オーディオ測定、オーディオ用測定器の解説

 測定器と、他は過去に学んだことへのコメント。

未知のトランスのインピーダンスの推定方法

2012年04月01日 | 測定/オーディオ


未知のトランスのインピーダンスの推定方法/2010.5.20改訂

未知のトランスのインピーダンスの推定方法/2009.11.20大改訂

 この種の解説は知識の深い人はやらないものです。本当によく知ってる人は更に良く知ってる人を知っておられる為でしょうか。或いは単に面倒くさがりかも知れません。然しこれは初心者にとっては大いに困ることです。初心者は広範でなくてもよいからせめて取っ掛かりの知識ぐらいは得たいのです。そこで表題の件ですが、これまで、この件の記述を見ることが殆ど無かったので、仕方なく私奴が浅学菲才を顧みず記述することにしました。
 私の至らない解説でも 参考になる と言って下さる人が存外に多いのが経験的に分かっているからです。世の中は私のように知識は浅くとも、フットワークの軽い人間が必要です。尚、他の方が記述しているような部分は記述せず、記述の見当たらない部分についてのみ述べます。
 
 先ず一次と二次の全てのタップの巻数比を調べ、次に巻線の直流抵抗(以後DCRという)を測ります。DCRが低い場合は低抵抗専用のケルヴィンブリッジ(わが国ではダブルブリッジと言うことが多い)もしくは低抵抗計で測ります。尚、中級以上のデジボルなら四線式プローブで低抵抗を測れます。

 ちょっと待った。そもそも一次と二次すらもハッキリしないトランスが有るではないか?ごもっとも、ごもっとも。

 こういう場合は巻数比とDCRの比の違いを見るのです。例えば、巻数比が1:2だが、DCRが100:180であったとすれば、180Ωのほうが一次であることがハッキリしますよね。


 こうして巻数比とDCRを得た後、当初は二次側DCRの20倍程度の抵抗を二次側両端に接続します。

 ここで一次側巻線のインピーダンスをブリッジで測ります。一次側に現われるインピーダンスは二次側に接続された抵抗と巻き数比の自乗との積に近似した値となる筈です。真空管の出力トランスはこのような計算で得た値と公称インピーダンスはほぼ一致します。


 さて、当初二次側にはDCRの20倍程度の抵抗を接続しましたが、ここで二次側抵抗をDCRの10倍にした場合どうなるかと言えば一次側インピーダンスは当初の半分よりは少し多くなります。即ち比を小さくすると一次側インピーダンスは計算で得られたものより大きくなります。比を小さくするに従い計算で得られるものとの違いは増大します。


 トランスはパワー伝送だけとは限らず、それ以外の目的に使用される場合も多いので、巻線抵抗の二倍とか三倍程度のインピーダンスとして使われる場合も多いものです。
このような場合はレシオによる計算とは懸け離れるので実測します。(実測以外の方法が有るかも知れませんが、私は知りません)。


 一般的に以下のように言えます。即ち、DCRに比しインピーダンスを高くとるほど損失が減る。一次と二次のインピーダンスの比は計算と良く合う。
 高域は伸長し低域は出なくなる傾向にあるが、トランスをドライブする電源の出力抵抗が大きく影響するので一概に言えない。尚、低域は出力抵抗と一次側のインダクタンスとの比で決まる。

 逆にDCRとインピーダンスの比を大きく開かないとその程度に従い、損失が増え、周波数特性は低域にずれる。計算との違いは大きくなる。

 以上のように見てきますと、インピーダンスの決定法はどうやら曖昧になりそうです。事実私が得た結論は、トランスというのはかなり自由に使えるもので、測定さえ出きるのなら目的に応じて使って良い、即ち、トランスをドライブする信号源の出力抵抗と回路で求める周波数特性を考慮して使えばよいということになります。


 仮に測定出来ない場合は(測定器無しでホビーをやるのは灯火無しで暗夜を歩くものと思いますが)、信号伝送だけならDCRの五倍くらいまでにしたほうがよいだろうと思います。

 以上の説明のうち、定損失の計算方法は武末数馬先生畢生の名著 パワーアンプの設計と製作 に詳述されています。然し、この本は古書店ではなにぶんにも高価(2万円は下らない)ですのでわざわざ求めずとも、親切な人がネット上でアンプの設計を詳しく解説しておられます。それを読んで下さい。“定損失”で探せば有ります。



 参考:ここでラックスのOYシリーズを取上げてみます。このシリーズは細い線を巻いている為かDCRが多く、OY15-5(K型ではない)はP-P間で330Ωも有ります。二次側巻き線もDCRが有り、通常一次側のDCRと同じくらいの等価DCRが有ると見てよくそれは一次側に直列に有るものとして換算します。計算式は二次側DCRにインピーダンスの比即ち5000/16を掛けたもので、両方あわせた併せたDCRは700オーム近くになるでしょう。

 これが通電時は温度上昇によりもっと増えるので定損失は0.7dB(15%くらい)になります。OY14シリーズなら0.9dB(19%くらい)の定損失でした。OYシリーズのあの大きなインダクタンスは大きいDCR(従って大きな定損失)と不可分のものです。これ等は多い場合ですが、こうして15%から20%近くの損失になるように設定しても誤りとまでは言えません。ただ、当今は定損失を低く抑えるのが主流ですので、出来ればタムラやかつてのタンゴみたいに低く抑えたいものです。そういう場合は一次と二次を一次換算したDCRの和の15倍以上に設定すれば定損失は0.3dB(7%くらい)にすることが出来ます。よく、製作記事等でOPT二次側16Ω端子に8Ωを接続する場面が出てきますが、それは定損失を増大させる使い方というのは以上の説明でご理解頂けましょう。と言ってもどっちみち損失は避けられないのであまり過大でなければ気に病む事ではありません。




















コメント   この記事についてブログを書く
« 大容量ケミコンの容量測定方法 | トップ | 測定器回路集 電波技術別冊... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

測定/オーディオ」カテゴリの最新記事