(実測以外の方法が有るかも知れませんが、私は知りません)。


 一般的に以下のように言えます。即ち、DCRに比しインピーダンスを高くとるほど損失が減る。一次と二次のインピーダンスの比は計算と良く合う。
 高域は伸長し低域は出なくなる傾向にあるが、トランスをドライブする電源の出力抵抗が大きく影響するので一概に言えない。尚、低域は出力抵抗と一次側のインダクタンスとの比で決まる。

 逆にDCRとインピーダンスの比を大きく開かないとその程度に従い、損失が増え、周波数特性は低域にずれる。計算との違いは大きくなる。

 以上のように見てきますと、インピーダンスの決定法はどうやら曖昧になりそうです。事実私が得た結論は、トランスというのはかなり自由に使えるもので、測定さえ出きるのなら目的に応じて使って良い、即ち、トランスをドライブする信号源の出力抵抗と回路で求める周波数特性を考慮して使えばよいということになります。


 仮に測定出来ない場合は(測定器無しでホビーをやるのは灯火無しで暗夜を歩くものと思いますが)、信号伝送だけならDCRの五倍くらいまでにしたほうがよいだろうと思います。

 以上の説明のうち、定損失の計算方法は武末数馬先生畢生の名著 パワーアンプの設計と製作 に詳述されています。然し、この本は古書店ではなにぶんにも高価(2万円は下らない)ですのでわざわざ求めずとも、親切な人がネット上でアンプの設計を詳しく解説しておられます。それを読んで下さい。“定損失”で探せば有ります。



 参考:ここでラックスのOYシリーズを取上げてみます。このシリーズは細い線を巻いている為かDCRが多く、OY15-5(K型ではない)はP-P間で330Ωも有ります。二次側巻き線もDCRが有り、通常一次側のDCRと同じくらいの等価DCRが有ると見てよくそれは一次側に直列に有るものとして換算します。計算式は二次側DCRにインピーダンスの比即ち5000/16を掛けたもので、両方あわせた併せたDCRは700オーム近くになるでしょう。

 これが通電時は温度上昇によりもっと増えるので定損失は0.7dB(15%くらい)になります。OY14シリーズなら0.9dB(19%くらい)の定損失でした。OYシリーズのあの大きなインダクタンスは大きいDCR(従って大きな定損失)と不可分のものです。これ等は多い場合ですが、こうして15%から20%近くの損失になるように設定しても誤りとまでは言えません。ただ、当今は定損失を低く抑えるのが主流ですので、出来ればタムラやかつてのタンゴみたいに低く抑えたいものです。そういう場合は一次と二次を一次換算したDCRの和の15倍以上に設定すれば定損失は0.3dB(7%くらい)にすることが出来ます。よく、製作記事等でOPT二次側16Ω端子に8Ωを接続する場面が出てきますが、それは定損失を増大させる使い方というのは以上の説明でご理解頂けましょう。と言ってもどっちみち損失は避けられないのであまり過大でなければ気に病む事ではありません。



















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大容量ケミコンの容量測定方法

2012年04月01日 | 測定/オーディオ

大容量ケミコンの容量測定方法

 普通のブリッジは測定出来る容量の上限が1000マイクロ辺りで、それ以上のものを見かけるのは稀です。1000マイクロFは1Khzで0.16オームのインピーダンスしか無く、しかも損失が他のCに比べれば格段に多いので指針が最小になる箇所がボンヤリしている等が加わり、測定作業自体が結構面倒です。加えて、容量のチェックのみならず、リーク電流もチェックする必要が有ります。もともと、ケミコンというのは電子部品のなかではかなり問題の有るもので、いくらブランドものの未使用品でも、古くなったらチェックして使う必要があるのです。実を言うと、オイルコンも安心は出来ません。要するにコンデンサーというものは買ってから日がたったらチェックして使うものであります。リーク電流のほうはネットを見てますと上手な測り方を発表してる人がおられますので参考にして下さい。いずれにせよ結構時間の掛かる面倒なものです。

 容量のほうは、ブリッジ法でなければ、その測定自体は諸兄の所有する測定器(発振器とミリバル)でも可能なので上図に紹介します。
 
 ヴェクトルインピーダンスメーターの測り方と同じで、この方法だと、大容量ケミコンの容量チェックは容易です。出力が10V以上ある発振器なら10Vに調整すれば1000マイクロは100mV、10000マイクロは10mVとなるので測定は更に容易になります。容量は1/(2πFC)で計算しなければなりませんが、周波数を16Hzにすれば2πFが分かりやすい数字になるので計算は簡単です。このやりかたで中容量ケミコンも測れるのですが、その場合は周波数を160Hz、1600Hzというふうに変えねばなりません。尚、小さい容量になりますと、測定リードの容量が並列に効いてきますので限界があります。この方法は回路中のケミコンを外さなくても測れるので(アースに落ちてる抵抗などが並列になるので正確さは少し低下する)便利です。


 掲載図の方法で 抵抗を1KΩ E1を1Vとし、Cの単位をマイクロFとすれば、

 f=15.9Hzで E2=10mVならば Cx=1000マイクロF  E2=1mVならば Cx=1万マイクロF

 要するにE1と抵抗値を読み取りやすいように設定すれば、Cxは逆数で直読できるわけです。

  周波数の設定がかつてはややネックでしたが、近頃は安物のデジボルでもFカウンターが付いてるので問題ないでしょう。



           







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トランスの巻き数比チェック

2012年04月01日 | 測定/オーディオ

巻き数比チェック用の高出力発振器

 トランスの巻き数比を調べる場合、一次側をドライブする電源(普通はCR発振器)の出力抵抗によって巻き数比が変動するように見えます。これは電源の出力抵抗とトランスの一次インダクタンスが関係しあうからで、一次インダクタンスが低いのに出力抵抗が高いのは誤差の原因になります。

 これを解決するには出力抵抗の思い切り低いCR発振器が有れば良いのですが、本機はCR発振回路の後ろに電力増幅器がついていて、出力を10V(最大)にして負荷を4Ωまで下げられます。3Ωにするとシャットダウンします。つまり25Wの出力があるわけです。

 この発振器を使い周波数を十分高くすればトランスの一次インダクタンスが小さい場合でも不都合は無いので便利に使っています。

 ジェネラルラジオ社からは出力インピーダンスを高いほうからごく低いほうまで変えられる発振器が出ていますが、トランスやチョークを測るとき必要なものでしょう。


 

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菊水ミリバルの調整法

2012年04月01日 | 測定/オーディオ
菊水ミリバルの調整法

 菊水のミリバルの調整法は最高感度が1mVフルスケールのものは型番が違っても同じなので、下記の要領でやれば良い。こういうものはフルスケールの2%の誤差は許容されている。一度合わせれば滅多に狂わないので何度もやる必要は無い。定期校正というような話は、業務用の世界のことでアマチュアには必要ない。

 尚、ミリバルは同じ感度のものならばどのメーカーのものも基本的に同じ構成なので、以下と全く同様の方法で調整出来る。

 最高感度が100マイクロVや10マイクロVと言ったものは様子がガラリと変わるのと、調整用ポテンショが何倍にも増えるので触らない方が無難だ。

 下記は菊水の164D、1633に共通で、164Eと1653の場合は 30mVを50mVに、1Vを1.5Vにすれば良い。

1、電源電圧を25Vに調整。電源近辺にVRが有る。
2、400Hz30mVを入れ、RV301を調整してフルスケールに合わせる。
3、1Mhz30mVを入れ、RV301近くのCを調整。
4、400Hz1Vを入れ、入力端子近くのVRを調整してフルスケールに合わせる。
5、40Khz1Vを入れ入力端子近くのCを調整。
6、本当は出力増幅器もメーターがフルスケールを指示したときに、1Vを出力するように合わせるのだが、実際にはこの出力を定量の為に使用することは稀有と思われる。使用する人は合わせておけば良い。

 経験的に言えば、周波数特性のCは弄る必要が無い場合が多い。






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未知のトランスの測定方法

2012年04月01日 | 測定/オーディオ
未知のトランスの測定方法


 さて、別記の 未知のトランスのインピーダンスの推定方法 で見当をつけたトランスを実際に測定してみます。

トランスは二次側両端に抵抗をシャントすれば、一次側にインピーダンスが現われます。これはブリッジで測定し、仮にZpとします。

次に出力抵抗の既知の発振器を用意し、その出力に直列に抵抗を入れ、出力抵抗と抵抗の和がZpになるようにします。

こうしておいて トランスの一次と二次の電圧を測定します。

 ミリバルで測定すれば周波数特性が分かり、ヴェクトルインピーダンスメーターなら周波数によるインピーダンス及び位相特性が分かります。オシロ或いはスペアナなら周波数特性と位相特性が分かります。ゲインフェーズメーターHP3575Aでも測定できます。これはゲインがdBで、位相特性が0.1Deg単位で表示される測定器です。

 

 仮に一次対二次の巻き数比(電圧比)が30:1のトランスが有るとし、二次に8Ωをシャントすれば、一次側は計算の上では7200Ωに近いインピーダンスに
なります。然しながら実測すると計算で得られる値と著しく異なる場合があります。これはDCRとインピーダンスの比を大きく開かない場合に起こります。

 電力の伝送ではトランスでの電力損失が過大では困るので、DCRとインピーダンスの比を大きく開くのですが、単に電圧を伝えるだけの場合はDCRの二倍とか三倍程度にしか開かない場合が有ります。そのような場合は計算で得られる値と実測とは大きく違います。例えば計算では5KΩくらいでも実測では10Kを越えるというようなことが起こります。

  


未知のトランスの測定方法/簡便法


 以上がまぁまともな測定法です。でも考えてみると、実装されたトランスをドライブする電源(通常は真空管)はZpよりずっと小さいインピーダンスであることが多いです。近頃大流行した超三結に至ってはZpより著しく低いインピーダンスでした。こういう現状を見れば一次側に整合抵抗を入れないで測定するのがむしろ、現実に近いと考え、整合抵抗を省略し、発振器出力を直接一次側に入れます。こうすると測定が多少ラクになります。

 Zpよりも小さい出力インピーダンスでトランスを駆動すると、正規の測定法で測るより低域が伸長します。逆に高域は減衰します。これは初心者にハードルの高い高域補正が必要なくなるか、僅かで済むので“良いことずくめ”と言ったほうが良いでしょう。
 




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ラックスの三極管アンプ

2012年02月18日 | 測定/オーディオ
ラックスの三極管アンプ

 実を言うと私にとってこのメーカーのイメージは良いものではなかった。

 38Fdではロータリースウィッチの不良は多かった。また38Fdに限らずラックスのトランスの事故率は酷いのだ。

 永い間、トランスは音は良いかもしれないが、使ってる材料は悪いのだろうと思っていた。

 然し、後になって、事故の主たる原因はカップリングCと分った。
(こうは言ってもトランスの材料や製造法への疑問が解消したわけではない)。

 これが悪い為に、絶縁不良となり、バイアスが浅くなる。

 三極管の場合は多極管のように飽和しないので、電流が流れ過ぎる。そうでなくてもDCRの多いトランスがダメになったという訳だ。

 ラックスの三極管アンプを持ってる人は、もし、カップリングCがオリジナルのままだったら、測ってからなどと言わず全て交換したほうが良い。

 38Fdの場合はB-P1とB-P2の電圧降下が6Vになるよう調整すれば良い。このVRの貧弱さも気になるところではあるが、所詮民生機なのでとやかく言っても始まらない。

 
 旧くは伊藤喜多男氏の回路をみると、プッシュプルではパワー管一本ごとのカソードバイアスになっているがあれはやっぱり良く出来てると思う。





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ケミコンのリークテスト

2012年02月17日 | 測定/オーディオ

 ケミコンテスターというものの自作記事があるが、工作は面倒くさいという人も多いだろう。めんどくさがりなら大抵の人に負けない私なので、めんどくさくない方法を考えた。世のめんどくさがりの諸兄の参考にしたい。

 図で説明する。

1、定電圧電源の正の端子とケミコンのプラスをリードで接続する。
2、ケミコンのマイナスにディジボルのプラスのリードを繋ぐ。ディジボルのレンジはDCVにしておく。
3、ディジジボルのマイナスのリードは定電圧電源のマイナスに接続する。
4、ケミコンに電圧を掛ける。
5、このときディジボルの電圧を読み取る。

 ディジボルは大部分のものが入力抵抗10MΩである。そこにケミコンからのリーク電流が流れれば或る電圧を表示する。

 試みに350V/11000マイクロFのケミコンに120Vを掛けたところ、ディジボルは115Vを表示した。つまり、11.5マイクロAのリーク電流が有ったことになる。

 ここで、何でディジボルを電流レンジで使わないか?ということだが、電流レンジを使うのは兎角壊すもとだ。これでデジタルテスターを駄目にしてしまう場合は多い。やめておいたほうが良いと思う。

 ディジボルの替わりにテスターでも、勿論構わない。テスターはレンジによって入力抵抗が変わる。例えばヨコガワの3201は100kΩ/VDCだ。120Vレンジでは12MΩだが、300Vレンジでは30MΩになる。いちいち考えるのが面倒な人もいると思う。これがめんどくさくない人はアナログテスターでも良い。

   

 定電圧電源の入手がハードルが高いという人は少ないと思う。私はこういうものは殆どヤフオクで買うが、慣れてくればどういう相手から買えばよいかは分る。高圧のものはどうしても高くなるが小型のものなら15000円を超えることは殆ど無い。まぁだいたい10000円以下で入手できる。安心出来るものを格安で、というのは矛盾が有るので、初心者は考えないほうが良い。

 要らなくなったら売り飛ばせばいいのだから、実際に掛かる費用は自作より安いくらいだ。

 

 
















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低抵抗の測定

2012年01月17日 | 測定/オーディオ

 先日ヤフオクを見ていたらヒオキの低抵抗計の出品が有り、それにはメーカー独自の専用プローブが付属していなかった。それを買えば10000円くらいはすると思われるのでそれを考慮すれば、本体への入札はせいぜい10000円程度かと思ったが、落札価格は3万円を超えていた。随分高い買い物と思う。

 この種の測定器はさほど使用頻度が高くないし、これが無いと困るというものでもないので、以下に替わりの測定法を紹介する。

 近頃の安定化電源は定電圧(CV)として使えるが定電流(CC)としても使えるものが多い。ヤフオクに出てくるのはキクスイのものが多く、キクスイは取説をウェブサイトで公開しているので、定電流としての使い方もウェブサイトで知ることが出来る。こうして測りたい部分に予め分っている電流を流す。抵抗値に応じた電位差が生じるのでそれをディジボルで測れば良い。つまり試料のプラス側に二つのワニグチ、マイナス側に二つのワニグチをくわえ込むわけだ。面倒のようだが、出来なくはないし、ダブルブリッジの測定も同じく四つのワニグチが要るのである。

 安定化電源の替わりに定電流電源を使えれば、電流値を設定する手間がほんの僅か少なくはなる。定電流電源は人気が無いので安く買える場合が多い。

 試料に流す電流は少ないほど温度上昇も少なくなるが、ディジボルの感度が要求される。試料の耐電流容量とディジボルの感度を考慮しながら決めればよい。通常、低抵抗の部分は電流を多く流せる場合が多く、100mAくらいなら何でもない場合が多い。1Aでもへいちゃらの場合が少なくない。これでパワートランスのヒーター巻き線などは5Aくらいの容量のものでも普通に測れる。

 正確さが気になるかもしれないが、もともと低抵抗を測る専用の測定器でもプローブの接触抵抗が有って、正しく測るのは難しいのだ。それに抵抗値そのものが周囲温度で動くものなので、あまり厳格に考えても意味が無い。上記の方法で普通に2%くらいの誤差で測れる。




 
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NFの発振器の歪を測る

2012年01月09日 | 測定/オーディオ




 以前NFの発振器の歪を測ったとき、広帯域であるにも関らず大変歪の低いことを知った。広帯域型は振幅の平坦性や安定性が問題で殊更低歪である必要は無い。

 だからこの発振器も低歪ではなかろうと予測していた。しかしその予想は間違っていた。


 写真ではNFの広帯域発振器E1205型の20Hzを測っている。通常このような低い周波数だと、三万円クラスでは軽く1%を越える。サーミスタを使うのでそうなる。ところがこの発振器では二次歪が基本波に対しマイナス80dBのラインで漸くときどき顔を出す。三次歪はそれより更に低い。スペアナで歪を測る場合は二次と三次だけを見ればだいたいよく、四次や五次は相当低いので無視出来る場合が多い。二次~五次までを個別に測れるタイプの高性能歪率計をお持ちの方はお分かりと思う。

 市販の発振器では歪が0.001%(マイナス100dB、10ppm)より低いものが有る。スペアナのダイナミックレンジは通常80~90dBくらいなので、歪が0.01%(マイナス80dB)以下だと回路が飽和するので一応は測れない。しかし、ここで歪率計を基本波のフィルターとして使う。歪率計は80dB程度の基本波除去が出来るので、スペアナには基本波を抜いた波形をいれればスペアナは残留波形だけを観測すれば良いので、更に低い歪を測れることになる。

 勿論歪率計も歪を発生するのでそれが気になる。この場合は能動素子を使わないパッシブフィルターを入れる。この場合RやCの歪も考慮せねばならないので、それなりの配慮が必要になるが、10ppmの歪は測れる。それより低いものも勿論可能だ。


 市販の歪率計は歪を測るのに最低これくらいは、というのが有って入力電圧が少なくとも100mVくらいはないといけない。しかし、スペアナはそれより更に一桁くらい少なくても良いがこれは強みである。




 尚、管面に人の顔らしきものが見えるがこれは 幽霊 ではなく、私の顔が映っただけのことなので、奇怪な想像をされないほうが良いと思う。





 
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