いごっそうの棲家

以前のblog『オトツマ日記』を改名。オットだけのボチボチ更新雑記。

神様からひと言 萩原 浩

2007-09-12 17:45:57 | 小説
萩原氏の作品はこれで三作目。
「噂」と「メリーゴーランド」。
噂の方は少し趣が違うが、メリーゴーランドの方は公務員の男性が主人公。
この、神様からひと言はサラリーマンが主人公。
この二作に共通していえるのが、働く男性にエールを送っている!! 
萩原氏独特のユーモアと、そして辛い現実を生き抜くためのビタミン剤が
全編に満ち満ちている。

大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した主人公佐倉涼平。
涼平は入社早々に販売会議でトラブルを起こし、リストラ要員収容所
と社内から恐れられている「お客様相談室」へ異動となる。
そこにいたのは、嫌味な上司と、ギャンブルに明け暮れるお詫びの達人、
失語症となった大男、敬語も使えないネットおたく、そしてボンボンの
三代目社長の元愛人だった元秘書嬢・・・
なんともやるせない気分で日々クレームの処理奔走する。
実は半年前に同棲していた彼女にも逃げられていた。

涼平を見ていてくれた神様とは一体・・・?
そして涼平の過酷な運命は・・・?

やはり今回もとてもテンポよく最後まで一気に読ませてくれた。
萩原氏の作品は読者を飽きさせない。
たるんできたと思うところに、「ニヤリ」と「クスッ」を入れている。
大体、読み始めからして笑えた。
販売会議で飛び交う専門用語。新製品TF01LL RM数値、多層構造製法
となにやらとても難しい製品を連想させる。
しかしその製品は・・・・・・笑
こんな感じのツカミで入っていくから、惹きこまれてしまう。
確か、「噂」もそなん感じだった。

会社員を辞めて一年半たつが、これはなかなか元気が出る本だと思う。
満員電車で揺られながら、菓子パンとカップ麺のランチを食べながら
疲れきった働く日本人にぜひ読んで欲しい一冊です。