オーディオ測定、オーディオ用測定器の解説

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測定器解説:発振器

2012年04月01日 | 測定器の種類別解説

信号発生器概論

 発信器と書く人がいますが、通常は発振器です。国内メーカーの殆どは現在は製造をやめています。さて、この発振器ですが、入門者が入手に苦慮する機器です。普通に考えれば発振器が無いというのは、測定器入手の第一歩がまだ出来ていない本当に初歩の段階なので、オークションで買う場合は不安が一杯です。何よりも ノークレームノーリターン と謳われると恐い感じがするのです。実際には何か欠陥を抱えている割合は5割以上は無いし、複雑な故障などは殆ど無いのですが、測定器 というだけで構えてしまいます。実際に中を開けてみればすぐ分りますが、10万円以下の価格帯のものではこうまで安く作ったかと思うほどのコスト重視の組み立てです。あまり構える必要は有りません。

 この機種の主要なスペックは、出力の平坦性、帯域、歪率、表示周波数の正確さ 方形波の有無等です。ローコストのものでは出力の平坦性が大事なので、元の価格が3万円くらいのものは出力周波数が1Mhzまでとし、振幅制御にサーミスタを使うので歪は特に低い周波数で悪くなり、100Hzでどのメーカーのものも0.1%くらいです。歪率測定の信号源としての性能は最初から度外視しています。これより上のクラスで元の価格が10万円未満のものは振幅制御がFETに替わる場合が多く、100Hzの歪が若干良くなり、だいたい0.05%近くです。回路がどのメーカーも殆ど似ていますのでメーカーによる性能差は殆ど有りません。つまりメーカーを選ぶ必要はありません。方形波はローコスト品では例外なく出力します。
 出力周波数が広くなると、方形波の出力は無くなり、歪も悪くなりますが、業務用の機種になるため、出力の平坦性は大変優れたものになります。出力メーターの指針の幅ほども変動しないというものが少なくありません。
尚、帯域の広さと歪率の両立は出来ません。帯域が広くなれば歪は必ず悪くなります。

 低歪のものは出力周波数が100Khz内外までで出力の平坦性は大変優れている場合が普通です。歪は殆どのもので0.01%は下回り、周波数が低くなっても歪は増えません。尚、方形波は通常出力しません。これまでの記述で分るように方形波出力のあるものはローコスト品です。 

 オークションでよく出るのはキクスイ、ケンウッド、リーダーの三機種で元の価格はいずれも3万円くらい。性能差は殆どありません。価格は高騰しても1万円までくらいで、程度が悪ければその半分くらいの場合もあります。

 尚、キクスイのORC11、松下VP7201は全く同じ仕様で帯域が500Khzまで、歪が0.01%をかなり下回り、新品時の価格が8万円くらいでした。多くはないものの出回っていて、歪率測定用の信号源にもなり得るもので良い発振器です。


方形波について

 初心者は方形波が必要との思い込みが大変強いですが、CR発振方式で方形波が付くのは10万円までのローコスト品で、それ以上の価格のもので方形波が付くのはまず無いので、拘らないほうがよいです。

 方形波応答試験はアンプの入り口に方形波を入力し、アンプから出力された方形波の形(オーヴァーシュートやリンギングの幅や高さ)を見て、方形波周波数の何倍かの周波数でどういう現象が有るかを見るのですが、そのナニカが有る周波数や量を正確に知りたければ正弦波を入れてやればよいだけの話です。

 ところで、分る人はここまでの説明で理解するのですが、理解しない人は長々聞いた後で、はぁ?そうですかぁ??との不同意を秘めた相槌を打つことが多かったので、説明は随分前にやめました。本にはこう書いてあった、技術雑誌のライターが必要と言っていたということのようです。無駄な努力というのは有るものなので、こういうことではあまり汗をかきたくないです。

ファンクションジェネレーター

 CR発振方式とは別にファンクションジェネレーターと呼ばれるものもあり、現在はこちらが主流です。これは、方形波を作ったあと、それから三角波を作り更に整形して正弦波を作るものですが、低いほうは制限が無く、上のほうも50Mhzまでも出力出来るようなものがあります。最初に持つ信号発生器はこの方式のもので良いでしょう。正弦波、方形波、三角波の三種を出力し、掃引が出来るものもあります。歪は低くないですが、歪率を測らないのなら気にする必要はありません。また、将来歪率計を入手した時の為に低歪を求める必要もありません。何故なら歪率計には低歪の発振器が内蔵されてる場合が少なくなく、たとえそうでなくても、歪率を測るくらいのレヴェルになったときは低歪の発振器、広帯域の発振器の二種を入手するようになるからです。





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