いごっそうの棲家

以前のblog『オトツマ日記』を改名。オットだけのボチボチ更新雑記。

犯人に告ぐ  雫井脩介

2007-09-20 17:46:44 | 小説
タイトルが「犯人に告ぐ」。
そして上巻のオビには2004’ミステリーベストテン第一位。
2004’最高に面白い本第一位。とある・・・
そして下巻のオビには

「犯人よ、今夜は震えて眠れ」

もう、書店の新刊コーナーでこの文字を見て触手が動かない本好きはいない
んじゃないかと思う。
駄目押しに、裏表紙には警察小説の傑作!
「普段ミステリーや警察小説を読まない人をも虜にする世紀の快作!!」
などと書いてある。
つくづく、編集者の力って凄いですよねぇ。

神奈川県警警視、46歳の巻島史彦はノンキャリアながら順調に出世
街道を走ってきていた。
しかし、五歳男児誘拐殺人事件で陣頭指揮を取っていた巻島は警察側の
対応のミスを指摘され責任をとる形で、マスコミ会見の矢面に立たされる。
その会見の席上でマスコミ相手に切れてしまう。
巻島は左遷。事件は風化されつつあった。
ここまではプロローグ。そして大事な大事なプロローグ。

六年後、今度は川崎市周辺で五歳から七歳の男児ばかりを狙った連続殺人事件
がおきる。犯人は自らを「バッドマン」と名乗り声明文を出すが、犯人の影すら
見えてこない。
そこで曽根警視監は六年前の事件で因縁のある巻島を呼び戻し、ある奇策を
思い付く。
劇場型犯罪に対抗して、劇場型捜査を行う・・・主役は巻島だ。
ニュース番組に出演し、市民に対して犯人の情報提供を呼びかける・・・
のは表向きで犯人からの接触を待つ捜査陣。
そして犯人からメッセージが届いた。
やはり今回も姿が見えない犯人。撹乱する情報。そして内部の敵。
敢えて犯人よりの姿勢で呼びかける巻島に対して、世間も警察内部も
非難の声が上がる。いつしか孤独な戦いとを強いられていた。

クライマックスの犯人に呼びかけるシーンは圧巻です。
ぞくぞくっときました。
警察内部の敵を焙り出すためのトラップもこの作家ならではのあっと
驚く手法なのだがこれもまた楽しんで欲しい。
あっと驚くトラップとかトリックは雫井氏の得意とする手法なのだが
今回は「虚貌」のときほどはあり得なくはない。
~あの作品は賛否両論だったようなので~

とにかく登場人物を魅力的に仕上げるのも雫井氏の得意とするところで
今回の巻島も非常に魅力的なキャラになっている。
それを豊川悦司がどう演じるのかを是非劇場で堪能したいと思います。

映画は10月公開だそうです