今日から五月。今日朔日は八十八夜に当たる。(例年五月二日であることが多い。今年は閏年)
夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
あかねだすきに菅の笠
日和続きの今日この頃を
心のどかに摘みつつ歌う
摘めよ摘め摘め 摘まねばならぬ
摘まにゃ日本の茶にならぬ
文部省唱歌の「茶摘み」によって八十八夜といえば茶摘みというイメージが定着したという。
昭和四十年代生まれの私も子供のころに聞いたものだ。初夏の陽気と祖母、叔母の歌うこの歌を子供心に覚えている。ただし私の住む北埼玉に茶畑はほとんど見られず、歌の記憶のみが刻まれている。今の子供たちはあかねだすきと歌われてもイメージがわかないだろう。
立春から数えて八十八日目のこの日は雑節の一つであり、「八十八夜の別れ霜」と言って陽気が安定することから、農家にとっての籾まきの目安であったという。
このころの花はといえば藤の花。春から夏にかけて季をまたいで咲き誇ることから別名「二季草」ともいうそうだ。
春日部市の牛島花園にある特別天然記念保存木「牛島の藤」は樹齢千二百年という。一度見てみたいものだ。
弘法大師手植えの藤とも呼ばれ多くの観光客を集めている。
皐月の初夏の陽気が好きだ。GWが明ければ立夏を迎える。そろそろ当地でも苗代が始まる季節。
コロナ禍で制約の多い日常であるが、季節だけはありのままに感じてもいいだろう。