オーディオ測定、オーディオ用測定器の解説

 測定器と、他は過去に学んだことへのコメント。

発振器 管球式 VP706A 松下

2014年03月16日 | 測定器


 ヤフオクで落としたもの。この機種はRC711、その後のVP711の後に出たもので若干の改良がある。メーターが付属したのと、帯域が狭まり、かつ前段の真空管がDC点火されたのが変更点である。

 一般にCR発振器は出力が開放でも数Vまでと大きくないのが普通だが、これは600Ωを負荷して10Vを出力できる。開放では20Vだ。それで買ったようなもの。

 基本の回路はヒューレット・パッカード社の200シリーズである。バランス型とも呼ばれCR発振器を設計する際のあちら立てればこちら立たずの悩みどころをかなりの程度解決し、初めて見たときは天才の産物と思った。HP社のそれを真空管を替えただけのコピーと考えれば良い。

 歪が当時としては低かったが今となってはさほどでない。殆どの発振器が低い周波数では歪が急増するのにこれはそうならない。20Hzでも0.05%くらいである。またこれだけの出力を出す発振器は他にない。

 









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測定器解説:歪率計

2014年03月15日 | 測定器の種類別解説
歪率計


 オシロ、発振器、ミリバルときて次に欲しいのがブリッジか歪率計でしょう。以前はかなり入れ込んでいろいろ買いましたが、最近は興味を失ったために、扱った歪率計を思い出すのは困難になりました。多分、機種にして30~50機種くらいだろうと思います。

 さて、この測定器はどうも高価というイメージが有ります。それはアマチュアが要りもしない高性能機を狙えば確かに高価です。しかし、簡単な構成のものでは1万円~3万円台くらいなのです。測定器に不慣れなうちはどうしても中古=信用出来ない、という心配が先立つために、いろいろ悩むのですが、新品はアマチュア向けのものでも10万円をラクに超えるのでこの際スッパリ諦めましょう。本当のことを言えば、このそれほど情報量が多いとは言えない測定器に大金を投じるべきでありません。こんなものに大金を投じるよりスペアナに投じたほうがよほど気が利いています。

 測定原理については、以前は或る周波数を取り除くフィルターアンプの方式が多かったのですが、低い歪を測るのに限界が有って、測定したい周波数の高調波が個別に測定出来るFFTタイプのものが多くなりました。幾つかのメーカーから出されている100万円をラクに超える高級品の多くがそうです。これらは今はまだ高価ですが、あと10年もしないうちに、買いやすくなるでしょう。
 シバソクの725シリーズは依然として高級機という感じですが、この機種ですら5万円を切るようになりました。(ただし、リース屋では10万円以上です)。

 よく見かけるのは、HP8903、HP339A、シバソク725シリーズ、松下の7702,7720A(及び目黒の同仕様型)、7722/7723、あまり見かけなくなったのがシバソク796、816、870等の古い連動型、などです。それぞれ長短が有り、その長短が分ると何台も欲しくなるのですが、まぁ一台あれば良いでしょう。

 

入力抵抗に注意!


 ところで、今諸兄が入手出来る歪率計は入力抵抗が100KΩのものが殆どです。アンプの出力段の歪を測る場合は、インピーダンスが相当低いので、これで構わないのですが、真空管アンプの場合に段間を計る場合は100KΩでは低くて不便な場合が生じます。古い歪率計(自動式でない場合も多い)なら1MΩのものが多いので、諸兄は自分がどういうアンプを主に作るかで考えたほうが良いです。だいたい、0.1%フルスケールのもの、つまり古いものは1MΩのものが多く、0.01%になると1MΩのものはありません。タマしかやらない人は0,1%フルスケールのもので構わない筈です。前述のように、歪率計は必ずしも有用な情報量に富んでるというわけではなく、タマの場合はそれほど高性能のものは要らないので、兎も角古いもので一台という考え方でよいでしょう。



オークションで見かける歪率計



東亜電波 低周波特性測定器
 これは完動を謳ってない限り、もしくはノークレームノーリターンを掲げられたら買えない測定器です。理由は、組み立てがメンテナンスを殆ど考慮していないように見受けられるからです。問題なく動作するものはまず有りません。ボリューム一個替えるのですら、よほど気の長い人でなければいっそのことバラしたくなります。ツマミを外すのでさえ困難かも知れません。だいたい、メンテナンスしにくい測定器はバラスのも一苦労です。このメーカーのものに限りませんが、国産の測定器で修理しやすいものは少ないです。中でもここの歪率計は腹立たしいほど修理の厄介な機械です。

 まず、ロックペイントを塗ってあるものはシンナーでふやかしてからナットを取り外すのですが、まったく余計なことをしてくれると感じます。これは国産は大抵そうなので、規格での指定仕様だったのかも知れません。


シバソク796D/796E、816、
 当今ではさほど低い歪といえなくなってしまった発振器を内蔵した歪率計です。発振周波数と、フィルターアンプの周波数がずれてしまってるものが少なくなく、そういう機械を掴んでしまったらイヤになると請け合いです。測定器を持たない人が修理するのはらくではないと思います。ずれてしまってる機械が多いので普通は発振器を別に求めるようになりがちです。


シバソク870
 796を使いやすくした感じで、レンジが自動です。796と同じ瑕疵がある場合が少なく有りません。


HP333A/334A型
 HP334Aという自動式歪率計をたまに見かけます。0.1%フルスケール、入力抵抗1MΩなので、タマアンプ製作には好適です。歪を測れる上限周波数が600Khzという変わり種です。あまりに古く、今となっては動作するものがあるかが疑問です。


HP339A
 0.01%フルスケールで、一見後から出た8903A/Bのほうが良さそうですが、歪の測定最小電圧が30mVというスグレモノです。発振器の歪もこちらのほうが少し低くなっています。CALの機能が自動でないのが苦しいところです。これも完動品は少なくなってると思われます。


松下VP770A
 入力抵抗1MΩ、0.1%フルスケールです。この機種はバリコンのベアリングがほぼ駄目になってるのですが、歪の多いタマのアンプにはこれでも不自由しないでしょう。一般的に言って、松下の測定器はケミコンの多用が目立ちます。


松下VP7701A
 あまり出てきません。入力抵抗1MΩ、0.1%フルスケールです。CALと%レンジが自動で非常に便利です。HP334Aをかなり使いやすくした感じです。


松下VP7702A/B/C
 1V入力以上で0.01%フルスケールです。1V未満の入力なら0.03%になります。入力電圧と歪率が同時に見られ、両方ともアナログメーターなので、アマチュアが使うには非常に便利です。だいたい、歪率計のメーターはアナログ式のほうが便利です。アマチュアが家庭で使うのだったらこれより高級なものは要らないと思います。高くてもせいぜい3万円くらいで落着するようです。


松下VP776A
 滅多に見なくなりました。0.3%ですが、最小入力50mVとかなり小さく、フィルターの幅の広いのが長所です。大変使いやすいのですが今となっては古すぎて動作するのか、、、、NCNRではちょっと、、、、、、。


高級機


 このクラスになると相当構成が複雑になるので、多少の瑕疵の可能性が出て来ます。安心して買うのなら返品不可を謳わない出品者、もしくはリース屋からということになるでしょう。
シバソク725シリーズ
 ファンもなく、家庭で使いよいです。


松下VP7720A
 発振器付きで使い良いですが、メーターが粘る欠陥に出遭います。その都度叩けば良いので、これくらいは我慢しますか。


松下VP7722A/7723A/7724A
 すこぶる高性能ですが、ファンがうるさく家庭用には向きません。


HP8903A/B
 すこぶる高性能です。



自動でない歪率計


 歪率計は或る周波数を抜き去るフィルターアンプですが、フィルターアンプには温度特性が有ります。また、信号源は通常CR発振器ですが、この周波数が必ずしも安定ではないので、双方の不安定が相俟って、フィルターアンプの操作は厄介です。特に0.1%未満を測ろうとすると、二つのダイヤルから手を離せません。ハッキリ言うと実用性が無いと言っても過言ではないほどです。この何とも面倒くさい操作が、オシロを用いてリサージュ法を使うと別に自動で無くても良いかも、と思えるくらい速やかに出来ます。やりかたはアンプ出力をX入力にし、歪率計のモニター出力をY入力とする方法で、これは逆でも構いません。要するにリサージュを描かせるのです。出て来る波形が水平または垂直になるよう操作すれば良いのです。
この方法でたまに出回るNFの管球式歪率計やシバソク、東亜電波等の自動でないものも快適に使えます。

 昔から有りましたな。何とかとハサミは使いよう、という、、、、、、、。 



 

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HP3580A 低周波スペアナ

2014年03月13日 | 測定器



(概説)スペアナはオシロと並んで原理の理解が必要な測定器です。また操作に慣れるにはオシロに比べて若干多いという程度の時間が必要ですが、然程高度の知識ではありません。誤った設定にしますと、それが目視で分かり、且つウォーニングランプが点灯して教えて呉れるので、誤ったまま操作を続けるということは無い筈です。むしろウォーニングランプが点灯しないようにするにはどうしたら良いかを考えていくうちに自然にスペアナという機械の原理が分かってくるのです。

 この機種が出品されるときは、多くの場合、出品者が使い方を詳しくは知らない、と断っていることが多いです。そこでこの機種の簡単な動作チェック方法を紹介します。即ち、3580Aは本体に10Khzの校正出力が内蔵されています。入力を校正の位置にしますと内部で校正出力と接続されますので、その10Khzを描かせれば管面には基本波と高調波が合計で五つ並ぶわけです。つまりそのような波形の出たものが写真として掲載されておれば、出品者はチェック方法を知っている(つまりは扱い方を知っている)だけでなく、スペアナが動作品たる証拠を示すことになるわけです。

 オーディオに使えるスペアナは使い慣れるとひずみ率計などよりは利用範囲が広いのですが、オーディオをやる人は技術音痴である場合が殆どなので出品されても競争相手が少なく高騰することはあまりありません。元の値段を考慮すればべらぼうな安値となることが多いです。
これ以後の機種で3588、3589が有りマーカー機能が強力ですから資金と空間が許す人はそちらが良いです。

 使い慣れるとオシロと同じくらい使用頻度が高くなります。

(仕様)周波数レンジ:5Hz~50KHz、帯域幅:1Hz~300Hz、測定レンジ:100nV~20V、掃引スパン幅:50Hz~50Khz、入力Zp:1MΩ、ダイナミックレンジ:80dB、トラッキングジェネレーター出力:0~2V/600Ω。

 1HzのBWが有るスペアナはこれだけです。3585とか、3588、3589が良いとは思いますが、置くところが限られます。



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