オーディオ測定、オーディオ用測定器の解説

 測定器と、他は過去に学んだことへのコメント。

サンワ SP-6 大古テスター 

2012年01月30日 | 測定器



 テスターは、単一電池を一個内蔵するのが普通ですが、それは抵抗を測る時にメーターを振らす為のものです。このテスターでは単三電池が二個有り、X1KΩレンジの場合だけ単三電池が二個直列になります。しかし実用的には100Kまででそれ以上の抵抗は目盛りが詰まるので別の方法で測ります。

 さて、通常のテスターはDCV或いはACVを測るときは、電池が要りません。つまり、自身にメーターを振らすエネルギー源(つまり電源)を持たず、回路のエネルギーの一部を寸借して(寄生して)メーターを振らす、つまり回路を大なり小なりかき乱すのです。回路のエネルギー量が小さいと、場合によってはテスター内部で使うエネルギーのほうが多いということにもなりかねません。

 このテスターの場合、内部抵抗が2KΩ/VDCしかありません。250Vレンジでは内部抵抗が500KΩしかなく、回路を測る場合、常に測定箇所(赤と黒のリード棒のあてがう先)に並列に500KΩでバイパスしていることになります。同様に50Vレンジでは100KΩでバイパスしていることになります。こうなると回路を測りながらも常にテスターの内部抵抗を考慮しないといけなくなります。当今ではこのようなテスターを見つけること自体難しいと思っていましたが、実際にはまだ2KΩ/VDCのテスターは製造されています。


 LやCも測れるようにはなっていますが、目盛りが小さく実用性はありません。こんなものでも昭和30年代には使われていました。先輩方の苦労が偲ばれるテスターです。





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SIMPSON269 マルチメーター

2012年01月27日 | 測定器
(概説)これまで弄ったテスターは内外の物多数ですが、超高内部抵抗のテスターを実際に使用してみると、テスターの内部抵抗は高けりゃ良いというものでもないと思うようになります。指針が使用者の感覚に快適に(ここが大事)反応するのはまぁ50KΩくらいまでかなぁ、という極めて感覚的ではあるものの、そんな感じが有るのです。本器は100KΩ/VDCです。

 測定レンジが写真右下のロータリーSWとチェーンで繋がってて回るという変わった機構です。高抵抗は入手の若干難しい22.5V電池を使用します。抵抗測定はメーターの感度と電池の電圧によって決定されるので、高抵抗測定ではメーターが特別高感度でない限りは電池電圧が高くなります。

古いテクトロのオシロのメンテナンスにはこれを使うようになっていました。ところで、テスターのメーターの面は普通プラスチックである場合が多いのですが、本当はガラスのほうが良いのです。本器はガラスになっています。


 その後一旦は手放した 横河の3201 (100KΩ/VDC)をまたヤフオクで落として比較してみました。メータースケールが非常に大きく、また文字が3201より濃いので、大変に見やすく感じます。現在入手できるテスターとしては一番よく思えて来ました。

 そんなわけでオークションに出していましたが今は引っ込めています。



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低抵抗の測定

2012年01月17日 | 測定/オーディオ

 先日ヤフオクを見ていたらヒオキの低抵抗計の出品が有り、それにはメーカー独自の専用プローブが付属していなかった。それを買えば10000円くらいはすると思われるのでそれを考慮すれば、本体への入札はせいぜい10000円程度かと思ったが、落札価格は3万円を超えていた。随分高い買い物と思う。

 この種の測定器はさほど使用頻度が高くないし、これが無いと困るというものでもないので、以下に替わりの測定法を紹介する。

 近頃の安定化電源は定電圧(CV)として使えるが定電流(CC)としても使えるものが多い。ヤフオクに出てくるのはキクスイのものが多く、キクスイは取説をウェブサイトで公開しているので、定電流としての使い方もウェブサイトで知ることが出来る。こうして測りたい部分に予め分っている電流を流す。抵抗値に応じた電位差が生じるのでそれをディジボルで測れば良い。つまり試料のプラス側に二つのワニグチ、マイナス側に二つのワニグチをくわえ込むわけだ。面倒のようだが、出来なくはないし、ダブルブリッジの測定も同じく四つのワニグチが要るのである。

 安定化電源の替わりに定電流電源を使えれば、電流値を設定する手間がほんの僅か少なくはなる。定電流電源は人気が無いので安く買える場合が多い。

 試料に流す電流は少ないほど温度上昇も少なくなるが、ディジボルの感度が要求される。試料の耐電流容量とディジボルの感度を考慮しながら決めればよい。通常、低抵抗の部分は電流を多く流せる場合が多く、100mAくらいなら何でもない場合が多い。1Aでもへいちゃらの場合が少なくない。これでパワートランスのヒーター巻き線などは5Aくらいの容量のものでも普通に測れる。

 正確さが気になるかもしれないが、もともと低抵抗を測る専用の測定器でもプローブの接触抵抗が有って、正しく測るのは難しいのだ。それに抵抗値そのものが周囲温度で動くものなので、あまり厳格に考えても意味が無い。上記の方法で普通に2%くらいの誤差で測れる。




 
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テスター シマズ TC-7

2012年01月12日 | 測定器
テスター シマズ TC-7

 ヤフオクで買いました。簡単な構成ですが、アナログ式としてこれ以上の仕様のものは要らないと思います。

 リタイヤしてから測定器をいじりたい人は、自分の視力を考慮してください。老眼だと目盛りを読むのが辛いです。世の中のテスターの殆どは老眼を考慮していません。本品はメーターの横幅が81ミリしか無く私には若干苦しく、失敗した買い物でした。

 大型で目盛りの文字の濃いのが良いです。横河の3201は高級感ありますが、濃いとはいえません。

 テスターの性能の重要な指針として内部抵抗があります。これは20KΩ/VDCなので、サンワのSP-6(2KΩ/VDC)に比較すると随分性能の向上が見られます。往時は20KΩ/VDCでも超高感度とか超高性能と呼ばわった時代が有りました。50VレンジでDC電圧を測るとき、回路を1000KΩでバイパスすることになるので、これは2KΩ/VDCに比較すればかなりよく、これぐらいならば実用を害するケースはかなり少ないでしょう。

 米国のオークションで出回るテスターも殆どは20KΩ/VDCですが、それで十分実用性があると思われます。針の動きが素早く元気です。シロート考えでもメーターはあまり高感度でないほうが丈夫と思われます。






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NFの発振器の歪を測る

2012年01月09日 | 測定/オーディオ




 以前NFの発振器の歪を測ったとき、広帯域であるにも関らず大変歪の低いことを知った。広帯域型は振幅の平坦性や安定性が問題で殊更低歪である必要は無い。

 だからこの発振器も低歪ではなかろうと予測していた。しかしその予想は間違っていた。


 写真ではNFの広帯域発振器E1205型の20Hzを測っている。通常このような低い周波数だと、三万円クラスでは軽く1%を越える。サーミスタを使うのでそうなる。ところがこの発振器では二次歪が基本波に対しマイナス80dBのラインで漸くときどき顔を出す。三次歪はそれより更に低い。スペアナで歪を測る場合は二次と三次だけを見ればだいたいよく、四次や五次は相当低いので無視出来る場合が多い。二次~五次までを個別に測れるタイプの高性能歪率計をお持ちの方はお分かりと思う。

 市販の発振器では歪が0.001%(マイナス100dB、10ppm)より低いものが有る。スペアナのダイナミックレンジは通常80~90dBくらいなので、歪が0.01%(マイナス80dB)以下だと回路が飽和するので一応は測れない。しかし、ここで歪率計を基本波のフィルターとして使う。歪率計は80dB程度の基本波除去が出来るので、スペアナには基本波を抜いた波形をいれればスペアナは残留波形だけを観測すれば良いので、更に低い歪を測れることになる。

 勿論歪率計も歪を発生するのでそれが気になる。この場合は能動素子を使わないパッシブフィルターを入れる。この場合RやCの歪も考慮せねばならないので、それなりの配慮が必要になるが、10ppmの歪は測れる。それより低いものも勿論可能だ。


 市販の歪率計は歪を測るのに最低これくらいは、というのが有って入力電圧が少なくとも100mVくらいはないといけない。しかし、スペアナはそれより更に一桁くらい少なくても良いがこれは強みである。




 尚、管面に人の顔らしきものが見えるがこれは 幽霊 ではなく、私の顔が映っただけのことなので、奇怪な想像をされないほうが良いと思う。





 
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スペアナによる歪率の測定

2012年01月09日 | 測定/オーディオ



スペアナによる歪率の測定

 オーディオマニアは、歪率で音が変わるわけじゃない、てな、わかったふうなことを云う。だったら作りっぱなしでいいじゃないか、と思うが、こちらが歪率を測ってやり、タマのアンプとしてはまぁまぁいいほうじゃないですか、と云うと、嬉しそうな顔をする。何でだろう。やっぱり測ってみないと遣り残したことが有る、と思ってるんじゃなかろうか。

 ところで、その歪率だが、大別すると、二つの測り方が有る。いろんな人が何度も解説しているので、詳細は省略するが、要は基本波を抜くか抜かないかということだ。歪率計は前者の方法で後者はスペアナ(FFT)を使う方法だ。

 写真ではNFの広帯域発振器の20Hzを測っている。通常このような低い周波数だと、三万円クラスでは軽く1%を越える筈だ。サーミスタを使うのでそうなる。ところがこの発振器では三次歪がマイナス60dBくらいであるのが分かる。二次歪がそれより更に6dB程度低いのでまぁだいたい0.15%位だろう。広帯域発振器としては歪がかなり低い。ところでスペアナで歪を測る場合は二次と三次だけを見ればだいたいよく、四次や五次は相当低いので無視出来る場合が多い。二次~五次までを個別に測れるタイプの高性能歪率計をお持ちの方はお分かりと思う。


 歪率の定義は 二次からN次までの高調波のそれぞれの自乗の和の平方根を基本波で割ったものだ。この計算をやるとすぐ分かるが歪率計で測った歪率よりスペアナで測った歪率のほうが低い。

 

 
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サンワ 460-ED

2012年01月08日 | 測定器
 ヤフオクで買ったもの。

内部抵抗が100KΩ/VDCなので、電子テスターでないものとしては最高級品となる。ずっしりと重く1.3Kgあり、サイズも横138 縦185 高さ90有って国産のテスターとしてはなかなかの貫禄だ。

 サンワはこれよりも内部抵抗の高いテスターをかつては製造し、今でも時折オークションで出品されるが、あまりお勧め出来ない。実際のところアナログテスターは20KΩ/VDCで十分だと思う。

 本器はメーター部分がパカッと外れる構造になっているが、たいしたメリットには感じられない。

 歳をとると、目盛りの見易さは重要な要素になるので、この頃では横河の3201をその高級感にも拘わらず良いとは思えなくなってきた。







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シンプソン/260-Ⅶ

2012年01月01日 | 測定器


シンプソン260-Ⅶ


 これは恐ろしくロングセラーのテスターでこれとソックリのものがかつてサンワから発売されたことがありました。内部抵抗は20KΩ/VDCなので、横河の3201より小さくその点は見劣りします。米国のテスターは殆どが20KΩ/Vで、100KΩのものはあまり見ません。理由はよく分りませんが、こういう古い仕様のテスターが全然安くないのが不思議です。

 テスターは表がプラスチックだと指針がゼロにならないようなことが有ります(静電気の影響か?)が、これはガラスなのでそのようなことはありません。仕様だけ見ればどうということも有りませんが、一度持ったら手放したくない逸品ではあります。






 

 
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横河 3223 マルチメーター

2012年01月01日 | 測定器

横河 3223 回路計


(概説)横河の製造中止になっているマルチメーター(横河では回路計と呼ぶ)です。同社の3201のほうが有名なのですが、こちらのほうが実は高級機種です。DCの入力抵抗はFET入力になってるので11MΩと一定です。ACVも小さい二つのレンジで500KΩ、それ以上は1MΩとなり、またACとDCの目盛りも共通なので性能は明らかに3201より上です。パワースウィッチを切り忘れることが良くあり、そうなると次回使うときに“オンヤ”ということになります。ACVの周波数特性は測定レンジが高圧になるほど悪くなるという欠点はありますが、それでもディジタル式などよりは随分良いです。

 単三電池を8本使い、切り忘れが多く、新品で買ったものでしたが(4万くらいだったと思う)手放しました。手放したものがまた欲しくなると言うことはよくあるのですが、本器に限ってはありません。

 

 
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HP 34401A ベンチタイプマルチメーター

2012年01月01日 | 測定器
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HP 34401A

 オークションによく登場する高性能低価格の使いやすいマルチメーターです。入力端子が後ろにもあるのがなかなかに便利です。 -->
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FLUKE 45 ベンチタイプマルチメーター

2012年01月01日 | 測定器
FLUKE 45

 測定電圧を二つ表示出来るのが特徴で、例えば電源などで或る箇所のDC電圧とそのリップルを両方同時に見ることが出来ます。
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TRIPLETT 630NA マルチメーター

2012年01月01日 | 測定器
(概説)これまで弄ったテスターは内外の物多数ですが、超高内部抵抗のテスターを実際に使用してみると、テスターの内部抵抗は高けりゃ良いというものでもないと思うようになります。指針が使用者の感覚に快適に(ここが大事)反応するのはまぁ100KΩくらいまでかなぁ、という極めて感覚的ではあるものの、そんな感じが有るのです。本器は20KΩ/VDC(またはその半分)です。

 ついでながら、さんざん他社のテスターを使ってきて、初めて横河のテスターを持った人は、リード棒の指にやや重い確実な感覚を快く感じるのではないでしょうか。こういうことが分ってしまうと、測定器はカタログのスペックだけでは分らない要素の大きいのを知るわけであります。

 本器は測定レンジが常識外に多く、それがこのシリーズの一大特長です。VとAはそれぞれ写真に表示に見えるレンジ及びその半分がフルスケールになります。V-A/2のスライドSWによってそれを可能にしており、なかなか優れた機構ではあります。全ての突起を含むサイズ/重量:14×19 9H 1700g
 高抵抗は国内では入手の難しい30V電池です。抵抗測定はメーターの感度と電池の電圧によって決定されるので、高抵抗測定ではメーターが特別高感度でない限りは電池電圧が高くなります。



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FLUKE 77 マルチメーター

2012年01月01日 | 測定器
フルーク 77 マルチメーター

 世界中で800万個以上売れたというマルチメーター。戸外で作業するときベルトに引っ掛けられるようになっている。リードのやや重く感じられるところが良い。こういうのは国産は見習って欲しいね。横河の3201のリードも感じが良い。デジタル式はAC電圧のF特は悪いがそれはこういうものよりずっと高価なものでも同じなので要注意。

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PHILIPS/PM2505 マルチメーター/改訂1

2012年01月01日 | 測定器

PHILIPS/PM2505 マルチメーター


(概説)入力抵抗がDCACともに10MΩ一定の電子式マルチメーターです。レンジが非常に多い、メーターが見易い、AC電流が測れる、抵抗目盛りがリニアー等かなり多くの特長が有ります。電池は9V電池が二個。

 非常に便利で横河の3201やその上位機種の3223よりも使いやすいのは確かですが、入力抵抗が3201のようにレンジで変動してしまうものも一台有ってよいかな、と思うのが皮肉であります。



 
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ヒオキ AS-100D 高性能テスター

2012年01月01日 | 測定器
 ヤフオクで買った。相手に持って行かれると思ったが、意外にも自分のところに来た。

 本器は内部抵抗が100KΩ/VDCであり、アナログ式としては高級品といえる。定価は10000円以下で、横河3201の30000円以上に比べるとかなり安い。抵抗レンジは最高レンジが22.5Vの電池を使うようになっており、国内での入手は今では難しい。まぁこのレンジは無用と割り切れば良い。

 テスターの内臓電池は電子テスターでなければ抵抗を測るときだけ必要で、ACとDCを測るには要らないものなので気にしなくて良い。


 ロータリースイッチ周りがシンプソンの260-6XLに何処と無く似る。


 横河3201と比べてどうかということだが、質感はハッキリ劣る。だが、メーターの指示板が3201に遜色なく大きく、加えて目盛りの文字が濃いので見易さで大きく勝る。今後は横河よりもこちらを使うことが多くなりそうな気がする。





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